果ての出逢い
-何なんだろう、これは。
眼に映る全てが鮮やかに見えた。
例える言葉が思いつかない、
人語では表せないものだ。
自分の中の感情の正体さえ
全く掴む事が出来ない。
そんなものが絶え間なく込み上げる。
動悸が激しくなるのが分かる。
歯が痺れ、四肢の感覚が薄れる。
しかし瞼だけは閉じない。
いいや、閉じれないのだ。
ヒトの踏み入れてはならない領域、
それが今、私の目の前にある。
手を伸ばせば届くだろう、
ほんの僅か、伸ばすだけで良い。
そうすれば私は…、私は…。
私は、一体何になるのだろう。
この先に待つ己とは何なんだ。
分からない、分からない、分からない。
その途端、恐怖が自身を蝕む。
心の内が恐怖に支配され、
視界の鮮やかさが失われてゆく。
「さようなら」
私は《其れ》がそう見えた気がした。
淡く、儚く、そして夢の様に、
《其れ》は私に別れを告げた。