何故に武器を取ったのか
理由
まずはニカラの氏族の男鬼からだってアオさんが叫んだ……
「ニノ様。我々は戦いを止めない、戦う事こそが鬼の存在意義だから。ニノ様、我々はそれ程頼りないですか?我々は貴方の役に少しも立てないですか?舐めないで貰いたい。貴方から受けた恩を少しでも返したい。貴方が苦悩するなら、それを少しでも軽減したい。我々にも背負わせろ。貴方が聖域にいる間、一睡もせずに仕事をし続けて何年経った!知らないとでも思っているのか!」
そう言って男の鬼さん達が前に出てきた……
その真ん中をかき分けるようにベニさんが出てきて……
「女衆の文句はアタイから言わして貰うよ。なあニノ様、あんたはいつも苦しんでるだろ?あたし達ゃガサツな鬼だよ、でもそれが分からないとでも思ってるのかい?舐めんじゃないよ。アタイらが少しでも軽くしてやるさね!もっとアタイらを信用しな!グダグダ言うなら吹っ飛ばしてやるさね!」
ハクさんとパンさんが左右に別れて魔法を浮かべながら女衆も男衆に混ざって行った……
そして……
「なあニノ様。あんたに貰った命じゃ。あんたに返して何が悪いんじゃ。あんたの事を心配して何が悪いんじゃ。ワシらドワーフはあんたに受けた恩を何一つ返しとらん。あんたは戦いが嫌いなんじゃろ?それならワシらが戦ってやる。あんたの代わりに戦ってやる。じゃからワシはあんたに従わん!ワシらドワーフはあんたの言う武器を捨てろと言う言葉に従わん!ドワーフをバカにするのはたいがいにせい!鉄を叩くより、酒を飲むより、恩人に恩を返す事の方がドワーフにとっては何より1番大切なんじゃ!」
ヒヒイロカネとオリハルコンで作られた大きな盾を構えたドルトさん、オリハルコンの大きな斧を構えたゴッペさん、世界樹の枝で作った杖を構えたコリンナさん、金剛木の弓とヒヒイロカネの鏃の付いた矢を構えたアルトさん……4人が俺の方に武器を向けて……
「ニノ様。ドワーフと同じ様な事を言うのは気に食わないが、エルフはただ植物が有ればいいなんて生き物じゃない。エルフにも様々な者が居るが、エルフは恩を仇で返す様な事は絶対にしない。貴方が我々に見せてくれた物を、我々の為に作ろうと言ってくれた物を知って、それを恩に感じない訳が無いだろう!貴方の敵は我々の敵。貴方の力が星を砕くと言うなら、我々は植物と共に星を守ってやる!」
アントニウスさんまで……
「田崎さ……いや、ニノさん。我々魔族や魔物は貴方をずっと待ってたんだ。僕は貴方と同じ世界で産まれて、同じ世界で育って、貴方と似たような感覚だけど、それでも言いたい。1人で背負わないで、周りを頼って、どんな生き物とも言葉を交わせるんですよね?それならもっと話して下さい。何に苦悩してるのか、何をしようとしてるのか、そんなに僕達は頼りないですか?たとえ相手が神だったとしても、叶わなくたって、いくらでもゾンビアタックしながら向かってやりますよ!魔物や魔族を舐めないで下さい!」
東郷君も……
「ワシらは同じ釜の飯を食って同じ樽の酒を飲んだ友じゃろ!ワシらをもっと頼れ!嫌と言うなら……」
「「嫌と言うならぶっ殺して言う事聞かせてやる!」」
なんだよその言い方……
「ぶっ殺される訳が無いでしょう……馬鹿じゃ無いですか?そんな事を言われて喜ぶとでも思ってるのかよ……喜ば……喜ばない……」
ふざけんなよ……皆が争う事で辛い思いをして生きて来たって知ってるから頑張ってたのに……
「ニノにい…………」
最長老がビデオカメラ片手に撮影してんのがイラッとするけど……
「喜ばない訳が無いでしょ…………」
俺の呟きを皆が聞いて、パンツの大地がパンツノの大地なった祝いだって……宴の準備だって……
「全くもう……ニノ様って自分が1番石頭だってわかって無かったのかしら?少しでも柔らかくなったのかな?モモ、皆を引き連れて宴の準備よ。我らのニノ様の星神就任を祝う宴のね。」
なんて言いながらエメリーさんが子供達と一緒に大きな樽を持って広場に現れた……
ガンモ、シメジ……どこ行ったんだよ?聖域の皆は馬鹿で頑固で良い奴ばっかりだよ。早く帰っておいで……
最長老やエントさん達、四聖獣達がワイワイ言いながら……
「これでこの星は新しき主の物となったが、この動画は古き大いなる主に送らねばならぬな。」
「やっと肩の荷が降りましたわい。これからは聖域の守りに徹する事が出来ますな。」
「制空権は完全に俺の物にする。地面は……」
「もちろん任せといてよ、この姿なら誰にも負けないわ。」
「頼もしい頼もしい。どれ、孫の再教育といきますかな。」
なんて言いながらそれぞれの場所へと帰って行った……
スッポンさんがドワーフに文句を言わなかった理由です。
読んで貰えて感謝です。




