13話 再開?
「で、バン。この子達がそうなのか?」
親父が急に真顔で俺の方をみる。まぁ、言いたい事はわかるんだが、
「そうだよ」
「そうか……バン悪いがユイちゃんとアヤちゃんに話があるから外してもらえるか」
親父はアヤとユイをみたまま言った。なにも言わずに俺とマサキは立ち去る。
「悪いな、バン。それにマサキも」
「気にすんなよ、親父」
「そうです。おじさんには僕もお世話になってますしね」
俺とマサキはそういって立ち去る。その場にはアヤとユイと親父が残っていた。
アヤ達から離れて歩いていた俺とマサキは黙って村を歩き回っていた。
ふと、何かに気付いたマサキが難しい顔をして何かを考え始めた。
「どうした?難しい顔して?」
「ん、たいした事じゃないんだけどね……」
「なんだよ、らしくねぇな」
「……多分、東の方で戦いが始まった。距離はかなり遠いけど三日もしたら僕たちの所にも広がるかもね。」
そうか、と言って俺は空を見上げる。
あれから俺とマサキはまた黙って歩き始めた。しばらくするとアヤ達三人が戻ってきた。
「何を話してたんですかバンさん?」
「なんでもねぇよ。気にすんな」
アヤは膨れていたが無視。そして、たわいない話をしながら村を歩いた。
しばらくすると大きな木の家が見えて来た。
「さて、ここが俺の家だ。正確には『皆』の家なんだがな」
「……大きいですね………」
「そりゃそうだよ。この家にはバンや僕の家族だけじゃなくて、他にもいっぱいいるからね」
「他にもいろんなひとがいるの?」
「そうだよ。ユイちゃん、その人達のことは後で紹介するよ」
「ところでバンさん」
今まで黙っていた俺に話しかけるアヤの顔は真剣な顔で何かに緊張しているようだった。
「……あの、私の…いえ、私達のお父さんとお母さんは?」
「何処って……」
「「ここだよ」」
「ひゃあ!!…ってお父さん!?お母さん!?」
「久しぶりだなぁ、アヤ、ユイ」
「久しぶりねぇ、アヤ、ユイ」
おぉ、驚いてる驚いてる。まぁ当たり前か。
家族……か……
「何暗い顔してんだよ、バン」
「なんでもねぇよ」
「……誰が何と言おうとお前はお前だ。俺のバカ息子だよ」
「そうだよ。バンは僕の大事な相棒で方向音痴なバカやろうだよ♪」
「……慰めるのか、けなすのかどっちかにしろよ」
「バカ息子」
「方向音痴のバカやろう♪」
「……『ガアアアァァァァァァ』」
無言で刃を回し始めた俺。それを見て顔を青ざめるマサキと親父。
『ドッドッドッドッドッドッドッドッ』
「……バ、バン落ち着け、悪かった調子に乗りすぎた」
「ご、ごめんよ。冗談だからとりあえず剣を持ちながらこっち睨むのはやめよう?本気で怖いからさ」
『ドッドッドッドッ』
すこしずつ後ろに下がる二人。すこしずつ距離を詰める一人。
「あの、バン?相棒に剣を向けるのはどうかなぁ、とか、ちょっとずつ近づいて来るのはなんだろな?とか突っ込みたいところ満載だけど、とりあえず落ち着こう?ね?」
「そ、そうだぞバン。父親に剣を向けるのは息子としてどう
親父が話してる最中に言葉を入れる。
「死ね」
「「ギャアアアァァァァァァァァァァ」」
二人の悲鳴が村中に響き渡った夕方だった。