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奴隷拳闘士の下克上  作者: ためため
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第一章 第十七節 本選ニ回戦

【第一章 第十七節 本選ニ回戦】

歓声の中、入場口に戻るとリアーナとロロミアが出迎えてくれた。


リアーナ「二人ともすごい!!あんな強そうな人にかっちゃうなんて!」

ロロミア「お疲れ様でした。控え室で休憩しましょう!」


初戦の勝利に俺たちの陣営は明るいムードに包まれていた。


しかし


ガイード「ぐっ・・・」


ガイードが不意に膝をつく。


スバル「ガ、ガイード!?」

ガイード「だ、大丈夫だ・・・」

スバル「バカ!そんなわけないだろ!」


俺はガイードに肩を貸し医務室につれていった。

ベッドにガイードを寝かせるとロロミアが状態を見てくれた。


ロロミア「先ほどの魔法攻撃によるダメージが原因ですね。じっとしていてください。」


ロロミアはそういうと魔法を唱え始めた。


ロロミア「アクアベータヒール!・・・これで大丈夫だと思いますが、大事を取って今日は安静にしててくださいね」

ガイード「ば、バカ言え!第2試合の打ち合わせもしないといけないのに・・・寝てられるか・・・!」


ロロミア「無茶ですよ!今はしっかり休んでください!」

ガイード「だ、ダメだ!スバルお前からも言ってくれ!ぐっ・・・!」

ロロミア「ダメです!スバルさんも止めてください!」

シエナ「何バカなこと言ってるの!その体で動いても迷惑がかかるだけでしょ!」


医務室に入ってきたシエナさんがガイードをしかりつけた。

ロロミアは誰っといった顔でシエナさんを見た。


スバル「ロロ、大丈夫だ。その人はガイードの奥さんだよ」


リアーナがシエナさんを連れて医務室に戻ってきたのだ。


スバル「リアーナ、見つけてくれたのか。ありがとう」


そういってリアーナの頭をなでる。


リアーナ「えへへ、シエナさんとは大会前にどこにいるか聞いておいたの」


つかつかとガイードに近づいていくシエナさん。


シエナ「ここで無理して、次の試合戦えなくなったらどうするの?スバルさんを勝たせるんでしょう」

ガイード「し、しかし・・・」

シエナ「男が言い訳しないの!」


ピシャリとシャットアウトされたガイードはそのまま口をつぐんでしまった。


シエナ「スバルさん、ごめんなさい。この人と二人にしてくれる?」

スバル「わかりました。リアーナ、ロロ食堂へいこう」


俺の言葉に二人とも頷き、医務室を後にした。



*



俺たちは医務室を出て食堂に来て食事をとりながら次の試合に向けて相談をしていた。


スバル「2回戦は今日行われるのか?」

ロロミア「いえ、明日、2回戦、準決勝が行われ、3日目の最終日に決勝が行われますね」

スバル「じゃあガイードも1日休むことはできるんだな」


あの状態でそのまま2回戦も戦わせるわけにはいかないしな。


スバル「しかし、2回戦の相手がわからないのは辛いな。相手の戦い方がわかれば対策も立てられるんだけどな」

ロロミア「試合を盛り上げるために互いの情報は伏せたまま進められます・・・しかし・・・」


そういうとロロは口ごもった。


リアーナ「ロロさん・・・?」

スバル「一部の選手は対戦相手の情報を得ている・・・か?」

ロロミア「ええ・・・中流街以上の出場選手は観客に関係者を潜り込ませて情報を得ている可能性が高いです・・・」


スバル「ということはガイードの状態や、俺が魔法を使えないことも当然知れ渡っているだろうな」

リアーナ「そ、そんな・・・!」

スバル「いや、それくらいは予感していたさ。問題はガイードの状態だな。守りを固めて距離を詰める方法は使えないかもしれない」


ロロミア「そうですね。そうなると個々で戦う戦法ですが魔法詠唱できない距離まで詰めることが重要になりますが補助魔法タイプだった場合、肉弾戦中心のスバルさんは圧倒的に不利になります」

スバル「結局出たとこ勝負ってわけか・・・」


ロロミア「えぇ、でも魔法も万能じゃなありません。魔力を消費すればするほどその疲れは全身に出てきます。あえて魔法を使わせて疲弊させるのも作戦としてはありだと思います」

