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おっさん家!  作者: サン助 箱スキー
6章 惑星パンツ初のメイド・イン・パンツ製オートバイ爆誕
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S.M.Zのお使い アトラ大陸 5 青い春

青春です。


 少しだけ重い空気になった3人組。

ダークエルフの集落に向かい、とぼとぼと歩き始めた。


「やっぱり慈王さんは、人種が嫌いですか?」


 外界の草木をクンカクンカしているシメジをよそに、モモちゃんが気になった事を慈王君に聞いたようだ。


「全ての人種が嫌いという訳ではありません。人種の中には、魔物と本当に心を通わせて、家族と同じように扱う人が居る事も知っています。」


 そんな人種は、変わり者と呼ばれるのだが。


「ですが、あまりにも人は殺し過ぎる。魔物も動物も。」


 与える事の出来る魔族だからこそ、憤っているのかもしれない。


「どんなに父が苦労しているか、どんなに父が無理をしているか、モモさんは御存知ですか?」


「いえ、全く……」


 東郷君は、たぶん星神であるニノより、星神の仕事をしていたかもしれない。


「今はニノ様が、高純度の魔石を用意してくれてますが、ニノ様と出会う前まで、父は自分の命を削って、魔物や魔族のために、与える事を続けていました。」


 知る事が生き甲斐の、ニカラの鬼の一族であるモモちゃん、慈王君の言葉に真剣な眼差しを向けている。


「そんな父を少しでも助けたいと思い、私は魔王への道を選んだんです。1辛ダンジョンの単独踏破で受け取れる特典を得て。」


 慈王君は、アトラ大陸1辛ダンジョンの踏破者である。


「特典として手に入れた、与える力。これを使う事が多すぎる。それが悔しいんです。」


「どうして?」


「次の世代に生命を繋ぐために狩るのは、父も私も止めませんし、助けません。それが自然の摂理でしょうから。」


 ニノが嫌いな弱肉強食の摂理である。


「しかし不条理だと思いませんか? 魔石を燃料にしなくても、火を焚く事は出来る。水は川から、井戸から汲んで来ればいい。それなのに奪われるんです。魔物や魔族の生命の源である魔石を。」


 モモちゃんも使った事がある。

だから慈王君に何も言えなくなってしまった。


「奪われた魔石の魔力を使い切られたら、霧散した魔力が集まるのに、長い年月が掛かります。その間、残された家族や友人達は、無事に帰ってくる事を祈るしか出来ないんです。」


 そして先程の魔物達の話になる。


「愛玩魔物なんて言葉なんか、消滅させてしまいたい。魔力の薄い場所で飼われ、魔力の薄い食事を与えられ、徐々に弱って死に行くだけの愛玩魔物達を、可愛がっているなら、人は何故に檻から出してあげないのですか?」


 慈王君は、真っ直ぐ前を向いている。顔も心も。


「私はいずれ魔王になります。どんな人種からも虐げられないように、全大陸の魔物や魔族を、全て深淵の森に集めて回ります。先々代の魔王であるナメッコ様や先代の魔王である禽魔王様、蟲魔王の父すら出来なかった、魔種の完全保護。それが私の、必ず達成する目標です。」


 慈王君は、一世一代の告白をするようだ。


「妻になってくれとは、もう言いません。ですが、アオさんを見ている時間を、少しで良いので私にください。私をもう少し見てください。」


 真剣に放った言葉は、前回の告白のように軽く流せなかったようだ。


「はい。でも、今もちゃんと見ていますよ。最初に会った頃より、ずっとカッコイイ人なんだなって思えますから。」


 満面の笑みでモモちゃんに言われた慈王君。


 ふがっ、と言って照れていた。


 青春だなぁ……




 しかし……


 既に、ダークエルフの集落に入っている事にも気付いておらず。


 周りをダークエルフに囲まれているのにも気付かず。


 一世一代の告白を、ダークエルフ達に、メモを片手に記録されていると、全く気付いておらず。


 この後、ダークエルフの集落で開かれた、3人組の歓迎会で、ミュージカル風の劇にされていて、恥ずかしくて逃げ出したくなる、モモちゃんと慈王君だった。


 ダークエルフさん達は魔族です。

なので時期魔王である慈王君とは、もちろん面識がありますよ。



読んで貰えて感謝です。

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