トラウマで駄目駄目な俺の世界の役割
ソワカは魔導士、男、32歳。
三度世界を救った。
一度目は魔人。
二度目は魔王。
そして・・三度目は人間同士の戦争。
ソワカは三度目の世界大戦で好きになった女性の為に、一国だけを勝たせ続けた。
エトールトワという国の第三王女、ミレーヌの為に。
谷を挟んだ最後の戦いでソワカは最大火力の魔法を使い、敵を一掃した。
後は頼んだと、信頼を寄せる仲間達に告げ、ソワカは後方へ移った。
魔力を使い果たし、ぐったりになった僕に仲間の一人の治癒師が来て、MPポーションを飲むよう勧めて来た。
ソワカはありがとうと喜んで飲んだ。
その隙に、呪いの剣でソワカは刺された。
治癒師の女の子はごめんなさいごめんなさいと何度も・・泣いていた。
ソワカは全てを悟った。
ああ・・いいんだ、いいんだよ・・君を・・許すよ。
ソワカはそう言い、深い深い眠気に落ちた。
2300年後。
エトールトワのお城。
人間族、召使いの女21歳がいじめにあっていた。
昔、女魔導士に醜い顔に変えられて以来、悲惨な人生だった。
地下牢の表に出せない犯罪者達や、表に出せない女奴隷らに餌を運び、牢屋の外からお湯をかけ体を洗って、糞尿の後始末をするのも彼女の役目。
名前はノア
世界大戦で敗れた国々は一度はエトールトワに吸収されたが、また直ぐに内乱が勃発、新たな国が4か国出来ていた。
ノアはその日もいつも道り地下牢で世話をしていた。
ノア「はあ・・私・・このままお婆ちゃんになるのかなあ・・」
奴隷女「はW」
ノア「む、何よ」
奴隷女「お婆ちゃんになんてなれる訳ないっしょ?慰み者にもなれないアンタは家畜の餌よ、知らないの?このお城じゃ、年寄りになりそうな男女は全部家畜の餌になってんだよ、お城の地図を描けちゃうからねえ」
ノア「う・・うっそだあ・・何でんな事知ってんのさ」
奴隷女「いやいや・・何でって・・あたしは奴隷で、ただの性処理係だから、馬小屋とか、豚小屋で、家畜の相手させられてんの、んで、その離れに、ペットの魔獣専用小屋があって・・そこに老人になる手前くらいの使用人達が連れて行かれてんの何回も見てるのさ、んで、出てくるのはいつも警備兵だけ」
ノア「・・〈ダラダラダラ〉」 心当たりがあった。
奴隷女「消えた使用人・・結構いるだろ?年寄りになる前に田舎に帰らせたってのがセオリーか?あははははははははは」
ノア「・・そんな・・そんな・・そんなああ・・」
奴隷女「・・いい事教えてやろうか?」
ノア「・・?」
奴隷女「・・あたしは感覚が鋭いんだ・・いいかい?耳を貸せ」
ノア「・・」 素直に耳を預けた。
奴隷女「この地下牢には秘密の隠し階段がある」
ノア「!?」
奴隷女「いいから聞け、言ったろ?あたしは感覚が鋭いって、解るんだよ、時々その・・そっちの奥から小さな振動がくんだ・・地面の振動がな・・この地下牢は反対側からも来れるんだろ?」
ノア「・・はい、来られます・・でも・・あっちからは偉い人しか入っては駄目だって」
奴隷女「なあ?変だろ?そう思わないか?何で?同じ地下牢なのに?」
ノア「そ・・それは~・・・・何で?」
奴隷女「それをお前が確かめるんだ」
ノア「む!?無理無理!?」
奴隷女「時間がただ過ぎたって、お前は魔獣の餌だぜ?」
ノア「うぐ」
奴隷女「腹くくんな、魔剣か・・とんでもねえ捕虜か・・とにかく定期的にお偉いさんがこのくっさい地下牢の更にくっさい下水より下手したらもっと臭いかもしれない地下の地下に降りてんだぜ?絶対何かある、どうしても定期的に見たい何かが・・」
ノア「・・ゴクリ」
奴隷女「・・興味出たか?ひひひ」
ノア「べ、別に!?」 道具を持って帰った。
奴隷女「・・さって・・種は蒔いた・・後は・・寝る・・ぐう・・がああ~・・ごおお・・」
