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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
6章 惑星パンツ初のメイド・イン・パンツ製オートバイ爆誕
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S.M.Zのお使い ラスト大陸 2 ペシャペシャ

 何となく、そういう擬音に聞こえてしまいます。


 話は元ニカラ集落があった場所に6人組が到着した時に戻る。


 何も無い、ただの土剥き出しの大地に降り立った。


 ここが、かつての霧の大森林の名残を残す、豊かな森だった事など、今の状態を見ても誰も分からないだろう。


「モモさん、この場所で合っていますか?」


 現に慈王君も分かっていない。


「にゃんにもにゃいにゃ。」


 あれから数年、当時8歳だったモモちゃんの記憶に残る豊かな森は何処にも無かった。


 しかし……


「大きな岩があるにゃ。」


「何か書いてあるにゃ。」


「遠くて読めないにゃ。」


 元々は、北の広場があった場所に、1つ岩が残っていた。


 クロの実兄でアオの義兄、ハイが振り回した大岩である。


 何か書いてあると言われて、モモちゃんが歩き出す。その文字を読む為に。


 この岩は、神鉄オリハルコンとアダマンタイトで構成された大岩。

 元はニカラ村の中央広場に座していた、古くからある石碑であった。


【英雄ニカラチャと魔女王パンチョモの偉業を此処に称える。ムラスト大陸の全ての人より感謝を込めて。】


 その一文の後に……


【この場所立ち入りを禁ずる。何人も荒らすこと無きよう。未来永劫ニカラの鬼の鎮魂の為に。初代征夷大将軍・ニカラ・カイゼルの名の元に。】


 それを見たモモちゃん、いきなり泣き始めた。


「モモさん。」


「「モモにゃん。」」

 

「モモ。」


 それぞれが、思い思いにモモちゃんを励まし始める。


「やっぱりカイゼルおじちゃんだった……」


 モモちゃんは覚えていた。

 毎年のように数回訪れる、ヘンテコな髭をたくわえた人間の事を。

 大好きなアオや母達を尋ねて、手にいっぱいのお土産を抱えて遊びに来る、優しい顔付きの面白いおじちゃんだった事を。


 ニカラの鬼達は、人間側が何を考えて戦争を始めたのか、全く知らない。


 何故に、優しかった、面白かった、帰る時は寂しかった、素敵でヘンテコなおじちゃん、カイゼルが、自ら家族と呼ぶ者達を滅ぼしたのか。


「ニノ様は、教えてくれるかな? ホントの話を教えてくれるのかな?」


 少しだけ落ち着いたモモちゃんが慈王君やシメジに聞いてみる。


「モモさんが本気なら、神は逃げないと思いますよ。」


「モモの事をニノは大好きだから、モモが聞いたらちゃんと教えてくれるよ。」


「よく分からにゃいけど、カリカリをくれた奴は良い奴にゃ。」


「あんな美味しいカリカリを用意出来る奴だから、きっと色々知ってるにゃ。」


「もう一度帰って聞いてみるにゃ。」


 真面目に答えたシメジと慈王君。

にゃん族3人は、あまり良く分かっていないのだが、ここまでずっと優しかったモモちゃんに、何か声を掛けてあげたいと、頑張ったようだ。


「いえ、大丈夫です。ちゃんと仕事を終わらせてから帰りましょう。」


 そして、慈王君の一言である。


「モモさん。ここに全て植えて行きましょう。」


 そう言った慈王君は、魔法鞄の中から様々な種子や苗木を取り出し、1つ1つ丁寧に地面に埋めていく。


 そして……


 また、おもむろに左手を引きちぎり、地面に投げ捨てる。


「我が身を糧に、育て。」


 大岩の周りに、小さな雑木林が出来上がる。

気合を入れて左腕を生やした慈王君。モモちゃんの方を見てみた。


「やり過ぎです。そんなに無理はしなくて良かったですよ。」


 少し笑顔になったモモちゃんに言われて、慈王君は嬉しかったようだ。


「ここは僕の縄張りにして行く。誰も荒らせないようにね。」


 そう言ってシメジがマーキングをし出す。


 ペシャペシャとお尻をフリフリ、尻尾をフリフリしながら、オシッコを掛けて回るシメジ。

 マーキングの匂いで、恐怖して怯えるにゃん族。


 岩場や土塊に擬態する魔物達が、雑木林を見付けた動物達が、岩の周りに出来た雑木林に立ち入る事は、数百年後に匂いが消えるまで、1度たりとも無かった。






 猫がマーキングする時の、お尻と尻尾を振る姿……

匂いがヤバいっすよね。アレを高い服に掛けられた時は、怒るに怒れませんでした。


読んで貰えて感謝です。

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