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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
9章 必ずと誓った事
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田崎 和信 28歳

28歳です。


 兄の借金も完済し終わり、1年が過ぎたある日。

リーマンショックの影響を受けて働いている親戚の経営する工務店が倒産する事になった。


「う〜ん……貯金を減らすのもだもんなあ……帰ろっかな……。」


 ずっと住み込みだった為に、たいして家財道具も持っておらず、軽トラ1台に大工道具と私物を乗せて関東の秘境へと帰って行く和信。


「俺の荷物って少ないのな……」


 私物と言えば衣類と本、コツコツ集めた多少のバイクの部品くらいである。


「よし!心機一転農業でもやるか。とりあえず玉ねぎでも作ろっかな。あとは……米かな……」


 ラジオから流れるAMを聞きながら高速道路を80kmで東に向かう和信。案外気楽そうだ。



「ただいま。帰ってきたよー。」


「和信!丁度よかった手伝え!婆さんがぶっ倒れた。病院に連れていかねば。」


 帰ってそうそうである。


「まじ?車って……俺の軽トラ?」


 大急ぎで荷台から荷物を降ろして、布団を敷いて祖母を乗せて街へと走る。


 緑のシートを被せて……


「ふぅ良かった良かった。死ぬ程の事じゃ無かったみたいだな。」


「ほんとにだ。お前が帰ってくる日を狙って倒れんでも良かろうに……おかえり和信。」


 実家の軽トラで母親が別で来ており、母を置いて1度帰る事になったらしい。


 父親と2人で山道を走りながら、仕事をどうするか相談しているのだが、実家に着いたら……


「やっと帰ってきた。父さん……和信……」


 兄が居た。そしてまた金の無心である。


「今度は不倫の慰謝料?馬鹿か?んで相手はどんな奴なんだよ?」


 一応話くらいは聞こうと思ったらしい。


「それがな……お前の2学年上の……そこの養鶏場の……」


「まじ?うわあ……どこで会ったんだよ?」


 ご近所さんの娘さんだったりする。


「それがさ、東京でなんだ……久々に会って懐かしい話しをしてるうちに、つい……」


「ついで慰謝料300万?ばっかじゃねえの?」


 今回は父親も叔父も呆れ果てて物が言えないようだ。


「んで相手は離婚とか再婚とかすんのかよ?」


「今の旦那と離婚して俺と一緒になるつもりだ。」


 少し考える和信……


「んじゃ結婚祝いにやる。その代わりさ。マトモになってくれよ……長男だろ?」


 貯金通帳と印鑑を兄に投げる和信、貯金残高は270万と少し。倒産する直前まで、そこそこの金額の日当は貰っていたらしい。


「ちょっと足りないけど、足りない分くらい自分でどうにかしろ。大人なんだしさ。」


 弟に礼を言って実家を後にする兄。

それを見て、黙っていた叔父が和信に語り掛ける。


「お前は自分の事を優先しろ。何もかんもやらんでいいだろうが……」


「俺の欲しい物ってさRZ35〇なんだよ。だからさ……別に良いよ金なんて、働けば良いんだし。置いててくれてんだろ?いってぇぇぇ!なにすんだよ!」


 ゲンコツを喰らったらしい。

だけど昔ほどに痛くなかったようだ。


「ビカビカにしとるわ。色々部品も増えとるぞ。」


「おっ!俺もさ、関西で色々見に行って集めたんだよ。中古部品が殆どだけどさ。」


「ワシのハーレーも仕上がっとるぞ。見るか?」


「もちろん。楽しみだったんだよ。セルとか付いてない時代のやつだろ?プレミアついてんじゃん。」


 貯金残高は0になって、財布の中に入っている3万円が全財産になったが、その日からは自分の為に自分の時間を使う事が出来るようになった。


 因みに入院した婆さんだが、孫より5年も長生きする事になる。




読んで貰えて感謝です。


あと2話で9章が終わります。


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