その夜・・ノアは一睡も出来なかった。
朝。
奴隷女「ぎゃはははは、んだよお前その面!?眠れなかったんか?ああ?」
ノア「うっさい、ほら、お湯かけるから、服脱いで、立って」
奴隷女「あいよ~」
40分後。
奴隷女「今日・・私・・多分呼ばれる」
ノア「え?」
奴隷女「こんな湿気がある日は・・雄は発情しやすい・・へへ・・お前、チャンスだぜ?」
ノア「な、何が?」
奴隷女「ま・・別にい?そのまま年を重ねて、魔獣の餌になればあ?」
ノア「ま、まだ餌になってるって決まった訳じゃ」
奴隷「・・じゃあ・・何でお前は昨日眠れなかったんだ?」
ノア「・・」
奴隷「・・ほら・・時間良いのか?」
ノア「あ!?・・もう!!」 奴隷らの服の洗濯に地上に戻った。
奴隷女「・・もうすぐ・・もうすぐだ・・帰るからな・・待ってろ・・絶対・・お母ちゃん帰るからね」
ノアは臭い。
その為、屋敷に入る事は許されず、小さい掃除道具小屋に寝泊まりしている。
ノアはその小屋の傍の古い井戸から汲んだ水で洗っていた。
その傍を奴隷女が逃げて行った。
ノア「え!?」
目の前で魔術で捕まった。
奴隷女「嫌だああああああああああ!!何でだよおおおおおお!!??あたしはまだまだ若い!!若いだろうがああよおおおおおお!!何でだよおおおおおおお、嫌だあああああああ!!死にたくない!!帰らなきゃ!!帰らなきゃいけないんだよおおおおおおお!!あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ふぐうむむむ」
口を布で縛られ、魔獣小屋へずるずると。
踵を地面に削られながら、脇を抱えられながら、ノアと目が合った。
目を見開き・・そのまま入っていった。
そして二度と・・現れなかった。
それから4日後。
新しい奴隷が連れて来られた。
人間族だ。
その奴隷も3日で居なくなった。
警備兵の噂によれば、マグロ?だったかなんかでつまんなかったらしい。
そして、金色の髪のエルフ、金色のエルフの少女が連れて来られた。
首輪はしていたものの、国王からの寵愛を受けていた。
どうやら国王は愛に目覚めたらしいと警備兵らが噂をしていた。
ノアの待遇も変わった。
掃除道具小屋の傍に新しく少し大きい小屋を建てて貰えた。
ノアは心底喜んだ。
やっとこの国も変わる、・・そう思ったし、願った。
ある新月夜。
エルフ「はあ、はあ、はあ、はあ」 逃げていた。
国王「待てよおお・・何で皆俺から逃げるんだよおお・・俺は国王だぞお?・・この国で一番強いんだぞおお?・・雌は雌らしく強い雄に媚びってればいいんだよおお・・んだよお・・何でええ?・・何でなんだよおお?なあ・・何でなんだよおおおおお」
国王と、金色のエルフが真夜中に追いかけっこかともそもそ起きたノアは様子がおかしい事に気づいた。
国王らしき男の影の手元が光ったのだ。
国王「警備兵おお・・手を出すなあああ・・手を出したら死刑だかんなあああああ」
警備兵らは少女から逃げる。
エルフ「助けてええええ、誰か助けてえええええ、はあ、はああ、はああ」 訴え、また逃げ、訴え、また逃げる。
誰も。
誰も。
誰も。
誰も。
『誰も』
無視。
ノア「駄目よ・・ノア・・絶対駄目だかんね!?・・・・駄目って・・駄目だってば・・駄目・・」
部屋をウロウロ。
エルフ「はあ、はあ、はあ、はあ、あう!?〈ドサ〉」 こけた。
国王「・・そんなに俺が嫌いか?・・そんなに俺が醜いか?・・そんなにおれから舐められるのが嫌か?散々可愛がってやったのに・・あんなに色んな・・服に、餌に・・アクセに・・縫いぐるみに・・お風呂に・・一緒にも寝てやったろう?何もしなかったのに!23日も何もしなかったのに!!何で俺に惚れない!?イケメンと同じ行動だろうがあああああ!!」
