ガンモが喋った!
この回から少しだけ祟り神に寄っていきます。
とりあえずガンモを起こさないように、静かに腰に巻いてる布を外して綺麗に折りたたむ。
そしてタンスをそっと開けて、パンツとハーパンとTシャツを取り出して着込む……
やっと、脱裸だ。
でもこっちからあっちに物を持ち込む事は基本的に出来ないってなってたから、あっちに帰ったらまた裸なんだよな……
と言うか持ってきた布も持ち帰れないかもしれない!ヤバい裸族になってしまう!と少しだけ頭を抱えて居たらガンモの目があいた!
立ち上がる、後ろに伸びる、前に伸びる、テーブルから下りる、足に擦寄る。
何時もの行動だなぁ……
相変わらずモコモコだなぁと考えて居たら。
「下僕ぅ!何やってたんだよぅ、どこ行ってたんだよぅ下僕ぅ!カツオくれよう!カツオ食べたいよぅ、マグロでも良いけど。今は、焼きカツオが食べたいんだよぅ。毛の無いシワシワも白い毛のシワシワも、僕にカツオをくれないんだよぅ。もう2日も美味しくない方のカリカリばっかりで飽きたよぅ、早くカツオくれよう下僕ぅ!」
と叫びながら俺の右足に頭を擦り付けてくる……
てか、本当に下僕って呼んでたんだな、いちおう飼い主だったんだが……
あれ?ガンモ俺に触れてる?あれ?と思い、ガンモを撫でてみる。
普通に触れる。首の周りを撫でてやると、気持ちよさそうにゴロゴロ鳴らしながら。
「なでなでも、もっとしてくれよぅ。下僕が居ないと僕と誰も遊んでくれないんだよぅ。何時もの紐を動かしてくれよう。それと、ハゲのシワシワと白い毛のシワシワに下僕に少しだけ似てる臭い奴が。下僕が居なくなったからって、面倒見る奴が居ないなら保健所に連れて行くか?って言って捕まえようとするんだよぅ。
保健所ってカツオくれるのか?くれるなら行きたいよぅ。なでなでも良いけどカツオくれよう。」
言語理解の能力か!あれか!うにゃうにゃなーなー言ってたのは、こんなに喋ってたって事なのか!ってびっくりしつつ、小分けになっている焼きカツオをガンモの食料箱から1つ取り出し、開封してほぐしながら皿に置いてやる。
「相変わらず可愛いのぅ。」
と言いながらほぐしていると。我慢出来なかったようで、ほぐしてる途中で食らいついて来た。
数日の間貰えてなかったら待てなんて可哀想だなぁと思いながらムシャムシャとカツオを貪るガンモを見ながら、ガンモの喋った内容を考えてみる。
カツオ、マグロ、なでなでのくだりはわかる。でも毛の無いシワシワ……
あぁ親父か。
それじゃ白い毛のシワシワは、おふくろか。
俺に似てる臭いの……兄貴かな?
そして面倒見る奴が居なくなったから保健所??
里親を探すとか、両親に面倒を見させるとかじゃなくて、いきなり処分……
糞兄貴……
あぁそうだった。あの腐れは、そんな奴だった。
少しだけ配置が変わってる自室の俺の机の引き出しを開ける。
仕事で数日留守にする時に、ガンモに何かあったらここからお金持ち出して動物病院に連れて行ってくれと両親に伝えて常に置いてあった20万円が見当たらない。
机の上の時計ホルダーに掛けてあった、お気に入りのグラ〇ドセイコー(機械式)も見当たらない。
鍵のついてる2段目の引き出しを触ってみる。
鍵が開けられていて、そこに置いてあった50万円と貯金通帳も見当たらない。
そしてバイクの車検のためにコツコツと貯めていた500円玉貯金箱も見当たらない。
こっちに帰ってきて良かった。何が出来るか分からないが、あの糞野郎を野放しにしなくてすんだ。
あれに渡す金など1円たりとも無い。
どうにかやって全てを置いて帰らせないと……
そのために何が出来るかちゃんと理解しよう。
まぁあれです、日本を舞台に少しだけ色々と自分の能力が分かってきます。