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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
8章 惑星パンツが……
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炊き肉食べて覚悟を決めろ

たぶん……この旅行回が最後のコメディパートになると思います。


 大急ぎで実家に転移してきた。もちろん俺の本当の愛車を持って行く為だ。


「綺麗にしてくれてるんだな……誰も乗らないのにさ……」


 なんか申し訳なくなる……先に死んでしまって。


「ガソリンも満タンじゃん……売っちゃえば良いのに……」


 走行距離が50kmくらい増えてるから誰か乗ったんだろうな……


「オイルは……ちゃんと入ってるな。バッテリーも切れてないか……。」


 過去眼で確認してみた……元の持ち主だった爺さんが毎日磨いてくれてるみたいだ……

売ろうかって相談してた親父とお袋に「ワシがやったバイクじゃ。ワシが返して貰う。」なんて叫んだみたいだ……


 目の前でケツをさらけ出して屁をこいてスマン……


 そんな事を考えてたら……


「和信よ……バカもんが……楽しい事なんか何一つせず逝きおって……」


 十分楽しんでたよ……それなりに色々楽しんでたさ……だからもう俺の事なんて忘れろよ……


「ワシの目が黒いうちは、しっかりと整備しといてやるからな。その後は知らん……だから帰って来い……」


 そんな事呟くなよ……そう思いながらバイクに……


「仕方ない……神力【永劫の祝福】発動。」


 このバイクが朽ち果てて鉄の塊になるまで、このバイクに関係する生き物を幸せにし続ける。そんな神力を発動しといた。その後に過去眼を閉じた。


 結局愛車は持ち出せなかった……。




「すいません国さんマルトさん。バイク持って来れませんでした。」


「構わんぞニノ。ワシのコレクションから1台貸そうじゃないか。」


 マルトさんと国さんが革ジャン姿になってる……


「コレクションですか?2ストってありますかね?」


 俺は4ストのバイクだとエンジンブレーキが効きすぎて怖いんだ。


「もちろんあるぞ。とっておきのがな。」


 ニヤニヤする国さんとマルトさん……連れて行かれた車庫にあったのは……



「うわ!オレンジラインのRD35〇LCじゃないですか!しかもアンダーカウルもビキニカウルも純正!メーターは180kmメーターなんですね……良いなあピカピカじゃないですか。走行距離って……50km……マジか!」


「男はkaw〇sakiだろうがな、kawa〇akiの古い2ストは長距離だと尻が死ぬ。ジャジャ馬も良いが……お主はYAM〇HA党なのであろう?秘蔵のコレクションだ。大切にぶん回してくれよ。」


 サビどころか、くもり1つ無いサンパンとか……


「もちろん。思いっ切り安全運転でぶん回します。」


 初めてフルノーマルの350に乗る……楽しみだ。


「って……国さんって原付?……」


 ちょいまち!原付で鹿児島までとか……島根だよここ……


「原付じゃないぞ。ボアアップしてあるから60ccだ。こんなナリだが速いんだぞ。」


 パッ〇ルじゃん……


「私も欲しいのですよ。毘沙門天様や国さんの愛車ですからね。憧れますよ60ccのパッ〇ルは。」


「最近は殆ど見掛ける事も無くなったからのう。大切に乗らねばなのだよ。」


「数台ありますよ。インベントリに数台眠ってますが……ドワーフさん達の手によるレストア済なのが……欲しいなら1台どうです?」


 マルトさんが乱れて狂喜乱舞するのを初めて見た気がする。原付免許で乗れますか?だってさ。


「申し訳ない。60ccになってるので原付免許では……」


 錆でシリンダーに小さな穴が出来てたから、ボーリング加工してピストンは自作したんだ……


「良いでは無いかマルト。125ccのオートマ免許を取りに行けば。それくらいの金額なら仙桃を1つ売れば済むだろう?毎度奉納してもらうのは気が引けていたのだ。たまには自分の事に使え。」


 マルトさんが俺を見てる……


「ですよ。マルトさんの生活の充実に使ってください。」


 凄く嬉しそうなマルトさんを見て、少し申し訳なくなった。お世話になってるんだから、もう少しマルトさんを大切にしようと心から思ったけど……


「それじゃ私も原付サイズの何かで行きましょうかね。出来れば二人乗り出来る奴で。」


 世界一売れたH〇NDAの100ccの方の奴で、荷台に座布団を縛り付けてあるのを出して来てくれた。ソレが置いてあった場所に、マルトさんにあげる白いパッ〇ルを置いといた。


「行きましょう。風を切って!」


 もちろん……神のデフォルト能力【浮く】で地上1000mくらいを走ったさ。時速60kmでね。




「真っ直ぐ来たら意外と早いもんですね。」「道路交通法なんて無視だからな。」「航空法とか大丈夫なんですか?」「透けてるのだから大丈夫だろう。」「鹿児島市内ですよね?何処に向かうのですか?」


 なんて言いながら天文館を歩いている。


「煌びやかですねえ。滅多に都会に来ないので少しビビってます私。」「まあマルトの住む地域と比べたら都会だろうな。」「私も実は都会が苦手でして……」


 3人とも何処にでも居そうなオッサンな外見。


 入るのは炊き肉って言う聞き慣れない食べ物を出すお店【牛〇ゃん】。


「ここか……値段設定はどんな感じなのだ?」


「アルコールは別で1人3千円くらいですね。席も空いてる様なので入りましょうよ。」


「うわあ、鹿児島牛ですか……指宿のアレを思い出しますね……」


 国さんもマルトさんも初めてか。美味しいよ間違い無くね。


「説明書きを見ながら炊きましょう……」


 国さんもマルトさんも目が点だね……ブンブン首を縦に振ってる。


「やはりここは生で乾杯ですよね。」「だな。」「そうですね。」「それじゃ。ダメな奴らに乾杯」

「その挨拶は如何な物か……乾杯。」「乾杯。」


 ぐびぐびっと一気に半分くらい飲んで……炊き肉を1口……


「美味い!」「良いですねえコレ。」「美味だな。」


 料理の細かい説明なんてしないよ。食べるのに忙しいから。知りたければ、目の前のソレを検索する為に操作して、美味しい世界に導かれる為に炊き肉と入力して探してみるんだ。食べたくなるから。


 〆にうどんを頼んでお腹いっぱい。後は……


「ありがとうございました大国主様、丸兎の尊様。」


 もう来る事も無いよ日本には……だからさ最後くらいちゃんとしなきゃだろ?


「特に丸兎の尊様。私が解脱してから様々な事でお世話になりました。本当に感謝しております。」


「どうしたんですかニノさん?急にかしこまって……」


「そうか決めたのか……テューポーン殿やハーデスから聞いておる。応援は出来ぬが達者でな……」


 そうか、俺の目的を知ってても止めようとしないんだ……申し訳なくなるな……。


「ええ。負けません。生まれながらに神として君臨し続けた奴らなんかに。叩き上げの実力ってのを見せてやりますよ。」


「ニノさん?それはいったい?国さん?なんで私には教えて下さらないのですか?ニノさん?国さん?」


「マルトさん。生きてたらまた会いましょう。しばらく転移門は封鎖しますね。10日もあれば結果は出てると思うので。生きていれば10日後に。」


 そう言いながら実家に帰省の帰宅を選んで聖域に帰る。転移直前にマルトさんが……


「ニノっ!何を言ってるんですか!待ちなさい!」


 ゴメン……マルトさん。ありがとうございました。


 

旅行回が終わったら本編は最終話に向けてのシリアスパート突入です。特に9章はクソ展開なのでご注意を。



読んで貰えて感謝です。

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