PK
プレイヤーキルじゃありませんし、ペナルティキックでもありません。
まず最初に日本人を見つけたのは東郷君率いる、蟲魔王・モーブ・タマオの3人パーティだった。
「貴方たちも日本人なんですか!会えて良かった。」
白々しく演技している東郷君に、まんまと騙されている勇者3人と聖女2人。
場所はアトラ大陸ヘルポート。東郷君はテイマーとして街の冒険者ギルドに来たようだ。
「凄いの連れてるな。ミノタウロスに角ウサギ? テイマーって技能とか羨ましいな。」
タマオさんをモフモフしている女子高生2人は、日焼けした学ラン姿で坊主頭の東郷君には興味が無いようだ。
「皆さんはどんな活動をしてるんですか? ダンジョンに行くなら僕も連れて行って欲しいです。」
触覚と角を消せば、どう見ても普通の男子高校生の東郷君は、あっさり勇者や聖女に受け入れられたようだ。
「俺達も1年なんだし同い年だろ? タメ口で行こうぜ。」
サムズアップされて笑顔で言われた言葉に東郷君は心の中で苦笑いである。
そして、剣闘士として活動している5人と一緒にダンジョンに入った東郷君。
「ホントに馬鹿は迷惑だよ。何も考えずにこんな残酷な事が出来るなんて、同じ日本人として恥ずかしいや。」
殺意の波動に目覚めた東郷君。
悪意あるゴキブリ型鎧を纏い、タマオさんとモーブさんに逃げ道を塞いで貰って高校生達を捕獲していく。
「僕は蟲魔王。300年以上前にこの世界に魔王として召喚された人間だ。お前達のように、無駄に生き物を殺せる人間として産まれたかったよ。楽だったんだろうな。」
「何言ってんだこいつ!解けよ。」「魔王とかウザ!馬鹿でしょ?死ねばいいのに。」「坊主頭の癖に偉そうなのよ!」「頼む助けてくれ。仕方なくやったんだ。」「魔王様、僕を魔王城で雇ってください。」
呆れる東郷君だったが、思いっきりイラついたようだ。
「黙れ腐れ外道。お前たちが殺した生き物の声を教えてやる。」
そう言って勇者や聖女の持っていた魔石を奪い取る。
「黄泉帰れ。我が下僕達。我の力を糧に。」
東郷君が呟くと同時に魔石が魔力を吸って形が変化していく。
「お前たちの脳に直接この子達の言葉を届けてやる。後悔しろ。」
復活した魔物や魔族達が各々文句を言い出す。
そんな中で、ずっと黙っていたのだが、我慢しきれなくなったんだろうタマオさんが。
「モーブ、あいつらを抑えて。PK食らわしてやる!」
「分かっただタマオさん。オラがっちり抑えるだよ。」
その言葉を聞いて、喰らった事のある東郷君がお尻を抑えることも仕方ないと思う。
「男女差別は嫌だから全員ね!」
ダンジョンの中で高校生5人分の悲鳴が響き渡るのは直後の事で、その後に聖域へ拉致された高校生5人は、しばらくお尻を治療して貰えず泣く事になった。
「東郷君から見てどうだった?やっぱりギフトの影響があると思う?」
東郷君はギフトを使った事が無いまま吸い出したから、白い月の中で封印されてる神達の影響は無かったみたいなんだけどさ。
「確実にありますね、高校1年生で盗賊を殺したそうです。3人は剣と魔法、2人は拳で。」
「殺されても当然な盗賊だったの?」
それなら正当防衛なんだよな、キツく言いすぎるのもだよね。
「子供が3人インフルエンザになってまして、子供達を救うための金銭を得る為に盗賊になったみたいなんです。」
「こいつらが原因じゃん。救いようが無いね。」
結局の所、与えられたギフトを使って、俺TUEEEEしてくれた、こいつらが悪いのか……
「ムカつくな、本気でムカつく。」
「ちょっとニノさん」なんて言う東郷君を制して、高校生に向かってちゃんと宣下しておいた。
「一生記憶に残してやる、真実って奴を。良心の呵責に苦しめ。」
その後は、ガンモやハルちゃんもだけど、猫さん達にも治療はしないでって伝えて、簀巻きのままで、外に放置しといた。
「ガンモ。世界中の病気を治せる?」
「1人だったら辛いかも、示芽慈も春芽も一緒にやれば大丈夫だよ。」
良かった。被害の拡大は防げるみたいだ。
そう思ってシメジを探したんだけど…………
「なんで外界に行ってるんだよ、モモちゃんや慈王君まで!」
タブレットのマップを見たら、高速移動してるシメジの背中に慈王君やモモちゃん、にゃん族3人と沢山の蟲達が映っていた。
タマオさんの強烈なアレです。
主人公怒ってます。
とりあえず5人捕獲です。
読んで貰えて感謝です。




