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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
9章 必ずと誓った事
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1つ手前

1つ手前です。


 昭和52年某日。


「まあ、今回は投げられる生き物になれててよかったやん。体が100%残っとるなんて珍しい事やんな。」


 目の前に寝そべるチンパンジーに話し掛ける飼育員の姿を借りた課長。


「どうなんでしょうか?自分で投げた時は……殆どキツイのばっかりだったのですが……」


 数える事も嫌になる程の転生を繰り返したニノ。

いつの間にか口調まで変わっているようだ。


「まあ投げてみんと分からんやん?とりあえず投げてみ。」


 飛んで行ったダーツの矢は……


 昭和後期・日本・男性


「おお!昭和後期やったら、そこそこ安定しとる時代やん。餓死とか無いやろね。」


 その言葉に胸を撫で下ろすチンパンジーの姿のニノ。


「もうすぐ目的の所まで届きそうなんやし、ラストスパートやで。今回で1ポイントでも貯められたら見えてくんで。」


 課長の言葉に微笑むチンパンジーなのだが。


「まあそろそろホンマの名前を教えとかなあかんね。俺の名前はハーデス。冥王ハーデスだ。」


 生まれ変わる為に転移して行きながら……


「冥王…………ぜんぜん課長なんかじゃないだろうが!」


 そんな事を言いながら消えて行ったニノ。


「ふぅ。あと1ポイントで350か……長かったわホンマに……帰って昼の仕込みせなな……」


 冥王と名乗った課長は自身の経営する鉄板焼き屋の仕込みに帰って行った。



 大阪某所。


「ポンおじ。今回で多分350貯まりよるで。」


「うわぁホントかハデっちゃん。長かったなあ……解脱ってめんどくせぇな……。」


「それは俺も同感。んで今回はどんな面白死亡シーンを見せてくれるんだろ?」


 お好み焼きが焼き上がる時間に書類を確認する冥王……


「田崎 和信って言う人間やね。え〜とな。死因死因……。」


 たまにすごく面白い死に方をするニノの次の死因を楽しみにしているロキと黙ってお好み焼きが焼けるのを見ているテューポーン。


「うわぁコイツ酷い人生やわ……。」


 どんな感じなのか気になるロキ……テューポーンは気にもしていない。


「大まかに言うとな……4歳の時に柿を取ろうと柿の木に登って転落して左膝に障害が残り、いじめの対象となって中学までを過ごす。高校2年夏休み前、16歳で歳の離れた兄が作った借金の保証人になっていた親を助ける為に、高校を中退して就職。妹の大学進学の為に夜も働き、本人は貧乏生活。28歳で借金の返済も終わって実家に帰るも、過疎化の進む老人だけの集落では恋人も出来ず。40歳までに農作業の手伝いや日雇い仕事で150万貯めるも、再度兄の借金を肩代わりして貯金の全て渡そうとしたのだが、その話を聞いていた叔父が怒り出して振り回す槍から兄を庇って、顔に槍を受けて左目を失明、右目は微妙に視力が残る。1ヶ月後の台風の日に田んぼを見に行く途中、家の傍の側溝に落ちて溺死。その時に持っていた全財産は7円だった。悲惨やね……趣味は携帯ラジオでのんびりAMを聞くことやってさ……。」


 ドン引きしているロキなのだが、その時になってやっとテューポーンが声を出した。


「その通りにはなんねえよ。モイラ三姉妹が居ない太陽系の人間じゃな。三姉妹が居なきゃ人間達の運命は微妙に狂ってんだし。」


「ああ……運命の女神達か……あの時は驚いたぞ。急に堕天したいと言い出して尋ねて来たのだから。」


「ハルピュイアになっちゃった女神達だっけ?」


 ロキの質問にこくりと頷くハーデス。


「俺がゼウスの攻撃を受けた時に、世界中に飛び散った無常の果実の効果が宿った食べ物に、糞ぶっ掛けて食えなくして回ってたんだよな。女神だったのによ……今じゃ、終わったから俺の世界で保護してるぜ。」


「だよなあ……色々変だもんな。普通は……精神文明と機械文明が上手く調和して発展して行くもんだけどよ。機械文明に偏りすぎじゃない?今の地球ってさ。」


「こうならへんのなら、ちょっとか安心か。そろそろええ感じやで。今回のはソースとマヨは混ぜて塗ってみてや。」


 美味そうに焼けたお好み焼きを頬張るテューポーンとロキ。


 テューポーンは野菜のみ、ロキは野菜とコーンのみだったりする。





読んで貰えて感謝です。


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