スバル「なるほどな」


俺は1回戦で戦ったヘルシングを思い出していた。

強力な魔法の連発により思わず膝をついてしまっていたことを。


スバル「ロロは回復魔法以外の魔法も使えるのか?」

ロロミア「え、えぇ簡単な攻撃魔法なら・・・」


スバル「ここで気をもんでも仕方ない。トレーニングに付き合ってくれないか。せめて攻撃魔法を回避する練習はしておきたい」

ロロミア「!わかりました。訓練場に行きましょう」


そうして俺たちは食堂を後にした。



*



翌日俺はコロシアム内の宿泊部屋で目を覚まし、毎日の日課である瞑想を終えるとガイードの様子を見に医務室へ向かった。

俺は室内のガイードを起こさないようにそろりそろりと部屋に入った。


スバル「ガイード、もう起きてたのか」

ガイード「あぁ、心配かけてすまねーな。昨日ずっと寝てたからな早めに目が覚めちまったぜ」


俺の心配をよそにガイードはすでに目を覚ましていた。


スバル「体の様子はどうなんだ?」

ガイード「完全とは言えないが十分戦うことはできる。心配するな」


ガイードは手をにぎにぎと握りながら答えた。


スバル「そうか、よかった・・・」


俺はとりあえず昨日食堂で話し合ったことをガイードにも伝えた。


ガイード「たしかに昨日のような戦法でこられたら次はやばいかもしれないな・・・個々で戦うのはいいんだが昨日のあいつらの会話、覚えてるか?」

スバル「あぁ、明らかに俺を殺すのが目的だったようだ」


1回戦でヘルシングが口走ったことを思い出した。


スバル「それにヘルシングの奴、力をもらったとも・・・魔法をさずけるなんてできるのか?」

ガイード「それについては俺も詳しくはわからない。しかし2回戦以降もお前を消したい奴が裏で画策している可能性は高いぞ」


俺を殺したい勢力・・・すぐわかる国王やソフィア達だろう、俺が奴隷街から出ることにたいして危機感を持っているに違いない。


ガイード「どうするんだ?スバル、ここでリタイアもできるぞ?」

スバル「聞かなくてもわかってるだろ?」


もちろんリタイアするなんて毛頭ない、奴隷街にいたところで殺されない保証はない。


ガイード「だよな!さすがは俺が見込んだ男だ」

スバル「ガイードこそいいのか?俺といると危険なことになるのは間違いないんだぞ」

ガイード「がはは!俺にとっちゃこの程度の修羅場、なんてことはない!」


そう言ってくれるガイードに俺はいつも救われている。


スバル「それで2回戦なんだがやはり個々で戦った方がいいと思う。互いの相手を潰したほうがもう一人を援護しよう」


ガイード「そうだな。相性の悪い魔法だった場合は時間をうまく稼ぐ方法になるが、相手がわからない以上出たとこ勝負になってしまうのは仕方ないな。だったら試合開始に合わせてお前に強化魔法を付与するぞ」


