アホの悪ノリ、アッツアツ
悪ノリしますよね二十代後半位まで。
東郷君のバイト中の写真を沢山撮っておいた。
後で東郷君の側近の魔族さん達に写真立てに入れて配るためだ。喜ばれるはず。
「しかしニノさん、親戚の叔父さん化してましたよ。甥っ子の初めてのアルバイトを撮影する親戚の叔父さんと言われても、何ら違和感の無い。」
「はははっ。お気になさらず。」
少しだけ恥ずかしい。
「あとは明日の転生直前に東郷君の傍に行くだけですから、深酒で寝過ごさないようにするだけですし、旅行を楽しみましょうか?」
「そうですな、少しだけ海を見に行きたいのですが、良いでしょうか?」
おっ!やっぱりマルトさんは海が見たいようだ。
「それなら旅館に向かいましょう。少し移動しますけど、のんびり歩きながらでも。」
「旅館ですか……」
少しだけ残念そうなマルトさん……
ふふふ、旅館に付いたらびっくりするぞ。
おっさんが二人並んでのんびり歩きながら旅館に向かう。
旅館の近くに来るまで海の方を出来るだけ見ないで歩いて貰った。
「ふあぁぁぁぁぁ……綺麗ですねえ。」
そうでしょう、そうでしょう。
ここは指宿海上ホ〇ル。
海に超キワキワで建ってる海の見えるホテルだ。
お値段も他より少しだけ安め、なのにちゃんと砂蒸し風呂も展望大浴場も完備してる。
「展望大浴場から見る海はさらに綺麗ですよ。特に夕日が綺麗な時間帯だと最高ですね。」
じーっと海を眺めてるマルトさんが。
「砂蒸し風呂行きましょう。今なら夕方に間に合いますよね?砂蒸し風呂の後に展望大浴場に行きましょう!」
ホテルのパンフレットを手に持ったマルトさん。
仲居さんが凄くこまってる、荷物を渡しなよ。
荷物と言っても、小さいバッグ1つなんだけどさ。
「そうですね、先ずは部屋に行きましょうか。その後に砂蒸し風呂にでも。」
マルトさんの笑顔が過去最高の素晴らしい笑顔に見えた。
「重いです、熱いです。でも何かが溶けて行きます。ぁぁぁぁぁ……」
浴衣を着て砂を掛けられたマルトさんの変な呻き声を聴きながら。
「二十代後半の時に友達と二人で来て、悪ノリして浴衣を着ないで砂を掛けて貰った事があるんですよ。その時はパンツに入って来た砂で股間が熱かったですよ。」
砂を掛けてくれる係員さんが親指を立てていい笑顔でニヤってしてる。
「その節はどうもです。こちらの係員さんに掛けて貰ったんですけどね。」
首から下が砂に埋まってるから、親指立てて返事が出来ないけど。
「あの時は驚きましたよ、他の利用者がいなかったので、頼まれたからやりましたけど。」
ポリポリと頬を掻きながら、係員さんが恥ずかしい悪ノリを晒してくれた。
「お友達と二人並んで、方やパンツ1枚で、方やうつ伏せになって砂を掛けてくれとか。」
恥ずかしい。あの時は若かったんだよ。
「熱い!股間が熱い!でも全体がめちゃくちゃ熱い。でしたっけ?忘れませんよ。」
あの時は熱かった……
「うつ伏せの方なんか、首を上げとかないと息が出来ない!なのに熱い重い、気を抜くと息が出来ない!首と肩が凝る!やばい。何しに来たとよ貴方さんたちゃって、ツッコんでしまいましたからね。」
「若気の至りです。申し訳ない。」
ありゃマルトさん目を閉じて寝てる。疲れてたのかな。
「ニノさん、若気の至りって、恥ずかしい思い出でいっぱいですね。」
寝てなかった、聞いてたのか!恥ずかしい。
「今ではそんな事しませんけどね、ちょっとした事で大問題になってしまうんで。」
「申し訳ないです。若い時の私が。」
「そうですよ、そうですよ、もっと言ってあげて下さい。いまだに悪ノリするんですから。」
小さい声で係員さんとマルトさんと三人で、他のお客さんに迷惑にならないように笑った。
全身から汗が吹き出て、要らない物が全部出ていくような感覚が気持ちよかった。
え?しない?それは損をしてますよ。
次回 展望大浴場から海を眺めて、おっさん2人がしみじみと。
その後に夜ご飯とマルトさんの昔語りスタートです。
読んで貰えて感謝です。
5話目を更新した。
【ゴブリンスレイヤー】ゴブタク【風間拓斗の苦悩】
もよろしくお願いします。