バチコーン
痛そう。
アトラ大陸に向かったシメジ一行。
慈王君の地元なので、悩むこと無く慈王君に行先を尋ねた。
「深淵の森側で疫病の被害等は出ていません。それは父や母に確認済みです。なので人の領域の中心部に近い場所に行くのが良いのでは無いでしょうか?」
アトラ大陸の人側の領域の中心部は、世界一のコロッセオがそびえ立っている。
そんな場所に行けば、アトラ大陸屈指の剣闘士や拳闘士等が腐る程居るであろう事はわかり切った事だったのだが……
「それなら、そこに行きましょう。慈王さん護衛宜しくお願いします。」
ペコりと頭を下げたモモちゃんに、良い所を見せたい慈王君。コロッセオの中心部にシメジを誘導してしまった。
そして……
「我は蟲魔王が長子。時期魔王候補の慈王だ。挑んでくる者はおらんのか!」
試合中に巨大な九尾の猫が突然現れ、その背から漆黒の鎧を纏った魔族が颯爽と飛び降り宣言する。
闘いと言う物を最も重要視する大陸であるアトラ大陸。試合中の2人の剣闘士がまず最初に慈王君に飛び掛ったのだが、避ける事すらしない慈王君。
2本の剣で切り裂かれたように見えた観客達は、一流の剣闘士達には魔族なんて相手にならんと思ったようだが、そんな事は無い。
「そんなもんか?やはり人に情けは掛けない方が良いのだろうか?」
2人の剣闘士がその場に崩れ落ちた。慈王君の魔法障壁を切り裂くどころか、障壁に衝突した余波で気絶してしまったようだ。
「何人でも一度に相手してやる。かかってこい。」
慈王君の言葉にプライドを刺激されたアトラ大陸のトップクラスの剣闘士や拳闘士達。1人1人と試合会場の中へ入ろうとする。
「ふっ貴様は1人だろう。それなら我々も1人で挑む。まずは俺からだ。」
そう言って飛び掛ったのは拳闘士リーグ4位の男。ムキムキのマッチョでいかにも力自慢と言う感じである。
「面倒臭いので全員同時にお願いします。」
シメジの背中で面倒臭いのが嫌だと言って試合会場に飛び降りたモモちゃん。シメジの背から降りながら魔法を乱射し始める。
「あなた達みたいなガサツな感じの人達に邪魔されるのは嫌なんです。だから全員かかってきなさい。」
シメジの補助を受けつつ、エグい数の魔法を乱射するモモちゃんの左手には、神から貰った超高純度全属性対応魔石の付いた世界樹の枝で作った巨大な棍棒…………。
最上級ダンジョンのコアにしても余裕で事足りる程の高純度魔石が付いた、巨大な棍棒から放たれる魔法は、慈王君の見せ場も奪ってしまったようだ。
「モモさん、その辺で!死人が出ますよ。」
鬼の外見のままで踊り狂うモモちゃんを止めた慈王君、腰にすがり付いて止めたのだが、後ろからだったせいでモモちゃんのお尻に手を回してしまっていた……
「じ!じ!慈王さん!なにするんですか!」
バチコーンと強烈なビンタを喰らった慈王君。
モモちゃんのお尻は意外と柔らかいと言う事を知ったせいで、モモちゃんの本気のビンタを思いっ切り左頬に受けてしまった。
きりもみ回転しながら闘技場の壁にめり込んだ慈王君。それを見てにゃん族達は。
「アレは才能だにゃ。」「エッチなハプニングだにゃ。」「お尻に触れた対価がビンタとは安いにゃ!もっと強烈にシメてやるにゃ!」
あんたらはラスト大陸の空中戦の時にモモちゃんに抱かれていたからオッパイまで触れていただろ、なんて思いながら、慈王君は気を失ってしまった。
「アオ兄さんにも触らせた事無いのに!」
それは無いぞモモちゃん。アオさんはモモちゃんのオシメを変えたこともあるから。
半泣きで剣闘士や拳闘士達に八つ当たりするモモちゃん。死にそうな奴が居たら即治療してくれるシメジ。一行の行く所何かが起こる。
今回アトラ大陸の剣闘士達や拳闘士達のプライドをズタズタにしたようだ。
強い者を尊敬する文化のアトラ大陸。そんな場所で多数の強者をビンタと棍棒と魔法で封殺して行くモモちゃんの勇姿を見て、モモコールが巻き起こるのは、数分後の事だった。
慈王君は何とか首のムチウチで耐えました。
しかししばらく首に違和感を感じ続けたらしいです。
読んで貰えて感謝です。