エルフ「ひい」 お尻で後ずさる。
国王「何でえええ?醜いか?そんなに醜いかあ?俺がイケメンだったらお前は今頃楽しんでんだろう!!!!国王第一婦人になれるかもって淡い期待にその身を情欲に任せ!!!!楽しんでんだろうがああああああああああああ!!この〈ザク〉偽善者!!〈ドス〉偽善者!〈ザクザク〉偽善者あああああ、〈ザクザクザクザクザクザク〉あ”あ”う”う”あ”あ”あ”ああ”あ”~~~あ”あ”あ”~~~~」
金色のエルフ「あ・・あう・・」 死亡。
ノア「はあ・・はあ・・はあ」 地下牢への階段、逆方向からの扉の鍵を警備兵2名を毒殺し、盗み使用、侵入し、階段を降りていた。
ノア「もう駄目だ・・もう駄目だ・・あの国王はもう駄目だ・・もう駄目だ、もうあれは・・」
重厚な扉が現れた。
鍵付きの扉。
しかし、恐らくこの扉の向こうはただのいつもの部屋。
いつも掃除しているあの牢屋。
探すべきはー・・下。
ノア「ない・・ないよお・・本当に地面が動くのお?・・ん~~・・無い・・無い・・無い」
数が多い警備兵の足音が上から響いてくる。
ノア「お願い・・神様お願い・・お願いだから‥〈ヒュー・・ボボオ〉え?」 蝋燭の炎が揺れた。
ノア「・・」 蝋燭ら辺の空気の流れに掌をかざす。
ノア「これ・・この蝋燭の台が?」 〈ガコン〉 蝋燭の台を引っ張ったら、下が開き始めた。
ノア「やったああ」
警備兵「居たぞおお!」
ノア「やば!?」
素早く入りながら、作っておいたまきびしを撒いた。
このまきびしは特別で、騎士の踵も貫いた。
ノア「余った馬鉄で作っておいてよかったあ」
長い階段、階段に油を撒きながら。
そしてー・・目の前に牢屋。
その中には縦横無尽に張り巡らされた魔術結界が何かの血で書かれていた。
その中に、黒い剣で貫かれた全裸の男がいた。
一本の鉄の柱に鎖でがんじがらめだ。
ソワカ「・・」 眠っているみたいだ。
ノア「うう・・こっからどうしろってのよおお・・・・」
ソワカ「・・ぐがああああ・・ぐおおおおおお」
ノア「ん?ん?ん?んん?んんん~~~~?」
ソワカ「んあ?・・ああ?・・女?・・ああ・・ガキか・・ふぁああ・・んじゃあおやすみなさい」
ノア「いやいやいやいやおやああああああああ!!!!!」
ソワカ「うっせええなあ、聞こえなかった?今俺はおやすみなさいってー」
ノア「何で起きてんの!?何で生きてんの!?何で封印されてんの!?」
ソワカ「人の過去をそんな簡単に聞くモンじゃない」
ノア「あ!?・・そうか・・ごめん」
ソワカ「用済みになってこの様さ、ふふ」
ノア「話すんかい!!そしてありきたり!!」
ソワカ「お~お前なかなか面白なーははは」
ノア「ハ!?そうだ、アンタ!こっから出られる?」
ソワカ「・・何で?」
ノア「今あたし追われてんの!この国の王様はもう駄目!気が狂ってしまった!多分これから美人な女は虐殺される!王様は顔が醜いから・・コンプレックスがもう・・酷くなってって・・それで・・とにかく・・あんたこんな場所に居るって事は強いんでしょ?」
ソワカ「・・断る」
ノア「ハアアア!?」
ソワカ「俺ここ気に入ってんだよねえ・・その王様も後数十年したら死ぬって、平気平気」
ノア「その王様に意味もなく殺される人々は?どうなんの?」
ソワカ「ん~~深い問いかけだ、じゃあ、俺が真理の答えを教えてやろうお嬢さん」
ノア「はあ?」
ソワカ「まあ、聞け、2300年の間、まあ、1000年経った頃に見つけたんだが・・真理は・・この世に意味はない、という事だ・・だから死んだ方が良い、死は救いだ、良かったと思え、死ねて、な?」
ノア「ポカーン」
