飼い猫の冒険 圧倒的な猫力
圧倒的な……
神の消えた大陸を、太古より護り続ける忌々しい聖獣 五尾猫よ、今日こそ我の血肉となってもらう。
我が血族を統べる力を手に入れる為に。
そう思って居た時期が私にもありました。
勘弁してください。まさか神獣様だと知らずに。
まさか神が帰還してると知らずに。
新しい規則が決まっているとも知らずに。
嫌な匂いのする翼の生えたトカゲが、大きな体を見えない何かで浮かせながら翼を使って空を滑って来る。
風に乗って臭ってくる血の匂い。
「春芽は、少し後ろで待ってて。僕がやるから。」
春芽が止めようとするけどね、僕は止まらないよ。
音は要らない、だから耳を後ろに伏せる。
尻尾は立てない、だって直ぐには治してあげないから。
後ろ足に力を篭める、一気に飛び上がれるように。
「ガンモいきま〜す。」
突撃する時は、必ずこう言わないといけないんだ、ニノから教えて貰ったよ。
こっちを見てる大きなトカゲが口から火を吐いたよ。遅いね、当たらないよそんなの。
後ろに飛んで行くと危ないから、尻尾に込めた不思議な力でかき消してやったよ。
僕の後ろに居る生き物が誰も怪我をしないようにね。
空を飛んでるトカゲの近くまで行く途中に、なれる1番大きな体になったよ。
ニノにぶつかった唸る鉄の箱くらいの大きさかな?
思いっ切り走ったら、トカゲじゃ見えてなかったみたい、僕の事を探してるよ。
もう真後ろに居るのにね。
思いっ切り引っ掻いたら大怪我させそうだな。
だから軽く引っ掻くよ。
声も出さず、音も立てず、後ろからこっそり1回だけ。
「どわくせなかたくらはまらは*#!くぁw背drftgyふじこlp;@:「」」
変な声を出して落ちて言ったよ。羽が千切れたら飛べないみたいだ。
クルクル回って空から落ちてった。
千切れた羽を海に飛ばして、トカゲが落ちて行ってる真横まで近付いたよ。
地面に落として誰かが潰れたら可哀想だから、首の後ろを咥えて持ち上げたよ。
今の僕より大きい体なのに軽いね。
こんな血の匂いがする生き物だけど、殺したらニノが悲しそうな顔をするから殺さないよ。
首の後ろを咥えてたら抵抗出来ないみたい。
大人しくなったから、このまま地面に下ろそうかな。
下ろす所に住んでる草さん、虫さん、動物さん、少し離れてね。
春芽がこっちを見ているよ。可愛い……
驚いた表情もすごく可愛いね……
このトカゲを治したら、春芽をニノの所に連れて行こう。
何時も僕が貰ってる、美味しいカツオを一緒に食べたいからね。
神≧神獣>聖獣=ドラゴン≧霊獣って感じで格が違います。
圧倒的なアムロ感、白い悪魔ならぬ黒くてフサフサの癒し猫ですけどね。
もうちょい飼い猫の冒険が続きます。
読んで貰えて感謝です。