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「ラ・メルド・ラタンの幻想(サーカス幻想曲)」 第3番 墓碑銘 〜サン・ジノサン墓地の行進曲〜

作者: 黒実 音子

【朽ちた骨】

見ろ、

我らの、この朽ち果てた哀れな姿を・・

蛆共に喰われて、晒された骨を・・


どんな富も、金の勲章も、

ひととき、ひと間の儚い命・・

白い骨になった今

土虫の餌よ


見ろ、

我らの、この晒された罪と、生きた証を・・

鴉共に啄まれて、朽ちていく様を・・


どんなに肥えた骸の油も

御大層なカルトゥジアのストラも

一人の孤独やシデ虫から

守ってはくれぬ


【死者達】

見ろ、

我らの、この哀れな虚しい髑髏の目の穴を・・

何も見る事のない冷たい闇を・・


【朽ちた骨】

サーカスがやってくる!!

疫病、欲望、色恋・・・

滑稽なパレードだ!!


貧者から毟り取れ!!

欲のままに肥え太れ!!

それこそ我ら人間だと!!


【女の死者】

さぁ、祈れ!!

繰り返される悲劇!!

魂を削る

日々の職務から


ザリガニ共も、

威張り屋共も、

区別もつかぬ



【墓守】

断頭台へ行かれるのですか?


【悪党】

そうです。

罪をきせられたのです。


殺されようと、

老いで死のうと、

死ぬまでの生涯だ!!


【墓守】

それだけが全てだ!!


【悪党】

赤も黒も首を切られれば

ただの白い骨だ!!


そこには何も無いのだ!!


犯した罪も、許せぬ者も、

今となっては幻か

そこには何も無いのだ・・



【天使達】

それでも罪はいつか許され

土に帰るだろう


【悪党】

醜い、悪しき腐敗も

主は許すだろう


想った娘の事も

涙、流したあの時の少年も・・

今はもう知らない

ただ、疲れて・・


骸すら無くなり

主の国へ



【全員】

俺をふった娘も、

俺も、

友も、神父も、憎き仇も、

誰もがいつか出会うだろう

許す自分と。


ずっと望んでいた

永遠の国で・・



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