ソワカ「死んだら楽になれるぞ?良かったな?はははは、羨ましいなあ、死ねて、俺は死ねないからさ」
ノア「・・(駄目だ・・この男・・死人だ・・もう死んでんだ・・ある意味で国王より質が悪い・・どうする・・後ろから声が聞こえて来た・・ああ・・神様・・何故・・私に・・こんな場所に導いたのですかー・・)」
ソワカ「捕まって、少し苦しむだけで死ねるんだ、良かった、良かった」
ノア「(何を・・何を言えばこの男の心に焔を灯せる?何を言えばー・・)」
ソワカ「んじゃあ俺は寝るからなあ・・ぐう」
ノア「・・怖いんだ?」
ソワカ「・・?・・何が?」
ノア「・・そっか、そっかあ・・あんたにそんな根性ないよねえ」
ソワカ「????は?・・ん~~~?・・言ってる意味が解らんが?」
ノア「人と関わるのが怖いんでしょ?」
ソワカ「〈ズクン〉・・」
ノア「裏切られたんだもんね?無理もないかあ・・そんで?自分は凄い可哀そうで?なに?だから皆も可哀そうになればいいって言うんだあ?ガキね?」
ソワカ「・・」
ノア「羨ましいんだあ・・幸せな奴が、だから知らんぷり?俺には関係ないってか?俺が直接手を下してるんじゃないから?因果応報で皆が不幸になれば良い?俺のせいじゃない?だって因果律に俺は一ミリも加わってないからあああ~~~~~」
ソワカ「その通りだろオオオオオがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
ノア「〈ビク〉」
ソワカ「因果律に、俺は加わってねえええんだよおおおお、一ミリもなあああ!!!そうだろうがよおおおおおおおお!!お前らが勝手に戦争し、殺し合って、絶滅すりゃあいいんだよおおおお、それが望みだろおがよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、それがお前らの無意識の集合体の本当の望みだろおがよおお!!はあ、はあ、俺がどれだけ戦争を終わらせる為に必死で戦ったかお前らに解んのかよおおおおおおおおおお!!!それを仕上げる前に俺をこんな場所に封印しやがって!!知るかボケえ!!俺の苦労、俺の仲間の苦労も全部台無しにしやがってさああああ!!お前らクズ共が犯されようが、魔獣の餌になろうが、火あぶりで死のうが、鉄で撲殺されようが俺が知るかよおおおお!!はあ、はあ、はあ」
ノア「・・ごめんなさい」 土下座。
ソワカ「・・ああ?」
ノア「私達が・・私達のご先祖が・・全部台無しにしました・・本当に・・ごべんっざい」
ソワカ「・・っち・・いや・・お前が謝っても意味ねえんだっての」
ノア「それでも・・私は・・弱い人達は・・強い人に縋って・・醜くても良いって・・縋って・・縋って・・縋って・・縋って・・縋って・・縋ってええええ・・うっぐ・・うぐ、うぐ、縋って・・縋るしか・・偉い人の命令を聞くしか・・それしか・・生きる術がないのお”お”う”あ”あ”あ”あ”あ”~~」
ソワカ「〈ブワア〉」 思い出される、ミレーヌ。
馬に一緒に乗った日。
手綱を握るミレーヌ。
後ろにソワカ。
ミレーヌ「ねえ?ソワカ?」
ソワカ「ああん?」
ミレーヌ「貴方は変わっちゃ駄目だからね」
ソワカ「んだあ?突然」
ミレーヌ「一生弱い人を振り払ったら駄目!良い?」
ソワカ「はあ?俺はお前さえ生きてりゃ別に」
ミレーヌ「うん、それはそれで嬉しいんだけど、でも、ほら、弱い人は縋るしかないからさ、命令を聞かなきゃ生きていけないんだよ?」
ソワカ「は!弱いやつが悪い」
ミレーヌ「じゃあ、貴方も悪いわね?」
ソワカ「はあ?何で俺が悪いんだよ?」
ミレーヌ「だって貴方は服も着るし、ご飯も食べるし、お風呂も入るじゃない」
ソワカ「・・それが?」
