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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
9章 必ずと誓った事
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夭折

漢字1文字で表すと……



でしょうか?


 時は流れ、ルイ16世一家にまた1人家族が増えた。次男ルイ・シャルル。後にルイ17世となる者である。

 4歳年上の兄や7歳年上の姉と同じ様に祝福され。立派な王子となる事を期待されている。


 この頃のルイ16世はと言うと、義手を作ったり、仮面を作ったりでモノづくりに目覚めてしまって、最近では錠前を作る事が楽しみのようだ。


「陛下。陛下。公務のお時間です。陛下!」


「わかっている。あと5分……いや3分……」


 もう少しで仕上げが終わりそうなのだが、従者の少年……いやもう少年とは呼べない。

プライベートの時間に従者をしているニノに何度も陛下と呼ばれるのだが……


「ああ!ニノはうるさいなあ……公務は逃げはせん。まだ十分間に合う時間では無いか。」


「うるさくして良いと仰ったのは陛下では無いですか。さあ、皆さん陛下をお待ちです。机の上はそのままにしておきますから早く準備をなさって下さい。」


 少し考えたルイ16世。右手をおもむろに頭を搔く為に上げたのだが、ニノは萎縮すること無く平然と自分を見続けている。


「うむ、そうだな。皆を待たせてはいけないな。」


 やっと大人が手を振り上げても、怯える事も無くなったかと一安心したようだ。


「ええ、待たせてはいけません。」


 この頃はアメリカ独立戦争も終結しており、兼ねてからの財政難が一息付けそうな時だったのだが……


 ルイ14世、ルイ15世と2代続いた浪費でとうの昔に財政破綻を起こしていた。

錠前作りなどと言う王に似合わない趣味も金銭的に余裕が無かったからだったのかも知れない。



 翌年。



 その日はルイ・オーギュストとマリー・アントワネットにとっては忘れられない日になった。

かねてより病弱であったジョゼフが結核と診断されてしまったから。


 怪しい兆候はあったのだ。次男の誕生の近くに種痘を受けたのだが、体調を、崩していたし、更にその前年には高熱で治療を受けたりしていた。


 微熱が続き咳き込み辛そうな顔をする我が子の為に最高の医師団を付けたのだが、当時の医学では病弱な子供が結核に掛かれば命を落とす方が多かった。


 少しずつ曲がってゆく背骨のせいで活発で聡明だったドーファンは歩行すら困難になって行く。


 息子の為にと手製の鉄のコルセットを作る為に殆ど睡眠すら取らず、それでいて辛い顔を見せないルイ・オーギュスト。


 付き添う従者の少年と共にジョゼフの回復を祈りながら、ジョゼフの隣で手を添える妻と長女を見ながら、何を考えていたのだろう。



 そして数年の時が流れる。


 ドーファン、ルイ・ジョゼフがムードン城で7歳と言う短い命を終えた。


 ルイ16世一家は落胆した。その中で1人気丈だったのがマリー・アントワネット。


「ねえ陛下……いつまでも悲しみに明け暮れていてもジョゼフは喜びませんわ。」


「マリー……お前は悲しく無いのか?母であろう……」


 その問に答えず、ただ夫を見つめるマリー・アントワネット。


「そうであるな。私はフランス国王なのだな。家族の大事より国の大事で、あるか……」


 前年1月には脊椎カリエスで先は長く無いだろうと診断されていて覚悟が出来ていたのか、それともただ気丈に振舞っていただけなのか、それは夫ルイ16世にすら分からなかった。



 ハンス・アクセル・フェルセン侯爵が悲報を聞いて尋ねて来たのはその日の夜の事。


 疲れ果てて寝ているオーギュストやアントワネットを起こすのはしのびないと思い、起きていた従者のニノに話しかけようとしたのだが……ニノの方から話し掛けられた。


「申し訳ありませんハンス様。ジョゼフ王太子をお守りする事が出来ませんでした。」


 病気なのだが、それでも……幼い命が終わった事が、守れなかった事が許せなかったようだ。


「私めを罰して下さい。お願いします。」


 その言葉に驚きながらも、少し考えたハンス侯。


「ニノ。ジョゼフは天に召されて主の世界で幸せに暮らすのだよ。誰が罰されることも無い。ニノ、お前を罰してジョゼフが帰って来るのか?」


「いえ……帰って来ません。」


「それなら、悲しみに明け暮れるオーギュストやアントワネット達、国王家族の支えになってあげなさい。いいね?」


「はい……でも……私でなれるでしょうか?」


 ニコッと笑ったハンス侯……


「なれるでしょうか?では無い。なるのだよ。いいね?」


 その言葉を聞いて涙するニノをハンスは我が子のよう抱き締め、聡明で活発だった友の子の夭折を悲しんで共に泣いた。


本作と殆ど関係ありませんが……

猫のふてぶてしさにはビックリですね。

ガンモのモデルになった我が家の愛猫が無くして来たリードは……私の2日分の小遣い相当でした……


普段リードを掛けている壁の近くまで行って、外に連れていけよって合図するんです。リードを自分で無くして来たのに……ちょっと1週間程節約生活です。


こんなあとがきまで読んで貰えて感謝です。


ストックが無くなったので、明日から1日1話程度の更新のつもりです。

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