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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
9章 必ずと誓った事
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田崎 和信 4歳

4歳です。


 関東の秘境、未開の地の山奥の村に1人の少年が楽しく暮らしいている。

保育園や幼稚園が近くには無く、小学校に上がるまで自宅で祖父母に面倒を見てもらっているのだが。


 今日は1つ下の妹が熱を出して祖父母は病院に行ってしまった。少年は留守番をしているのだが、両親が近くの田んぼで働いているので、遊びに行くと決めたようだ。


「えいっ!やっ!とぉーーー!」


 少年が何をしているかと言うと……雑草を叩き切るのに丁度良さげな枝を持ち、雑草を斬りながら歩いている。気分は暴れん坊な将軍らしく……


「しぇーばいっ!シャキーン!」


 その時は御庭番が斬るのだが自分で草を斬っているようだ。


「かーきっ!かーき!あまーいあまーいかーき!」


 早々に草を切る事に飽きたらしく少年は柿の木に登り始める。渋柿の木なのだが……


 毎年2回祭りの開かれる場所に生えている柿の木に登る少年だったが、柿に手を伸ばした所で、枝が折れて転落してしまった。


「ぶぶぇぇぇーーーー?あれ?いたくないっ!」


 目の前に父親に似た大人が立っており、痛かったはずの膝に手を当ててくれている。


「おじさんだーれ?なんではげてるの?ボクはカズくん。おじさんこんにちは。」


「はい、こんにちは。柿の木は登ったらダメだよ。柿の木は堅いけど折れやすいんだから。」


「かきはダメ?なんで?なんで?」


 少年にとって初めて見る大人より、柿の木の事が気になるようだ。


「木には色々な種類があって、堅かったり柔らかかったりなんだよ。その中で柿の木は登っちゃダメな木なの危ないよ。」


「かきはダメ。うん、おぼえた。かきはオイシイけどダメ。」


 ニコニコ笑う目の前のおじさんが他人の気がしないカズ君。


「さっきまで持っていた枝はカズ君じゃ折れないでしょ?」


「んー……しらない!おってみる。」


 柿の木に登る前に持っていた枝を折ろうとする和信少年……だがしなるばかりで折れない。


「ほら、今度は柿の木の枝を折ってごらん。」


 おじさんから受け取った、雑草を叩き斬るのに丁度良さげな枝と同じぐらいの太さの柿の枝を折ろうとすると……


「うわっ!おれた?なんで?なんで?」


「木は色々あるんだよ。折れるのも折れないのもビョーンってなるのもね。色々試してごらん。」


「うん!」


 元気に返事をする和信少年なのだが。


「おとうさんにもおしえてくる。ヘンなおじさんにおしえてもらったよって。」


「ああ。それはいけません。お父さんに柿の木から落ちた事も話すのですか?怒られますよ?」


「う〜ん……おこられる。おかあさんにもおおきなこえでおこられる。カズくんはおしえない。」


 笑顔のおじさんが右手に持っていた飴玉を口に放り込んで貰って、楽しそうに草を薙ぎ払いながら家に帰って行った。


「やはり子供は元気があり過ぎてもダメですねえ。今日は私がたまたま見ていたから大事になりませんでしたけど、膝のすぐ下から骨が飛び出てましたし、危ないとこでした。」


 ほっと一息マルトさん。まだこの頃は年に2回のお祭りもあり、たまに近所の人間がお供え物を供えて手を合わせて行ってくれていたので、十全に力が発揮出来ていたようだ。


 この時の影響なのか、木の特性に興味を持ち始め、少年が将来就職する時に木造建築業を選んだのかは誰も知らない。




読んで貰えて感謝です。

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