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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
終章 新世界
306/347

過去の己

色々飛びます。


 21世紀初頭、異世界の神がストックホルムの地に降り立った……素っ裸で……


「うわあ!転移したら裸になるの忘れてた……」


 大急ぎでタブレットをいじる神だが着ていた服が見つからない。


「うわあ……最初からピンチだよ…………あっそうだ!ヴァレンヌに行けばあるじゃん。」


 行先はヴァレンヌのようだ。

タブレットを弄りながらヴァレンヌへと転移して行ったのだが、その姿を北欧へ修行に出されていた神に見られる事になった。


「あれって……パンツのアイツだよな?……オヤジに教えなきゃ!ヨーロッパに来てやがる!」


 見ていたのは先日まで惑星パンツの衛星に閉じ込められていた神2人。太陽神アポロとゼウスの使いっ走りヘルメース。


「俺が行ってくる。どうせイタリヤとかギリシャでナンパでもしてんだろ?早く知らせないと。」


 伝令の神でもあるヘルメースが走り出す。


「マジかよ……母ちゃんでも手も足も出ない奴が先手を取るとか……ちょっと前より化け物になってんじゃねえか……」


 そんな事を呟きながら、修行の為に広場の掃除をしている太陽神アポロ……


「あっ!ヘルメースの奴!掃除から逃げやがった!」


 そんな事呟いたのだが、監視していた雷神トールにゲンコツを喰らって掃除を再開した。



 一方その頃、転移して行った神は……


「うわあ……ドン引き……」


 目の前で繰り広げられる防衛戦と言うか、1対200と言う絶望的な状況で、銃火器で武装する集団に向かい、防具のみ持って鬼気迫る勢いで叫んでいる己の過去の姿にドン引きしている……。


「サーベルとか……うわあ12本も刺さりっぱなしだし……胸当ても撃たれて凹んでて痛いはずなんだけどな……こうやって見たら化け物って言われてたのも納得出来るかも……」


 正確な時間が分からなかったので、街を出たくらいから透明になって後ろを付けていたのだが、いざ戦闘になってみればドン引きである。


 一斉に放たれるマスケット銃の弾丸を鉄扇を斜めに構えていなし、首から上だけを守りつつ、誰1人通さぬと叫び回る姿は化け物そのものだったりする。


「おっ!そろそろだな……って……マジかよ……映画の世界じゃん……」


 水平に放たれた砲弾の直撃を鉄扇の付いた義手を吹き飛ばされただけで、転げ回ったのだが立ち上がろうとする。


 しかし立ち上がった所で……もう向かう気力も無いようだ。再び地面に倒れてしまっている。


「なあ御者君。数の力には勝てんのだよ。いかに君やフェルセン侯が化け物だとしても、離れて攻撃を加えたら何の意味も無いさ……化け物めっ!」


 指揮官が1人だけ倒れる御者の傍に立ち、頬にサーベルを突き立てる。


「う〜ん……あの人って悲惨な死に方をするんだよな……ほっといていいか……。」


 それを透けながら見ている神だが、己の過去に終わりが近付いて来ているようだ。


「首を跳ねて晒してやれ。王家は化け物を飼っていたと触れ回ってな。見てみろこの傷痕を。」


 仮面やカツラを剥がれて顔を晒す。

化け物だ化け物だと連呼されるが、集団の中から斧を持って出て来る者がいた。


「ずっと大っ嫌いだったんですよ。私に首を落とさせて頂きたいです。」


 出て来た人間を見て驚く神。


「テュイルリー宮殿で世話役をしてた……アイツか!」


 何かに気付いたようだが、過去の自分は意識が殆ど残っておらず、必ず必ずと呟いているだけで、首に斧を振り下ろされてしまった。


「必ずお迎えに上がります!」と叫びながら。


「ちっ。ホントに化け物じゃねえか首を跳ねられて叫ぶなんてよ。」


「首から下は要らんだろう。そこら辺で燃やしておけ。私はパリへ向かう。」


 燃やしておけと言われた男が仮面やカツラと共に体を引きずって河原まで移動したのだが、それについて行く神の方のニノ。


「全くよ……オルレアンもケチくせえな。逃亡計画書を盗み出したのは俺なのによ……」


 河原で死体を焼き始めたのだが、一向に死体に火が着かない……


 それもそのはず、透けているニノが服や仮面を付けて仕上げにカツラを被っていて、火に焼かれたら困るからと空気を遮断しているからである。


「う〜ん……罰なあ……ちょっと先を見てみるか……って……口封じにか……この人にも何もしなくていいか。」


 未来眼で先を見れば、報酬を求めてオルレアン公を尋ねて殺される姿が見えたようだ。


「よし!これで準備完了……とりあえず綺麗にして……」


 着込んだ服や仮面やカツラをタブレット操作して綺麗にしたニノ。

過去の己の体が焼けて行く所を見るのだが……


「頑張れよ……俺……」


 その言葉と共に21世紀のストックホルムに舞い戻る。Wikipediaを確認する為に。


「え〜と、wiki……あったあった……あっちょうどヴァレンヌに逃げようとした日だったのか。分かりやすくていいや。」


 服を手に入れて透けるのを止めたニノ。


 今度はこのまま過去に戻るようだ。


「1810年か……結構長生きしたんだな。」


 そんな事を呟きながらヴァレンヌ事件の19年後、1810年6月20日に時渡りしたようだ。





読んで貰えて感謝です。

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