仏の顔も4度目は
3度は我慢するんです
俺の念力で動きを止められなかったのが、カンタ君とガンモ。でもカンタ君は少し冷静になったのか、体のサイズが何時もくらいに戻ってて、ガンモはカンタ君の頭に乗って癒し魔法を発動してた。
んで俺は……
「植物さん、虫さん。皆這い出て。植物さんは地面に戻って、虫さんはカンタ君の所へ。」
あとは……
「角うなぎさん、スッポンさん。乾いたら弱っちゃうでしょ。とにかく霧雨にしときます。早く海に戻って。」
タブレットを操作して霧雨にして……まずは……
「お前やっぱり水だろ?なあ俺だよ俺!」
アバターを変えないとって焦れば焦る程に上手く行かない。
「ほら。見てみろよ。俺だよ金だよ。」
金鬼に変化した俺を見て、拘束してるから動けないし喋れないけど、わかってくれたみたいだ。あとは……
「そっちの高校生は喋れるように……」
1人だけ念力の拘束を弱くして……ちゃんと見てみると……
「和信叔父さんですよね?私です。姪の千夏です。」
姪…………あっ!
「うわ!千夏ちゃん?大きくなってるから分かんなかった。なんでこんな所に?」
妹の長女で死ぬ前に会ったのは小学6年生くらいだったかな……姪が居た……
「千夏ちゃん。ちょい待ってね。」
何時もの田崎和信アバターに戻そうと初期アバターに戻ったらニノアバターで、また焦ってタブレットを操作して田崎和信アバターに戻った。
「ニノにい焦りすぎ。若芽彦あんがと、もう大丈夫だよ。んで水神、お前はオイラを舐めてんのか?ぶっ殺すぞ!神の癖に人間の女の尻ばっか追い掛けやがって、やるべき事があんだろ!」
「まあまあカンタ君。ここじゃなんだから家に戻ろ。拘束したままで運ぶよ。」
自分より怒ってる奴が居ると冷静になるってホントなんだな。カンタ君の怒りっぷりが凄い……
「角うなぎさんもスッポンさんも、海から首だけ伸ばして見に来てくだ……ってトンビもハルちゃんまで……」
現地人達はどうでも良いや。最長老に任せるのもなんだし、俺が処分しようかな……
「とりあえず、そこの魔人共。お前らは種族ごと処罰してやる。あと1分遅れたら沢山死んでたんだからな。」
全員を鑑定で確認したけど、水鬼が惑星パンツで殺した生き物は0。千夏ちゃんはインフルエンザウイルスすら保菌してなくて、殺した生き物も0。だけど……
「なんだよお前ら。聖職者なんだろ?なんでそんなに死を振り撒いてんだよ?」
騎士っぽいのは、動物とか魔物とか関係無く、人間とかの子供まで何千何万と殺してるし。
神官っぽいのも同じく。凄い数の生き物を殺してる……どっちも聖域の生き物を殺そうとして、というか……俺とガンモが来てなかったら確実に数百の生命を奪ってて……
鑑定で細かく見たら、結局コイツらも白い月に封じ込められてた神々のせいみたいで。
「なんなんだよコレ……」
何万体居るか分からない位の数のスッポンさんに守られてた地面に生きる者達から心配されつつ、家のある平原まで帰って来た。そしてミッションを与えていた皆も帰って来てて。何時も集まる広場に集合してる……
「皆さん。少し問題が起きました。ちょいミッションの報告は持って下さい。先にこっちを処理しますから。」
俺が念力で運んでる姪っ子の頭にガンモが乗ってて。
「ニノが動かなくて沢山人間が来た時に来てた奴!この匂いは覚えてる。」
なんて言ってた……俺の葬式に来てたっけ?来てたんだろうな……覚えてないや。
「とりあえず先に水から拘束を解くから。言いたい事があるなら聞くよ。覚悟して話せ。」
たとえ昔の仲間でも許せない事はある。いや……昔の仲間だから許せないのかもしれない。
「ニノにい。情けなんて微塵も必要無いからね。手足を毟ってやってよ。オイラの子供達にした事を返してやって。」
「わかってるよカンタ君。さすがに俺も許せない。」
ホントに危なかったんだ。植生さん達は地面から抜かれても暫くは生きてられるけど、虫さん達は頭をもぎ取られてて……食道下神経節が無ければ確実に死んでた。
「お前達が奪おうとした命はいずれ神に至る神聖な魂だ。同じ重さと思うなよ。」
死んだらちゃんとパンツァー様の主星に召されて神に至れるの?俺が暮らし初めてから死んだのが居ないからわからん。本当にゴメンな俺が聖域を離れたばっかりにさ……外界の事はテキトーにか……
「さあ水……いや今は水神か。話してみろ。」
俺の大切な人が昔言ってたんだ……「仏の顔も4度目から殴って良いらしい。主イエス・キリストの右の頬を殴ったら左の頬を殴って良いらしい。ならば人間くらい最初から殴って良いだろ?なあニノ。」ってな……俺もそう思う。
4度目から殴って良いのだろうか?
まあフィクションなんで許して下さい。
読んで貰えて感謝です。




