アレ
アレですあれ。謎のアレ。
東郷君と慈王君の聖域の案内をアカさんに任せて、俺はガンモとアオさんの所に夜ご飯の献立のお願いに来たんだ。
でも向かう途中で捕まった、4人のドワーフさんに。
「ニノ様、早ようあれの仕組みを説明するのじゃ。」
「軽い金属や硬い金属が何故にあのように散りばめられて作られておるのか知りたいのじゃ。」
「不思議な感触の柔らかい素材もですけど、座るところのフカフカ感はどうやって出しているのですか?」
「変な匂いの油がどうしてあんなに燃えやすいのか説明を求めます。」
アオさんの所に着くまでずっとこんな感じ。
ドワーフがレシプロエンジン搭載のバイクを初めて見たらこうなるっていい見本だな。
「魔王・東郷和真君一家の歓迎会が先です。ドワーフ特製のお酒を、色んな種類出しちゃいましょ。」
なんと!!良いのですか!なんてバイクの事なんてそっちのけで酒に目覚めるドワーフ4人組……
「ニノ様の故郷で造られた大吟醸酒に勝るとも劣らないと自負してます。出してきます冷やす方が美味しいお酒なので。」
「ワシは、アカの所で育てておるミードじゃ。あれの甘さは格別じゃぞ。」
「ゴッペ、ワシはエンジと一緒に作った焼酎を出してくるぞい。」
「あらあら、私はお酒に合うグラスでも用意しましょうかね。ハクさんやモモさんに氷も準備して貰わないと。」
酒の事になったら元気になり過ぎだろドワーフ。
苦笑いする、こっちを見てたアオさん。
最近の鬼さん達は、スキルで半分サイズになっている事の方が多くて、アオさんも半分サイズになってる。
「ニノ様、量の制限を設けないと、アイツら樽で出して来ますよ?」
「でしょうね、でも良いですよ。今回は私の同郷で魔王家族の歓迎会ですから、普段より少しだけ豪勢に行きましょう。それでですね……。」
大豆を使ったアレ。
「この間作って味見だけしたアレを出しちゃいましょう。」
ニヤリと笑った俺に、アオさんもニヤリと笑ってくれた。
「アレですね、かしこまりました。ニノ様もイタズラが好きですね。」
「アオさんも好きでしょ?」
2人で高笑いしてしまった。その声を聞いて、鬼さん達が何で笑ってるのか気になったようだけど、教えてあげない。
だってアオさんと2人で頑張って開発したんだもん。皆を驚かせようと思ってさ。
その頃、聖域の森の中で。
「お久しぶりですお父様。以前より若返りました?」
「うむ、久しいなサマンサ。確かに、以前と比べたら若返ってるだろうな、新しい主の神気を毎日浴びてるでのう。」
ナメッコの巨木、最長老と東郷君の奥さんサマンサさんが数千年ぶりの再開のシーンのようだ。
「お母様が怒ってましたよ、あのバカ何時になったら帰ってくるんだ、子育てを全部押し付けてって。」
「聖域でも多数の子供達を見守っておるじゃろうが。そうか怒っていたか……。」
あれ?サマンサさんっていくつなんだろ?
チャさんが月になった後にすぐ最長老が聖域に来たはずだから……。
《筆者もわからないです。サマンサさんの年齢決めるの忘れてました。》
「奥様、最長老さんの娘さんだったんですね。」
エメリーさんの質問に、苦笑いで答えるサマンサさん。
「この世界の樹木人でお父様とお母様の子供じゃ無い者なんて居ませんよ。」
「え?全員ですか。」
「そうじゃそうじゃ。この世界の樹人・木人は全てワシと妻の世界樹の子供達じゃよ。」
子沢山だな最長老。
次回出ます、次回は飯テロ回です。たぶん……。
エンジン作らせてえ!
読んで頂いて感謝です。