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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
8章 惑星パンツが……
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免許証

マルトさん回


 裏出雲大社に戻って来た国さんとマルトさん。

マルトさんは、そのまま裏出雲大社で小型限定普通二輪車免許の習得を目指すようだ。


「マルトよ。何故に今なのだ?帰ってからゆっくり地元の教習所に行けば良いのではないか?」


「いえ。私の住む村は教習所まで徒歩だと4時間程掛かります。ニノさんの神気が満ちているうちに習得してしまいたいのです。」


 何故かキリッとしているマルトさん。神気全開放しているようだ。


「ニノさんは10日程と言いました。あちらと時間軸が違うので、こちらだと3日しかありません。ですから明日には習得して明後日には自宅に戻りたいのです。」


「うむ。そうだな。2日で習得するとなると人間の教習所に通っていては不可能か。」


 マルトさんは自転車にすら乗れない。だって普段は自分の足で歩いているから。


「ニノさんが全てを終わらせたら。ニノさんから頂いた神器化しているパ○ソルを皆に自慢しながらニノさんとツーリングをするんです。これが私の友神(ゆうじん)で、パッソルは素晴らしい神器なのですよと。」


「そうであるか……真剣なのだな。ワシも学科試験の勉強に付き合おうではないか。」


 通常だと100問中95問正解で合格な学科試験だが、神である場合だと問題の違う学科試験を5回全問正解でないと受かれないのである。


「安心しろ、殆ど引っ掛け問題は出ない。それよりもマルト。工事用ヘルメットでは乗ってはいかんのだぞ……」


「私はヘルメットと言えばコレしか持っていなくて……」


 仕方ないと言いながら国さんが出して来たヘルメットは、マルトさんに似合い過ぎなジェットヘル。もちろん国さんの所持品だったので神器である。


「これの効果は眠気防止と意識覚醒と聴覚強化だ。お主の権能とは相性が良いであろう?これまでニノの監視を続けてくれた褒美に渡しておこう。」


「監視なんか……ずっと前に止めましたよ。特級神なのに私の事を気遣って神力を可能な限り抑えてくれるニノさんに失礼でしたから。」


 マルトさんは、だいぶ前から友人扱いしていたようだ。報告書を求められもしたのだが、文字にするのも恐れ多いと言って報告書を書く事すらしていない。


「何故にニノは他の日本神(にほんじん)には攻撃的なのに、マルトにだけは優しいのだろうか……不思議でたまらん。」


「私にも分かりません。でも解脱した直後からずっと優しかったですよ。」


 ニノが解脱した後に初めてまともに話した相手である。この話は風神も知らない。


「ニノさんの神力……初めて鑑定した時は首から上が無理矢理初期アバターに戻されてしまい素顔を晒しましたし、その後どうやっても人間アバターに変化させる事すら出来ませんでした。恐怖と威圧で……そして……」


 マルトさんが見たものは……


「最初にお名前が新裸神となっていたのです……」


「マルト!何故にそれを早く言わん!自然治癒能力の欠片すら持たん、必ず祟り神へと至る幼体の名前ではないか!」


「ですから御名前を頂くように指示したのですよ。ニノさんが簡単に祟り神になるとでも?」


 マルトさんしか知らない事がもう1つ……


「若竹の猫又一族。いずれ九尾に至る事が確定していた若芽彦君ことガンモ君が常に傍に居るのです。祟り神なんかになったりしませんよ。」

 

「それは邪神になる予定の者の名前では無いか!そんな者が近くに居て何になると言うのだ!祟り神を強くするだけではないか!」


 それが違うんだ。


「千年先まで観ました。美味しそうにカリカリと焼きカツオを食べる所や、楽しそうに飼い主と遊ぶ姿を見たのです。外れる事は万に1つ程……それでも祟り神になると?」


「なんと!してそのガっ……ガっ…………」


 国さんでもガンモの名前は許可無く呼べない。


「ガンモ君の名を呼べる訳がありませんよ……日本の神々だと。ガンモ君が神獣化した時には既に神格3520ありましたから。今ではもっと格が上がっている事でしょう。」


「猫又から神獣化したのであろう!何故にそのような………………ニノか?ニノが何かしたのか?」


 もちろんである。


「トラックに跳ねられて一緒に死亡したガンモ君を、無意識のうちに自分の身の内に隠れている神の力全てを使って生き返らせたんでしょうね。生まれながらに神獣でも無い限り、死なずに神獣化は出来ませんから……」


 マルトさんが神気を抑える事を知らない解脱直後のニノの横で平然と話せて居たのは、同じ部屋に既に神獣の1種の猫又化していた尻尾が分裂中のガンモが居たから。


「大丈夫です。神界大戦の未来なんて来ません。ニノさんとガンモ君ですよ?種族は違っても親子であり兄弟なのですから。あの二人の絆は。」


 そんな話をしながら、マルトさんの目は凄い速さで動いていた。記憶眼・1度見た物は目に記憶出来る容量2TBの便利な目。ニノと出会った時に兎の顔のままで発動していた目である。


「マルト。お主をテューポーン殿から捩じ込まれた時は、なんと言う矮小な木っ端神を道祖神にしなければと気に病んだが……今では間違いだったと思う。もしかアレが祟りになって日ノ本に降り注いだら、その時は頼むぞ。その目を使って皆を導いてくれ。」


「もちろんです。テューポーン様の眼を頂いたのですから、私がやらなければ誰がやるのです。」


 キリッとしたマルトさんの頭に……パッソルのミラーに反射した夕日が当たって後光がさしていた。


 その後に受けた5連続筆記試験では1問も落とすこなく合格したマルトさん。国さんにお礼を言って種有り仙桃を裏出雲大社の本殿に奉納した後に、パッソルに乗って消えて浮いて自宅の社に帰って行った。

食べさせるだけでは眷属に出来ませんからね。

権能と名前を渡して手ずから物を食べさせる。


名前はガンモ。権能はトラックに跳ねられた後の死の淵からの癒し。食べ物は焼きカツオです。


明日は2話更新予定、明後日も2話更新予定です。


読んで貰えて感謝です。

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