ござるでござる
ござる語って難しい。
聖域に戻ってきて、とりあえず羽衣を解いてガンモの入ったダンボールを取り出す。
ダンボールの取手の穴からガンモが外をクンカクンカしてるのが可愛い……
「下僕!開けて早く開けて!何ここ!しゅごい!いい匂いの草ーーー!下僕ぅ!早く開けて!」
ガンモがダンボールの中で軽く興奮状態になっているのでダンボールを少し開く。
ガンモがダンボールから顔だけ出して、耳をヒクヒクさせながらクンカクンカ。
「ガンモ、下僕じゃないよ。ニノって名前なんだよ。」
しゃがんで、ガンモの首の付け根をこしょこしょしながら言うと。
「ん?ニノ?下僕ってニノ?ニノ……ニノ!ニノ!」
喉を軽くゴロゴロ鳴らしながら。うにゃ?むにゃ?にゃん!にゃぁぁん!
やっべー、チョー可愛い……
「下僕の名前がニノ!ニノが僕を呼ぶ時はガンモって呼ばれるけど。僕の名前は、若竹若芽彦!」
ん?わかたけわかめひこ?
「ん?若竹若芽彦がガンモの名前なの?」
そう言うと。周りが気になってソワソワしながらも、こっちを向いて。
「そうだよ!パパとママから貰った僕の名前なんだ!」
「そっか……ガンモって呼ばれて嫌じゃない?」
「嫌じゃないよ!ガンモで良いよ↑」
そう言われた瞬間に、体の中から何かがごっそり抜けた感じがして。そのまま草原に倒れこんでしまった……
倒れる時にガンモの尻尾が2つになっているのが見えた気がする。
同時刻、田崎家の近くの畦道
「ムァァァルトうじぃぃぃぃ!無事でござったかぁぁぁぁあ!」
具足を着込んだ若武者が物凄い勢いで叫びながら微妙なちょんまげおっさんに向かい走ってくる、ガチャガチャガチャガチャと具足の当たる音がうるさい。
「消し飛ぶかと思いましたよ。なんですかあれ?天災と言うくらいじゃ足りないですよ?」
しかり!しかり!と頷きながら若武者が。
「ほんの少し不快になっただけで、この辺り一帯が腐海になるほど呪われそうでござった。しかし、さすがマルトうじ!その癒しの権能で鎮めたのでござろう?呪が反転してとんでもない祝福になったでござったよ。おかげで、これから数年後まで、この付近一帯天災人災等の影が消えてござるよ。してその荒柱は、何処に行ったでござるか?既に存在そのものが無いのでござるが。」
「帰りましたよ、御自分の世界に……まあアレですね。案外話の通じる方のようなので、消し飛ぶ覚悟をしなければなりませんが。これからよろしくと頼まれてしまったので、私の全力で相手しますから心配なさらずに。」
「さすがマルトうじ!略してさすマル!やはり頼りになるでござるなあ。安心して土地神を任せられるでござるよ。」
「安心するのは、少し早いかと。頼まれた事があるので、この付近の道祖神や付喪神全部集めて全力で対応しましょう。」
「ん?一大事でござるか?」
「ある程度此方の裁量に任せて貰えるそうなので一大事と言う程じゃありませんが。早く対応しといた方が良いですね。」
「そうでござるか、では議を開くとするでござる。マルトうじ、何時ものように司会は頼むでござる。」
「ええ、了解しました。」
「しかしとんでもない者に目を付けられてしもうたでござるなぁ。」
「確かに。しかし自覚してないのが唯一の救いですね。」
「自覚していない方が危なく無いでござるか?」
「あの方の上役……
さっきは思い出せませんでしたが、良くよく考えたら此方の御名前がテューポーンですよ。自覚したらヤバくないですか?」
「それは……なんとも言えないでござる。」
具足姿の若武者と微妙なちょんまげのおっさんが向かい合って肩を落としていた。
ふぅ、やっとある程度初期に登場するキャラが殆ど出て来ました。あと一人出てくるので、そこまで出してから、登場キャラ一覧でも書きますね。
それと、2日ほど更新が止まるかもです。でもちゃんと再開しますので今後もよろしくお願いします。




