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第13話 お土産屋さんのくまさん


 ジェットコースターを満喫した俺達は出口まで迎えに来ていた咲月とミーナちゃんに合流する。すると、ミーナちゃんはご満悦な顔で足元に抱き着いてきた。


「にーに!ミーナね、さつきとくまさん見たの!」

「ああ、田舎のくまさんシアターか。楽しかったみたいだな?」

「うん!くまさんが沢山で、うきうき踊るの!すっごく可愛いの!」


(うん。そんなミーナちゃんのが可愛いぞ?)


「ねぇねぇ、にーには?」


 その問いに、咲夜と顔を見合わせる。


「にーにも、すーっごく楽しかった!」

「わぁ!いいなぁ!」

「ミーナちゃんがもう少し大きくなったら、一緒に乗ろうな?」


(ジェットコースターには、身長制限があるから)


「あい!」


 小さな身体を抱き上げて指切りをしていると、咲月が口を開く。

 口元を抑えてくすくすと肩を上下させる動きがなんとも楽しげで微笑ましい。


「ふふ、ミーナちゃんてばシアターでずーっとくまさんにつられて揺れてたのよ?」

「うわぁ!何ソレ!見たかった!咲月ズルいよー!」

「お姉ちゃんこそ、哲也君とジェットコースター楽しかったでしょ?」

「それはもちろん!吐き気もすぐにおさまった!」

「吐き気してたのかよ。大丈夫か?」

「心配してくれるなんて哲也君やっぱ優しい~!好き~!」

「しゅき~!」

「ちょ、ミーナちゃんまで!こらこら、お外でちゅっちゅするのはやめなさい!」


(にーにが捕まっちゃうだろう!?)


「さ、元気があるならお土産を見に行きましょう!混む前に!」

「さんせ~!」


 咲月に手を引かれ、咲夜に背中を押されてギフトショップへ急ぐ。そこには、色とりどりのお菓子が山のように積まれていた。


「わぁあ!」

「おお……!」


 その光景に、子どもみたいに胸が高鳴る。ディスプレイをきらきらした目で見ている俺とミーナちゃんをよそに、ふたりはカゴを手にしてやる気満々だ。


「さぁ、何を買おうか!今日はわたしの奢りだよ、ミーナ。好きなものをなんでも言いたまえ!」

「きゃあ~!」


 途端に俺のそばを離れて咲夜に抱き着くミーナちゃん。

 結構、げんきんな子だ。


「やっぱチョコクランチは欠かせないわね。何これ、季節限定味!?こっちの缶もデザインが可愛い……!どうしようお姉ちゃん!」

「咲月も相変わらず好きだね、そういう可愛いくてこまいの」

「そんなこと言って、咲夜のカゴももう半分埋まってるじゃないか」

「あれ?そう?だってどれもこれも可愛いんだもん!」

「美味しそう、じゃなくて?」

「「可愛いのが大事なの!」」


 声を揃えて反論される。まぁ、たしかに可愛いは正義だもんな。三人を見てるとそう思う。

 思わず口元が緩んでいると、ミーナちゃんが声をあげた。


「ミーナはね、これ~。これとこれと……」

「わっ、そんないっぱい?ミーナ食べきれるの?」

「だって~」

「まぁ、せっかく来たんだし別にいいけどさ。コレ!っていうベストチョイスは無いわけ?」

「べすと……?」

「うーん……一番のお気に入り?」

「お気に入り……」

 ――ハッ!


 思い出したように駆け出すミーナちゃん。そして、手にして来たのは帽子をかぶったくまのぬいぐるみのおまけがついたお菓子だった。というより、ぬいぐるみがメインでおまけがお菓子なやつ。


「ミーナね、これがお気に入りなの!いつも一緒にいるの!」

「いつも一緒に……?」

「リュックについてるの!どこ行くときも一緒なの!」

「それって……!」


 俺達は揃って顔を見合わせる。


「買おう!リュックにつけて沿線を散歩すればママが気づくかもしれない!」

「なるほど……!大々的に活動してるわけじゃないから、『彼』にも目をつけられないしな!」

「ミーナ。リュックには何匹くまさんがついてた?」

「んっと……にひき……右と左に。ひとりじゃ可哀そうだからって、ママが……」

「そのくまさんは、これとおんなじ帽子をかぶってる?」

「うん!」

「どっちも?」

「どっちも!」


 ミーナちゃんの笑顔と共に、俺達の胸にも希望の光が灯った。


「同じデザインのくまさんを二匹つけてる子なんて、そうそういないだろ……!」

「ひょんなところでラッキーだったわね、私達」

「これでママが気づいてくれるといいんだけど……」

「とにかく、善は急げだ!」


 俺達はくまさんがついたお菓子を二個(予備も含めて四個)購入し、ギフトショップを後にした。


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