また小屋と言われました
もちろん住んでる家の事ですよ。
東郷君に聖域に一緒に来たい部下は居るか?って聞いたんだけど。
「僕に仲間は居ても部下なんて居ないです。それと連れて行きたいのは、妻と子供と……モーブさんとタマオさんですね。」
えぇぇ! つ・ま? こ・ど・も?
「東郷君って結婚してるの?子供もいる訳?」
「そりゃ日本に住んでた頃と合わせたら360歳くらいですから結婚くらいしてますよ。」
アカさんとエメリーさんは知っていたようで、俺一人驚いている。
「ニノ様、魔王様の奥方様とご子息様なら木工ギルドのお得意様なのでよく知っていますから、私が探して来ましょうか?」
エメリーさんが提案してくれた。
でも……
「隣の部屋に4人とも居ますから、呼んでいいですか?」
おっふ……
東郷少年とか言ってたマルトさんが見たらビックリするんだろうな……。
引き合わされた奥さんと子供は……
「樹精人さんですよね?それと……。」
「和真の妻で樹精人のサマンサです。大いなる主の帰還お待ちしておりました。」
「蟲魔王・和真と樹精人のサマンサの子で蟲魔族の慈王と申します。若輩者ですが、よろしくお願いします大いなる主。」
「ミノタウロスのモーブ、魔物だぞぅ。」
「二角兎のタマオです、よろしくお願いします。」
濃い……紹介されたメンツが濃い……。
「はははっ、お綺麗な奥さんですね。息子さんもなんと言うか……仮面ラ〇ダー的な感じで強そうですし。」
あとの2人というか……
「モーブさんは、まんまミノタウロスなんですね、タマオさんの角は角兎族にしては珍しく二本あるのですね。」
なんと言えば良いのか……
アカさん目を逸らさないで。
「僕も含めた5人でお伺いしてもよろしいでしょうか?」
断れるわけないだろ?
「もちろん、歓迎しますよ。」
アカさんとエメリーさんが笑ってる、ニノ様が困っている所を久々に見れたって思ってる笑い方だな。
仲のいいことで、ふんっ。
東郷君から1度テラスに出て城の周りに集まっている者達に御姿を見せて頂けませんか?とお願いされたので、軽く神気を解放しながらテラスと言うか……
シャチホコが横に鎮座している舞台だよなこれってのに出てみた。
耳が痛くなる程の大歓声と咽び泣く魔族や魔物、後ろを見ると東郷君の奥さんまで涙を流している。
どういう事これ? パンツァー様に聞いてみないとだな。
「こんな感じで良かったかな?」
「手を振ってあげてくれませんか?みんなが期待しているので。」
もちろんそれくらいならお安い御用だよ。
手を振った俺に反応して、城の前の広場に集まってる沢山の生き物達から、めちゃくちゃ凄い勢いで手を振り返された。
さっさと聖域に逃げよう!
「東郷君、とりあえず5人転移させて大丈夫?」
アカさんもエメリーさんも一緒に、東郷君の答えを聞く前に転移してやった。
苦手なんだよ、大勢の前に立つのって。
聖域に転移してきた直後に東郷君の放った言葉は。
「田崎さん、なんで惑星パンツに観覧席付きのサーキット場とかスクーターとかバイクがあるんですか? あの小屋に乗ってるソーラーパネルも違和感しかないんですけど。」
東郷君、君まで俺の家を小屋と言うのか!
ソーラーパネルは仕方ないのさ、電源欲しいし。
「いやあ、東郷君のアバター作るために日本に行ってきた話はしたでしょ? あの時に日本に居た頃に持ってたバイクのパーツも持ってきて、昨日1日で組み上げたんだよ。まだキャブレターのジェッティング(セッティング)は出してないけどね。」
ジト目の東郷君。
「日本に居た頃からバイクを弄ると飼い猫がすぐ後ろで見張りをしててくれてたんだ。その姿が可愛くてさ、ついやっちった。てへぺろっ。」
「てへぺろとかしても可愛くないです田崎さん。」
酷いな。
「スクーター型の乗り物はエアスクートって読んでる惑星パンツ製の乗り物だよ。東郷君も乗ってみる?免許要らないしだし。」
うし!慈王君の興味は引けたようだ。
目が輝いてるもんな。カンタ君と子供達のレースを見てさ。
似合うだろうよ慈王君、仮面ライ〇ー的な見た目なんだし。
奥さんの興味は、地面に生えてるアルラウネさんやマンドラゴラさん達みたいで、こっちの事なんか見てないし。
モーブさんとタマオさんは既にガンモに匂いを嗅がれてる。
うん、何時もの平和な聖域だな。
中に入って東郷君が驚くのは次回です。
読んで貰えて感謝です。