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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
6章 惑星パンツ初のメイド・イン・パンツ製オートバイ爆誕
198/347

S.M.Zのお使い ラスト大陸 1 あの場所に

あの場所です。


 蒼大陸北西部からラスト大陸東部へと向かう6人組、モモちゃんの要望であの場所へと向かっている。


「私が最後に見た景色は岩山の中だったので、もう一度見ておきたいんです。」


 慈王君は、ニカラの一族の詳細を知っていた。


 だから何も言わずに、シメジに行き先を伝えてくれたようだ。


 猛る山を望むあの場所へ……


 鬼と人の戦場跡地。

元・霧の大森林東端・旧ニカラ集落へと。


 海上を駆けるシメジの背中で、にゃん族3人も目を覚ました。


「何処に向かってるにゃ?」


「周りが全部海だにゃ!」


「美味しそうな魚群が泳いでるにゃ!」


 海面を見れば、回遊魚が群れをなして泳いでいる。

しかし、群れを追いかける魚人達が居て、沢山の回遊魚達が捕食されているようだ。


「あのような、生きる為に食べる為に、次に命を繋ぐ為に、他者の命を奪う事を魔族なら誰も止めません。どう思いますか?モモさん。」


 モモちゃんは言葉に詰まる。

そして、出た言葉が……


「私にはまだ分かりません。自分の力で生きてない私には……」


 モモちゃんだけじゃない、ニカラの元子供達全員が考えている。


 神と共に歩む事を。

神の住まう大地で、神に従い生きる事を。


「私達ニカラの鬼が、どんな生き物より優遇されている事は、良く分かっています。世界中の生き物と比べると、与えられ過ぎな事も。」


 他の神々に唆されて、神に抗った神棄暦。

その時と違う、真剣に自分達の行く末を考えているようだ。


「与えられている事は関係無いのです。無闇に奪わない、必要な分だけを得る。それは間違いじゃないと思ってくれますか?」


 言葉に詰まっているモモちゃんの代わりに答えたのはトラ吉。


「ゴハンを食べないと死んじゃうにゃ。ゴハンを食べるなら取らないとにゃ。草の実も木の実も、お芋さんも分かってるにゃ。ちゃんとゴハンになる事をわかってるにゃ。」


 慈王君が、にゃん族の事を「彼等のように生きれたら、私達魔族も幸せなのでしょうか?」と後日、父親の蟲魔王・東郷 和真君に質問するのは、この時の会話が大きく影響している。


「ゴハンを食べるんだから、食べられちゃうのも仕方ないにゃ。食べられなくても、皮が残るにゃ。」


 実を言うと、普通の猫と間違われて、狩られる事も多々あるにゃん族。


「僕のおじいにゃんは人間に狩られて皮を剥がれたにゃ。おじいにゃんの皮は楽器になったにゃ。楽器になって皆に音を届けてるにゃ。」


「人間を恨んで無いのですか?」


 慈王君もモモちゃんも、トラ吉の気持ちが気になってしまった。


「なんで恨むにゃ? 僕達もお魚さんに同じ事をしたにゃ。僕の着てる革のチョッキは、大きなシャケさんの皮だにゃ。シャケさんの皮は、僕達を温めてくれてるにゃ。」


 マダラもポムも、うんうんと首を縦に振っている。


「あんまり気にしちゃダメにゃ。奪う事も奪われる事も、なるようにしかならないにゃ。だから精一杯その日を生きるにゃ。」


 そう言って、海に飛び込むトラ吉。


「カツオ魚人さん、舐めさせてくださいにゃ!」


 同じ様にマダラとポムも海へと飛び込む。


「美味しい魚人ランキング2位にゃ!」


「素晴らしい味の魚人さんにゃ。」


 泳げないのに……


 サハギンタイプのカツオ魚人さん達に、苦笑いされながら保護されて「相変わらず、襲いかかって来るが、何の脅威も感じ無い種族だな」と笑ってシメジの背に乗せられる事になる。


 シメジも、カツオ魚人さん達を舐めたそうに見ていた。


 そんなこんなで、元ニカラ集落へと辿り着いた6人組。


「モモさん。ここに全て植えて行きましょう。」


 そう言った慈王君に、モモちゃんが応えた答えとは……



 最後でちょっぴりだけです。次回に持ち越しです。



読んで貰えて感謝です。

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