可愛くないのは潰す
カワイイは正義なのかな?違うと思う。
ラスト大陸のミッションに参加しているのはアントニウス、エルフアバターのアカ、人間アバターのハク、人間アバターのエンジ、そして……遠隔ゴーレム。
「しかしカンタ様。そのゴーレムの動きは滑らかですな。木製ゴーレムでしょう?構造が気になりますな。」
「アントン。だめだよばらしちゃ。これって世界樹の幹の部分の木材と、ヒヒイロカネとオリハルコンの導通部分で構成されてる神器なんだから。」
呆れているアカ、ハク、エンジ。
「どう見ても牛ですな……しかし何故に赤いのですか?」
見た目は赤べこだったりする。
「昔流行ったんだよ。戦う時は変形するから心配しないで。」
トランスフォームするらしい。
「カンタ様の手を煩わせるようなザマにはならないね。アタイらで大丈夫さね。」
とか言ってるハクさんだったが……
「やめろアカ!そんな可愛い子を殺すな!」
ダンジョンの中にいざ入って見れば、魔物の可愛さに気付いたハクさんがアカさんやエンジさんを止める。
「ハク。コレは本物じゃないよ。生き返るための義体だから気にせず倒さないと。」
アントニウスさんの懐に潜んでいたイバラタイプのアルラウネがハクさんに絡み付く。
「迷惑を掛けるな。エルフの悲願が達成出来るかどうかの瀬戸際なのだ。情けを掛ける方が害悪と言う物だ。」
「出来るだけ一瞬で終わらそう。だから止めるなハク。」
普段は武器を構えることも無く。背に背負う事も無いエンジが棍棒を振り回して戦っている。
「わかったよ。アタイは何もしないさね。あんた達で好きにやりなよ。」
そうは言ってもハクも鬼である。戦う事が嫌いな訳が無い。
「ヒャッハー!やっぱりぶっ殺すのは良いねえ。我慢してたからスッキリ爽快さね。」
自分より巨大な魔物は可愛くないようだ。
「世界樹の枝の杖と特級魔石が有れば神にも通用する魔法の威力になるってのはホントみたいだね。」
「このヒヒイロカネコーティングの棍棒も凄いな。神をも殺せる神器か。納得がいく。」
「ヒヒイロカネコーティングの鏃の付いた矢も凄いぞ。何処までも突き刺さる。」
「ヒヒイロカネを触媒にして植物を操作すれば実態の無い物にでも効果があるのだな。良い事を知った。」
「おいおい、ニノにいとでも戦うつもりか?さすがにそれは見逃せないぞ?」
そんな事はありませんよと言う4人は終始カンタ君の操るゴーレムの顔を見なかった。
そして聖域では。
「ヤバいよニノにい。なんか変だよ……こんな時に転移しないで走って行くとかタイミング悪いよ……全くもう……」
「どうなさいましたかなカンタ様?わたくしめで良ければお聞きしますよ?」
盆栽の最長老がカンタ君に話しかけた。
「なんか皆が変なんだよ。ニノにいに反乱を起こそうとしてるのかな?攻撃的になってるし……。」
「ご心配なさらず。たとえ聖域中の生き物が反乱を起こしても。ワシ1人でなんとでもなりますのじゃ。」
「そうだな。さすが元ビーナスの最高植物神。巨大な爬虫類系の神々とバチバチやり合ってただけの事はあるか。」
ふっおっふっおっと笑う最長老の顔は目が全く笑っていなかった。
読んで貰えて感謝です。




