S.M.Zのお使い 蒼大陸 3 猫まっしぐら
猫まっしぐらです。
植物魔界と呼ばれるダンジョンに向かう3人組に、猫獣人の冒険者3人組も付いて来るようだ。
少しだけ猫獣人の外見について書いておこう。
身長1mほど、革のチョッキを着ていて、下半身は通気性の良い薄い短パンを履いている。
短パンから飛び出した尻尾は、長かったり短かったりしているが、3人共に毛がマダラに生えている。
そして顔だが……
普通の猫なのである。
二足歩行に適していない下半身、ア〇ルーやメ〇ルー、もしくは最後の幻想に出てくるケット・シーにしか見えない。
星神である、我等の主人公ニノが見たら。
確実に保護を提唱する程に愛くるしい。
モモちゃんが、外見を変化させる事が出来ると伝えると、見たい見たいとはしゃぎ回り。
ゴブリンシャーマンクイーンに変化したモモちゃんを見て、尻尾を股の下に隠した。
「大丈夫ですよ。私はベジタリアンなので、お肉なんて、余程の事が無い限り食べませんから。」
そう伝えると、安心したようで。
モモちゃんの匂いを嗅ぎまくっていた。
「ぐぬぬ、猫人共。羨ましいじゃないか。示芽慈彦なら許すが、お前達が嗅ぐのは……」
慈王君の憤った言葉は、シメジにもモモちゃんにも、ましてや猫獣人3人組にも聞こえていない。
「示芽慈彦様は、何処に住んでるにゃ?教えて欲しいにゃ。」
「教えてもにゃえたら、家族を連れて参拝に行かせて貰うにゃ。」
「春芽姫様にも参拝するにゃ!」
そんな事をシメジと話している猫獣人3人組。
「ママに会いに行きたいの? それなら連れて行こうか?」
そう答えたシメジ。モモちゃんと慈王君は焦っている。
神の承諾も無しで、人種を聖域に連れて行ってもいいのか?と。
突然シメジが大きさを変える。最大サイズの4tトラックの大きさに。
「背中に乗って。君達の家に寄って、仲間を連れて、ママに会いに行こう。」
そして猫獣人3人組を背に乗せ走り出す。
置いて行かれた、モモちゃんと慈王君が走り出す。勿論空中を。
モモちゃんはゴブリンシャーマンクイーンの姿のままで。
慈王君は、神器を纏って仮面ラ〇ダー型に羽の生えた外見で。
しかし、本気で走るシメジは音速を余裕で超える。
背に乗せた猫獣人達を尻尾で抑えて、モコフワな体毛で保護しながらなので、最高速では無いのだが。
「ナインテイル様の背中は癒しだにゃ。」
「もふもふでふかふかで落ち着くにゃ。」
「なんか眠くなってくるにゃ。」
3人組の匂いを辿って家に着いたシメジは、周りに居た猫獣人を全て捕獲して背に乗せたようだ。
その数52人。
そしてそのまま、聖域へと向かう。
慈王君とモモちゃん、2人は兎に角急いで蒼大陸最大の山、死の系譜と呼ばれる山に向かった。
お使い何処に行った。
そして数時間後の聖域では。
「ほほう示芽慈様。珍しい種族をお連れになりましたな。」
盆栽サイズの最長老を含む、聖域の生き物達が、シメジの背に乗せられ連れて来られた52人の猫獣人達を囲んでいる。
「あら。にゃん族ですわね。直接会うのは何千年ぶりでしょう。元気にしてましたか?」
ハルちゃんが猫獣人達に近付くと、猫獣人達は「ありがたやーありがたやー」と言って拝み始めた。
その後ろで、西〇運輸の配達員さんから何かを受け取ったニノ。
受け取った荷物は、最高級・マタタビ入り7種の魚味カリカリ。
それを手にして、だらなしなく顔を緩ませて、猫獣人達に近づいて行く。
「いらっしゃい。にゃん族さん達。お腹減ってません?こちらをどうぞ。」
手にしたカリカリを、そっと差し出すと。
「マグロの匂いがするにゃ。」
「イワシの匂いもするにゃ。」
「カツオの匂いもするにゃ。」
「にゃんと言っても、マタタビの匂いがするにゃ。」
『コレは良い物にゃ。』
そう言ってカリカリを食べ始めた、にゃん族を。
「この方達は、私が責任持って保護します。聖域の一員に迎え入れますので、聖域全体に通知よろしくお願いします。」
凄くキリッとした表情でタブレットを構えて動画撮影を開始する神。
もう1柱の神は……
「若芽彦が嫉妬してるよ、ニノにい。聞いちゃいない。引っ掻かれるよ……」
「何をするガンモ!目がぁ目がぁ」と、目を引っ掻かれて、転げ回る神。
眼球を直接なんてエグいなガンモ。
「やっぱりね。」
焦りながら、帰ってきた慈王君とモモちゃんは、その光景を見て、何が起きたか分かっていなかった。
主人公なら確実に保護するでしょう。
読んで貰えて感謝です。