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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
7章 クラス転移なんて迷惑でしかない
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ウンコニウス

アントニウスさんですよ。


 高校生を2番目に見つけたのは、クロさん、スイさん、コクちゃんと、何故か付いて行ったアントニウスさん。天元大陸での事。


「しかしクロさんの見た目は凄いですな。」


「いやいや、そんな事は。」


 アントニウスさんと喋るクロさんは、ビルダー時代のシュワも真っ青ってくらいの筋肉。


 妻のスイさんも娘のコクちゃんもムキムキが好きなのだろうか?全く気にしていない。


「それにスイさんも、鬼の見た目だとあまり目立ちませんでしたが、人の見た目だとかなりお綺麗なのですね。」


「アントニウスさんったらお上手ですねフフフっ。」


 何故かドレス姿のスイさん。小さい頃から素敵なドレスで豪華な馬車に乗って、1度で良いから旅をしてみたいと思っていたらしい。


「ママったら乙女なんだから。馬車で移動するより走った方が早いのに。」


 コクちゃんは、スイさんの見た目を若くしただけの美少女と言っても良いレベルなのだが、誰の影響を受けたのか、かなり漢らしかったりする。


「しかし良いんですか?簀巻きで?」


 馬車の中で簀巻きにされているアントニウスさん。何故に?


「指名手配されてますからな。犯罪者を捕まえたと言うていで、工業ギルドや商業ギルドに囲われた勇者や聖女を捕獲しましょう。」


「わかってはいるのですが、何故に楽しそうなのですか?」


 簀巻きでニヤリと笑うアントニウスさん。


「それは、エルフの聖地が誕生するかどうかが、この作戦にかかっているのですから、自然と笑顔にもなるでしょ?」


 そして、自由交易都市の工業ギルドのロビーにて簀巻きのアントニウスさんが天元大陸首脳陣と対面する。


「ウンコニウス!貴様何処に行っておった!ケツの穴から棒突っ込んで脳ミソミンチにしても気がすまん!」


「やってしまえ!とりあえず全裸じゃ全裸!全裸にして全身落書きじゃ!」


「そんな事では生ぬるい!冷却処理じゃ!極寒の世界に放り投げてやるのじゃ!」


 キレた金持ちはタチが悪い……

ちょっと不味ったかな?と焦り始めるアントニウスさん。


「ハハハっ。焦るな焦るな。万能キノコと神力草、それに今回は特別に栄養満点ミラクル胡桃まで手に入れてきたのだぞ。それも大量に。」


 その言葉に飛びついたのはアントニウスさんの目の上のコブ。薬師ギルドグランドマスター。


「はよだせ!こんな事しとる間に1人1人と命が奪われていくのじゃ!」


「焦るなガキおっさん。既に世界にばらまかれた災厄は鎮静化に向かうわ。ハッハッハ。」


 クロさんスイさんコクちゃんは、さっさと高校生を捕獲して聖域に届けたいようだが……


「茶番は終わりにして貰おうか?対価を求める。」


 手配書に記載された報奨金の額は、天元大陸首脳陣で払える物ならなんでもと言う、とんでもない報酬だったので、そのまま高校生を貰うようだ。


「アイツらなぞ好きに連れていけば良い。勇者聖女と言っても、何も知らん要求だけは一丁前なガキじゃからのう。」


「そうじゃ。説明の為に書いた絵は下手くそで訳が分からん。中身や構造や機能の説明も出来ん物ばかり。現実味の無い夢物語だけを言いよる。役に立ったのは多少の料理のレシピと防疫対策くらいじゃ。」


「そんな糞のようなガキが、己の立場も弁えんと一丁前な日当を要求してきおる。飯が不味いと言いよる。住む場所が汚いと言いよる。あんな事なぞ路傍の孤児でも考え付く事じゃわい。役立たずなんぞ連れて行ってくれ。」


 所詮そんなもんだ。全て誰かが用意してくれた物に囲まれている、令和の日本で高校生活を営む若者なんて。


 役に立った料理のレシピとは、魔族から買取るマヨネーズを使った料理と、手洗いうがい、マスクを付ける程度である。


「それよりもアントニウス。今回の事何も隠さず全て報告せよ。」


「ふっ。私の作り上げた木工ギルドは解散する。それ以後エルフは天元大陸に関わらぬ。だから何も言わん。」


 コクちゃんが難しい話に少しイライラしてきたようだ。


「パパ、ママ。めんどくさいから破壊していい?さっさと終わらせて原チャリで遊びたい。」


 少し困った表情のクロさんだったが、スイさんも一緒になって。


「そうしましょう。めんどくさいのよウダウダと飯の種にもならない話なんか、さっさと吹っ飛ばして帰りましょ。」


 綺麗なご婦人と娘の美少女が突然服を破りつつ体が膨れ上がる。


「変身してもOKって許しを貰ってるからね。こんな小難しい話なんか、妨害されてるのと同じでしょ?」


「そうよコク。妨害されてるのと同じよ。」


 その言葉と共に吹き荒れる暴力の化身2人。

クロさんとアントニウスさんはスキルで小さくなってさっさとロビーから退散したようだ。


「貧弱な造りの建物ね。ちょっと手を振り回しただけで空が見えるわ。」


 強固なはずの工業ギルド本部の天井が、屋根もろと吹き飛んでいる。


「あそこでオシッコ漏らしてるのが高校生かな?」


「東郷さんみたいな見た目だからアレだよね?」


 オシッコ漏らしつつ、腰を抜かしてガタガタ震える高校生、男子5人女子3人捕獲完了。


 アントニウスさんとクロさんは、スイさんとコクちゃんが吹き飛ばした建物の残骸を方や植物魔法で、方や一本足打法で必死に打ち返していた。



 後日、聖域の神の家横の小さな庭に設えたテーブルに座って、アントニウスさんとクロさんが「女って怖いな」「ウチの嫁と娘も怖いぞ」なんて言いながら差し向かいで酒を飲む姿が何度も見られる事になる。



ハイさんコクちゃん大暴れ。

天元大陸の首脳陣には怪我1つさせてませんよ。



読んで貰えて感謝です。

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