ミレーヌ「それはね、皆、み~んな、弱い人達が用意してくれてるんだよ」
ソワカ「・・それが?それがそいつらの仕事だろ?」
ミレーヌ「生きる為に仕方なく や っ て く れ て る の よ 」
ソワカ「・・」
ミレーヌ「彼らが死んでも良いって開き直ったら?貴方皆が死んだ後、一人ぼっちよ?ふふ、可哀そう~」
ソワカ「・・それは・・・・・」
ミレーヌ「・・生きてくれて・・ありがとう・・でしょ?その方が寂しくないでしょ?あははは」
振り向いたミレーヌは、眩しかった。
大声で泣き止まないノア。
下を向いたままのソワカ「・・るせええ」
ノア「びゃあああああ、びゃああああ」
ソワカ「うるせえええええええええええええええええええ!!!!《ビリリリリリリリリリイイイイ》
城が揺れた。
国王「何だああ?地震かあ?は!?まさか!?」
ノア「〈ビクウ!?〉」
騎士団『おい、居たぞ!!貴様ああ、こんな真似してタダで《ゾ》-----・・』
鎖、呪剣、魔術によって封じれれている男から只ならぬ殺気。
騎士団1「何だ貴様は!?どうしてこんな所に幽閉されておる?ん?・・な・・何で・・何で生きてんだ?これ・・」
他の騎士『ざわざわ・・噂は誠であったのか・・しかし・・まさかあの伝説の・・まさか・・そうだ・・あれは遥か昔の言い伝えで・・伝説とは誇張されるモノだ、ざわざわざわ』
ノア「・・ひっぐ・・ひっぐ」
ソワカ「・・お前・・名前」
ノア「ほえ?」
ソワカ「名前!!」
ノア「ひゃい!?の、ノアです!?」
ソワカ「・・ノア・・ノアね・・ふはははははははは、ふははははははははは、ぶっさいく~」
ノア「なあ!?それを言うならソワカって何よ!ぶっさいくな上に何か気持ち悪いじゃん!」
ソワカ「な!?てんめええ、後で覚えてろよおお」
ノア「んべえええ」
ソワカ「絶対お尻ペンペンだかんなああ」
ノア「変態!!馬鹿!!」
ソワカ「な!?はああ!?誰がお前みたいなあ~・・ああ・・面影があるわ・・つうか・・本当にバケモンだなあ王様?だっけ?」
騎士団『な!?陛下!?何故このような』
王様「・・いいなああ・・その顔・・」 牢屋に縋る。
ソワカはイケメンだった。
ソワカ「あん?」
王様「騎士よ・・あの者の顔を剥げ」
騎士1「え?いや・・しかし」
王様「はよせんかああああああ」
騎士団長「は、はは!、おい!」
部下の騎士らが牢屋の鍵を手渡され、中に入る。
ソワカ「おいおい・・忠告するぜ?それ以上近づくとー」
騎士2「黙れ!!殺されたいのか?」
ソワカ「へいへい」
魔法陣の中に足を触れた瞬間、大電流が流れた。
騎士2「ぐべべべべべべべべ・・〈ドガチャアア〉」 即死。
皆『なああ!?ざわざわざわざわ』
ノア「・・そんな・・だってあいつは・・何で生きてられんの?」
ソワカ「俺の体は特別だからなあ、お前らじゃあこの魔法陣の中にさえ入れねえよ」
皆『・・っく・・』
ソワカ「おいノア」
ノア「は、はい」
ソワカ「お前・・夢は?何か一つだけ、何でも叶えてやんぜ」
ノア「・・」
王様「その娘を殺せえええええ!!」
騎士団長「いや、しかし・・裁判がまだ・・それにその男は何も出来ますまい」
王様「はよう・・せんかあああああ!!」 騎士から剣を取り上げ、ノアにー・・。
ノア「ええっと、ええっとおおお~~~・・」
ノアまであと5歩。
ノア「あ、圧制を無くしてええええ《ドス》え?《ポタボタボタタタタタタ》」
王様「・・?〈チラ〉はは!フギャハハハハハ!!」 牢屋に居た筈のソワカがノアを高い位置に抱え、ソワカの腹には騎士の聖剣もどきが心臓に刺さっていた。
ノア「あ・・あんた・・」
ソワカ「たった一つと言っただろ?お前、不細工のまんまだぞ?お金持ちだって・・それでも、本当にその願いでいいんだな?
