5章エピローグ
5章エピローグです。
今日はアカさんとエメリーさんの結婚式。
アトラ大陸から魔王家族を、天元大陸からエメリーさんの御両親を、日本からマルトさんを迎えて、聖域初の結婚式なんだ。
マルトさんを迎えた理由ってのは。
「私って権能は4つですけど色々出来るんですよ、特に司会なんかが得意ですね。付喪神や道祖神、土地神なんかの集まる会議やら披露宴の二次会なんかの司会は良く頼まれたりするんですよ。」
なんて指宿旅行の最中に言ってたから披露宴の司会を頼んでみたんだ。
何故か首から上だけ兎に戻したマルトさんの司会は堂々としたもんで、言語理解・惑星パンツ全種族語を渡した事もあって、ちょこちょこ散りばめた、おめでたいダジャレも聖域の皆にかなりウケている。
魔王こと東郷君やその家族は、エメリーさん側の仕事関係者の席に座ってる。
特に奥さんのサマンサさんが天元大陸の木工ギルドの希少素材の大口納品業者のトップらしくて、エメリーさんの御両親とはツーカーの仲らしい。
日本式の披露宴なのだが、余興で聖域の皆が悪ノリしてくれて、エメリーさんの御両親は肝を冷やしただろうけど、特にガンモを含む猫さんの電撃魔法を使ってのライトアップに驚いたようだ。
全員が通常の人間サイズで行われている披露宴の余興で、1番のハイライトでもあるアオさんとクロさんの《友の幸せを願う歌》というCHEMI〇TRYも真っ青ってぐらいのハモリと綺麗な歌声には参加者全員がうっとり聞き惚れて。
アカさんなんか、普段はクールを装ってるのに歌が始まって1分もしないうちに泣き出してしまった。
エメリーさんの御両親への手紙で最後を〆たんだけど、そちらも一人娘の結婚式で感極まったんだろう、奥さんは涙目で堪えてたけど、旦那さんはアカさん以上に泣いていた。
そしてエメリーさんの御両親への手紙の最後に爆弾発言が。
「既に私のお腹には、この人の子供が宿っています。双子みたいなんで、お父さんお母さん、2人に名前を付けて欲しいです。」
………………確かに二人とも大人だけどさ。
「会場全体がシーンってなっております。ですがおめでたい結婚式に、さらにおめでたい事が重なったのです。皆さん、お二人に盛大な拍手をお願いします。」
マルトさんの声で、唖然としていた皆が盛大な拍手で披露宴の最後を盛り上げてくれた、しかし最後にもう1つ残っているんだ。
披露宴会場から俺とガンモとカンタ君だけサーキット場に移動したんだ。
理由は、ドワーフ4人と作り上げたある物を披露する為。
中央部の空き地に造られた観覧席に披露宴会場全体を転移させるのに俺は先に来たし、ガンモはサーキット場を照らしてくれてる。
出場を予定していた子供達と慈王君も準備は完了したようだ。
マルトさんの声がサーキット場にマイクを通して響き渡る。
「おめでたい結婚式の披露宴の最後にもう1つおめでたい事を披露してくれるのは、作製に携わったドワーフ4人と惑星パンツの守護神ニノ様です。」
日本から持ち込んだ昭和40年代の放置されて腐りかけたスクーターを6台レストアした物と……。
それを元に聖域で作った1台のスクーターを並べて。
最初に4人のドワーフが横に並び観覧席に一礼して観覧席に戻って行った。
その後に俺のセリフ。
「マルトさんの御自宅がある国から6台輸入してきましたが、それを元に作り上げた惑星パンツ初の惑星パンツ内で造られたエンジンを搭載したスクーターの初お披露目です。」
ガソリンとオイルは日本製。
だってそこまで作る時間が無かったんだもん。
白い布が掛けられたスクーター7台を皆に初のお披露目だ。
布をインベントリに収納して出てきたのは、7色に色分けされたエアスクートでも馴染みのあるYAM〇HAのパッソル。
「この中の1台、真っ白な物は聖域で殆どの部品を作製して作り上げた惑星パンツ産のスクーターになってます。ただ爆発する恐れがあるので搭乗して貰うのはカンタ君にお願いしています。」
「ちょ!ニノにい、ドワーフ4人組!爆発ってなんだよオイラのだけ。」
「カンタ君は透けられるんだから爆発しても大丈夫でしょ?」
「あっ、確かにそうか。納得いかないけど、納得した。」
マルトさんのマイクを通した声でスタートの合図が始まる。
聖域に住む参加者全員のカウントダウン。
スリー、ツー、ワン……
内燃機関と言う地球の文明を一気に引き上げた技術が惑星パンツに初お披露目されたけど、聖域から出す事なんて無いから、大丈夫。
予定していた5周も、ちゃんと全台完走出来て満足だし。
6個の月が空に浮かんで、沢山の猫さんのライトアップに照らされた会場から沢山の拍手と歓声が上がった。
聖域は今日も平和です。
作製の詳細の需要が無さそうなんで外伝書きます。
次回予告 閑話・蟲魔王
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