9章エピローグ 若竹さんちの若芽君 ?歳
いつくになったんでしょうね……
息子と共に誘拐されてしまった若芽彦ことガンモ、檻の中で必死に出ようともがいて居るのだが自慢の爪でも檻が壊れる事は無い。
「大いなる主よ。本日はどの様な……」
テューポーンに呼び出されてロキに連れられ、日本上空10万mにハーデスによって作られた空間の中に来ているのは若竹親分とその妻。
「黒。お前ん家の息子がちょっと危険物過ぎるんだよ。俺から色々話してえんだが、暴れて聞いちゃくれねえ。ちょっと大人しくするように言ってくれねえか?」
「え?息子ですか……」
「ポンちゃんの体でもズタボロにしちゃうくらい凶暴なんだよ。母親のあんたなら大人しくなんだろ?」
ガンモの閉じ込められている檻の製作者自らが少しだけ檻に隙間を開けたのだが……
「出せ!僕が行かないと!出せ!早く出せよう!」
怒り狂うガンモの神気が隙間から烈風の如く吹き出ている。
「この声は……若芽彦!若芽彦なの?若芽彦!」
と母親が叫べば……
「ママさん!ママさんの声!ねえママさん、ここから出して!僕が行かないと!僕が居ないと!皆が食べられちゃう!早く出して!」
叫ぶガンモが入る檻に近付いて行く母。
「なあ黒。大人しくするように説得してくれよ。あれじゃ話になんねえ。」
「大いなる主よ……これはいったい?私の息子を閉じ込めて……フシャー!!!」
全身の毛を逆立てて威嚇を始めた若竹親分。
「如何に大いなる主と言えど、我が子を閉じ込める者に従う気はありません!お覚悟っ!」
剥き出した牙と爪でテューポーンに向かって行こうとするが……それまで黙っていたハーデスが。
「閉じ込めているのでは無い。最高のタイミングを用意しているのだ。暴れるな黒芽彦。」
諌めている間に、母の冬華姫は檻に触れたようだ。檻に吸い込まれる冬華姫を追って、黒目彦も一緒に檻に吸い込まれてしまった。
「なんとかなるかな?」「なるだろ?」
「大丈夫だって、ここまでは何回もあったんだよ。あと少しなんだ。何時もあと少しが足りてねえんだ。」
「失敗する度に過去に戻ってやり直すか……」
「最後の仕上げだけなんだけどな。今回で1万回目だ。今まで通りだったら、失敗すんのはわかってんだよ。だからな……最後くらい……最後にしようって決めた時くらい。何時もと違う事をしても良いだろ?」
「だからか?人間型を配下に加え、愛する動物を閉じ込めるなんて……」
「まあ、それは内緒だ。たぶん大丈夫。もうすぐ始まるぜ。ロキ、時渡り界渡りを繰り返すけど絨毯とかトラックの魔力残量は大丈夫かよ?」
テューポーンに言われた事を確認するロキ。
「大丈夫。配達に行った時にフル充電してんのと、大国主から賢者の石を貰ってきたから。余裕だろ?」
そんな話をする3人の神だったが、檻の中では……
「パパさん。ママさん。僕は大切なモノが沢山出来たんだよ。守ってあげなくちゃいけないんだよ。だから帰りたいよ。僕をここから出してよ。パパさんは凄く強いんだよね?ママさんも凄く強いんだよね?」
テューポーンをズタボロに出来る程の息子に何を言うのか、母が思案していると……
「若芽彦。良く聞きなさい。お前がいくら暴れようと、ここからは出られない。だけどな、お前を捕まえた方は、お前に最高のヒーローになるタイミングを用意して下さるとの事だ。お前はヒーローになりたいか?」
迸っていたガンモから放たれる神気が落ち着きを見せ始める。
「僕のヒーローはニノなの。ニノよりカッコイイヒーローになれる?」
「もちろんさ。お前が1番カッコイイヒーローになれるよ。だから我慢出来るかい?大人しくしているって約束出来るかい?」
「大人しくしたくないけど我慢する。パパさん……ママさん……僕はお嫁さんが出来てパパになったんだよ。パパさんから1文字貰って付けた名前と、ママさんの見た目のカッコイイ男の子が居るんだ。示芽慈彦って言うんだよ。僕もパパさんみたく、示芽慈彦から見たらカッコイイヒーローに見えてるのかな?」
母や父と数年ぶりに触れ合うガンモ。
凶暴さは也を潜め、普段の癒し系に戻って来ている。
「若芽彦の息子か。若芽彦に似て元気な子なんだろうな。」
「うん!凄く元気だよ。一緒に捕まってるんだ。助けてよ。僕と一緒に助けようよ。」
そのタイミングでテューポーンが檻に向かって話し掛けた。
「おい、若芽。お前やお前の息子に1番大事な事を任せる。ヒーローになりたいか?」
「ヒーローなんてならなくていい。僕は何時もの僕のままでいい!」
「それなら息子と一緒に大人しくしとけ。最高のタイミングを教えてやる。出来るか?」
「出来るか?じゃない!やる!」
2つあった檻を融合させたテューポーン。
ガンモとシメジが同じ檻の中に入っている。
「パパさんっ!」「示芽慈。」「おお!この子が……」「九尾?……」
「まあ待ってろ。もう始まるからよ……」
いつの間にかハーデスの用意した空間は、ヨーロッパ上空に来ていた。
ガンモの年齢……う〜ん……次回は最後の閑話です。
読んで貰えて感謝です。