スバル「いや、そこは自分に付与してくれ。俺は1回戦のダメージも少ない。ガイードよりも機動力が高いしな」

ガイード「し、しかし、もしまともに食らったら致命傷になるぞ」


スバル「それはお互い様だろ。俺には魔法鋼の防具もあるしな。それにガイードが致命傷を受けでもしたら3回戦以降どう戦うんだよ」

ガイード「わかった。わかった、がお前も絶対無茶するんじゃないぞ」

スバル「あぁ、すまないな」



*



俺とガイードは医務室を出てリアーナとロロが待つ控え室に向かった。

控え室に入るとリアーナとロロだけではなくシエナさんもいた。

ロロが手を回してくれたらしい。


リアーナ「スバルさん!」

ロロミア「スバル様、ガイード様おはようございます」

シエナ「おはよう、二人とも」


挨拶を軽くかわしてシエナさんが俺たちの装備の状態を見れくれた。


シエナ「どっちも大丈夫みたいね。これなら次の戦いも大丈夫だとおもうけど、1回戦みたいな魔法を受け続けると体のほうが持たないわよ」

ガイード「わかってるさ。俺もスバルもこんなところで負けてられないからな」

スバル「あぁ、次も必ず勝つぞ!」


話をしていると外から大きな歓声が上がった。

どうやら前の戦いが終わったようだ。


ガイード「終わった」

スバル「あぁ、そろそろ出番だな」


俺とガイードは顔を見合わせた。

そうこうしていると兵士が控え室にやってきた。


兵士「ガイード、スバル組、まもなく第2試合だ。入場ゲートへ来い」

ガイード「さぁ、スバル行こうぜ!」

リアーナ「スバルさん、ガイードさん気をつけて」


ロロミア「観客席で見てますね!」

シエナ「ちゃんと帰ってくるのよ!二人共」


みんなの声援に俺達は手を挙げて答えた。

1回戦同様に俺達は入場ゲートの前に立った。


ガイード「スバル、無茶だけはするんじゃねーぞ。生きてればきっとチャンスはあるんだからな」

スバル「ガイード・・・あぁ、わかってるさ」


そして、目の前の入場ゲートが開かれた。



*



デミトロ「さぁ白熱した2回戦第1試合を終え、今大会注目の第2試合です!」


デミトロの実況に会場から大きな歓声が上がる。


デミトロ「東!強力な合体魔法を駆使する相手をものともせず勝ち上がってきた今大会のダークホース!ガイード、スバルコンビ!!」


デミトロの呼び出しに合わせてコロシアム内に入場すると1回戦とは違いビーイングと歓声が入り混じった声が聞こえた。


「次も期待してるぞ!」「無能者は消えろー!」「やっちまえ~!!」

スバル「俺達を応援してくれる人もいるのか・・・」


ガイード「あのあたりは下流街の観客が多い場所だな。下流の人間は奴隷街の人間にも寛容な奴が多いしな。期待に応えてやろうぜ!」

スバル「あぁ!燃えてきた」


デミトロ「続きまして!西!!ムッ・・・?」


デミトロが呼び出しをしようとしたとき男がデミトロに近づいていき、何かを耳打ちした。

俺はその様子を見て予選で起こったことを思い出した。


ガイード「スバル・・・」

スバル「あぁ・・・やな予感がするな」


ガイードも俺と同じことを考えていたようだ。

しばらくして再びデミトロのもとに男が近づき耳打ちした。

それに対してデミトロが頷いて返事をする。

話を聞き終わったデミトロが観衆に向かいなおす。


デミトロ「皆様!大変お待たせいたしました!ガイード、スバル組の対戦相手にトラブルがあったとのことで2回戦に出場不可能となりました!」


その言葉を聴いて会場からブーイングが起こる。

しかし、デミトロは慌てることなくその声を聞いて大きくうんうんとうなづいている。


デミトロ「そうでしょうそうでしょう!私も皆様と同じ気持ちです!このコロシアムに不戦勝などあっていいわけがない!そうでしょう!」


次はうってかわって歓声が上がった。


デミトロ「我らが寛大な国王陛下により、ガイード、スバル組と十分渡り合える猛者を用意してくださりました!西の門、かいもぉぉーーん!!」


西の入場ゲートが開き、奥から人影のようなものが見える俺達はいつでも戦えるように臨戦態勢を取った。

奥から出てきたのは予選の時に出てきたモンスターとは違い、美しい銀色の甲冑を来た2名の騎士だった。


ガイード「あの鎧は・・・」

スバル「ガイード?」


ガイードが何かを呟いた気がしたが入場に合わせて上がった歓声で聞こえなかった。

デミトロが体全身をつかって抑えるポーズをすると歓声が静まった。


デミトロ「そぉれでは!!2回戦!第2試合!!・・・・」


俺達はデミトロの声に構えを取ったが、目の前の騎士は棒立ちのまま合図をまっている。


スバル(何を企んでいるんだ・・・?)


デミトロ「はじめえぇぇぇ!!!」

ガイード「スバルいくぞ!」


ガイードが魔法の詠唱を始めようとしたその時。


スバル「待て!ガイード!様子がおかしい」


騎士の方を見てみると抜剣もせず二人共こちらに向かってガシャガシャと音を立てて向かってくる。

俺達が様子を伺っていると騎士の一人は途中で止まり、もう一人の騎士が中央付近まで来て立ち止まった。

すると、手前にいる騎士は兜を脱ぎ小脇に抱えてこちらに向かって叫んだ。


スバル「な、女・・・?」


兜を取ると中はキリッとした綺麗なロングヘアーの美しい女性だった。


女騎士「無能者スバルタスク!この私と一騎打ちをしろ!」

スバル「な、なに!?」


女騎士「我が名はリヴィア、リヴィア・アインハルト!王宮近衛兵の一人!勇者の名を語り国王陛下に仇なした貴様のような無能な犯罪者をこの神聖なコロシアムにたたせる訳はいかない!」


ガイード「あいつらは王宮を守護する王宮近衛兵団の団員だ。これはまずいことになったかもしれないな・・・」

スバル「くっ・・・どうしてこうなるんだ・・・!」


こうして2回戦は相手の決闘の名乗りから戦いが始まったのである。

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