ノア「・・・・・・・うん!」
ソワカ「くく、不細工が」
ノア「あによ~」
王様「はよ、やれ、お前達!奴は重傷だぞ!」
騎士団長「やるなら今ぞ!!続けええ《ゾリ》 頭部がヘルムごと穴が開いた。
皆『団長おおおお、おのれよくもおおお、団長の仇いい』
ソワカ「あ~~《ボ、ゾリュ、グシャア、ボチュ、グチャ》はいはい、おいで~~」 出鱈目な強さ。
ノア「すご」
ソワカ「今褒めた?」
ノア「褒めてない!!凄いって思っただけ」
ソワカ「へいへい」
王様「はあ、はあ、はあ、はあ、あの、はあ、はあ、役立たず共、はあ、はあ」
階段を上り、旧城の跡地、召喚の間。
王「はあ、はあ、〈ピッ・・ポタポタ〉」 ナイフで指を切って垂らす。
《パアアアアアア》古い魔法陣が光る。
王「くくく・・いいぞお・・いいぞお・・我が国の研究成果が此処に・・1000年前に完成し、別次元に封印した複製品!!出でよ!!お前の出番じゃあああああ!!」
ソワカの血と、魔人、魔王、の融合個体。
人型だが、腕が6本、足が4本、頭が2個。
強そうだ。
王「阿修羅、お前はお修羅と名付ける」
阿修羅「おお、阿修羅・・ありがたき」 跪く。
王「今からこの我を殺しに来る者を殺せ、いいな?」
阿修羅「御意・・ん?もう来ましたな」
王「え?どこ?」
阿修羅「上です」
ソワカ「悪いな、ちょっと服借りに行ってたんだ、お?それが新しいお前の玩具か?ぎゃははは、そいつも不細工だなああ・・どうせならもうちょっとマシに《ボオオオオオオン》 特大火炎弾を転移された。
ソワカ「くわ!?いったああ、んだよ、まだ喋ってる最中だったろう・・が!!《カ》」火炎弾
阿修羅「ふん」 転移で躱す。
ソワカ「ああん?ふざけんなお前?卑怯だぞ?」
阿修羅「・・少し遊びたい・・どうだ?下に降りて素手でというのは?」
ソワカ「へへへ、おもしれえ・・いいぜ?」
共に降りた。
王様「何をしてる!?早く殺せ!早く!!多少国民が犠牲になろうが構わん!大火力でやってしまえ!」
阿修羅「・・そう焦らず・・我はまだ生まれたばかり、多少どころか、塵も残さないようならお困りでしょう?」
王「うむぐ!?・・・むむう・・確かに・・まあ良い、好きにせい」
阿修羅「ありがたき」
ソワカ「なかなか扱いが上手いじゃねえか」
阿修羅「ふ、どうも」
《スタスタスタスタ》 共に歩み寄りー・・《ボボ》 消えた。
次の瞬間には両者離れた位置で現れた。
ソワカのオーラが完全に水?っぽい透明だ。
その両手には二つの心臓を握っている。
阿修羅「・・ひゅー・・ひゅー・・お前・・何だ・・その・・魔質は・・『 何 回 死 ん だ ん だ !? 』 」
ソワカ「さあ・・いちいち2300年の間の『拷問』で死んだ数なんか覚えてねえよ」
阿修羅「・・ただ眠っていた私など・・勝てる訳が・・短い・・一生だったなあ・・はは・・《ドシャア》」
王様「ひ!?ひいいい!?《ドス》かは・・・・はあ・・はああ」 背中から刺された。
振り向く。
ノアが刺したのだった。
ノア「私だけ、手を汚さないってずるいモンね」
王様「・・回復・・早く・・私が死んだら・・この国はバラバラになってしまうぞ・・ひゅー、ひゅー・・さすれば、ごほごほゴハ!・・どう・・なる?・・また戦争・・戦争だ・・解ったらはよう・・はよ・・」
