第十一話 国王陛下、万歳!
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よく考えろ、よく考えるんだ、俺。ユキたんとしたいのは山々である。しかしこの状況に流されてしまっては、当然今夜のサッちゃんとの秘め事は延期せざるを得なくなるだろう。
俺は別に次々と妻たちを堪能したいというわけではない。ただ、今夜を楽しみにしているサッちゃん、そしてその翌日を楽しみにしているスズネさんに悲しい思いをさせたくないだけである。
ユキたんは正妻である上に、何と言っても俺にとって初めての相手なのだ。出来れば彼女を優先したい気持ちはある。しかし順番を待っていてくれている妻がいる以上、まずはその彼女たちと思いを交わす必要があるのではないかと思う。
「ユキたんごめん、やっぱり我慢する」
「そう? 私とはもう飽きた?」
「ち、違う! 絶対に違う! 断じてそんなことは……」
「ごめんなさい、冗談だから」
クスクス笑うユキたんはやっぱり可愛い。俺は彼女が笑っている顔が大好きだ。
「一度は順番に。私はそう思ってるから大丈夫だよ。でも、皆とちゃんと終わったら、その後は私のところに戻ってきてね」
「ユキたん……」
「あのね、次に私のところに来た時は、ヒコたんをすっごく驚かせてあげるから楽しみにしてて」
「え、何それ?」
「うふふ、今は内緒」
何だろう、めちゃくちゃ気になるぞ。俺が驚くことって、やっぱりそっち関係のことだよね。まさかユキたん、俺の早漏をさらに助長させる何かを考えているのだろうか。普通にするだけでも気持ちよすぎてどうしようもないくらいなのに、その上さらに何かされたら早撃ちが加速するとしか思えないよ。
「それより今夜は宴でしょ? あんまり飲み過ぎないように気をつけてね」
「あ、うん。気をつけるよ」
俺は酒が入ると何をやらかすか分かったものじゃないからね。一番初めのユキたんの家、タノクラ城での失態は未だ記憶に新しいところである。
「私とアカネさんが隣にいるから大丈夫だと思うけど、皆の前では国王陛下には逆らえませんから」
ペロッと舌を出してウインクするユキたん、可愛すぎて今すぐ押し倒してしまいたい。
「あはは。でも多分色んな人が俺に酌しにくるんだろうな……」
「それはないと思うよ」
「え、どうして?」
「だってヒコたんは国王陛下じゃない。毒でも盛られたら大変だからツチミカドさんが絶対に許さないんじゃないかな」
なるほど、そういうことか。どうせなら俺のグラスに注がれる酒の入った瓶の中身を、全て果汁に変えてもらっておくのもいいかも知れない。そうすれば夜も素面のままサッちゃんを抱くことが出来る。後でツッチーに頼んでおこう。
そうして夕方には予定通り芸羅快翔部隊が城に到着し、宴は滞りなく進められた。部隊員たちは王国一と謳われる料理人クリヤマ・シロウの料理に舌鼓を打ち、誰もが満足してくれているようだった。
「其方らは明日からオダ帝国との国境、すなわち最前線に立つことになる。危険な任務だが余は其方らの誰ひとりとして欠くことを望まぬ。よって其方らは決して死んではならん。よいか、これは余の命令であるぞ!」
俺の言葉に部隊員たちの士気が上がったのが手に取るように感じられた。今ここで呑んで笑い、そして涙を流している人たちがずっと無事でいてくれることを望んでいるのは本当のことだ。だがそのためには何としてでも戦争を回避する必要がある。この人たちが俺の下した命令を遂行するためには、俺自身が政治でうまく立ち回らなければならない。アヤカ姫が出してくれた施策が思い通りに機能してくれることを、今は願うばかりである。
「国王陛下、万歳!」
こうして宴は大盛況のうちに幕を閉じたのであった。
※この後のシーンは運営からのR15指定ガイドライン違反との指摘を受けたので削除しました。