ノア「あんたとバラバラだったら、バラバラ選ぶわボケ、余計なお世話」
王様「・・こうか・・い〈ガク〉」
ノア「・・次は・・イケメンに生まれたらいいね、でもあんた悪い事いっぱいしたから・・多分・・次はもっと不細工かもね」
《ヒュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ》
ソワカ「・・お墓・・建ててやっからよ、安心しろや」
阿修羅「・・」 笑った死に顔。
数か月後。
エトールトワは3つに分裂。
が、元々同じ価値観の者同士らが暮らしていたそれぞれの地域がそれぞれ独立をしただけで、実質的には今まで通りの生活が待っていた。
世界法廷裁判所執務室。
ソワカは一人、世界の法律を勉強していた。
ソワカ「だあああああああああ!!なあんで俺がこんな分厚い辞書を丸暗記せにゃならんのだあああ!?」
《ガチャ、ギイー》
世界司書、兼、ソワカのお目付け役、ノア「仕方ないじゃん!世界法廷のたった一人の最高裁判官殿!はい、次これ《バサバサバサ・・ドサ・・ヒラヒラ・・パサ》
ソワカ「もう嫌だ・・俺は適当に散歩して、食って、寝るんだああ」
ノア「私の願いは圧制を無くして、この国、とか、あの国の、とか?この時代の?とか?言ってないもんねえ~ふふふふふ」
ソワカ「んぐぐぐ~~・・卑怯!卑怯だぞお!?」
ノア「んなら約束破ってどっか行けばいいのに」
ソワカ「あれは魂との契約で、俺の力が解放される代わりに、制約を課すんだよ!破ったら・・」
ノア「破ったら?どうなんの?」
ソワカ「うう~~~~」
ノア「ねえ?ねえ?」
ソワカ「うう~~うるせえええ!!一回寝る!!一時間経ったら起こせ!いいな!」
ノア「はいはあい」 《キイ、バタン》
ソワカ「・・はあ・・ったく」 辞書を顔に乗せて寝た。
《キャハハハ、キャハハハ》ミレーヌと城下の子供達との水遊びの警護中。
はしゃぐミレーヌを見ながら、ソワカは切ない気持ちに心臓が破裂しそうだった。
ミレーヌには婚約者がいる。
それは王政のこの時代において、絶対の定め。
解っていても・・この衝動はー・・。
ミレーヌ「どうしたの?具合い悪い?大丈夫?」 濡れた服。
ソワカ「バ!?お前なあ、透けてんぞ」 目を逸らす。
ミレーヌ「あ~~、見たなあ~~ソワカのエッチ~」
子供達『度スケベ~、エロガキ~、最低~』
ソワカ「お前ら~」
ミレーヌ「きゃああ、怒った~、逃げろ~」
子供達『キャッキャッ』
ソワカ「ったく・・」
ソワカ「(そうだ・・この力を制約制にしよう、そして、その制約を破られるまで俺は・・恋愛感情を忘れるようにしよう・・もし、制約を破って、俺が不老不死じゃなくなってでも、守りたいなら、この感情はきっとー・・)」
ミレーヌ「ソワカもおいでよお!」
ソワカ「行かねえよ (本物だから)」
〈キイ・・パタ・・〉
辞書が落ちている。
そろーり、ソローーーリ、ソローーーリ。
ソワカ「んがあああ、ス~~~んごおおおおお、ス~~~~~んがああああ、ス~~~~~んごおおおおお」
クスクス。
・・。
〈チュ〉
《END》