12話 親父
あれから30分後。マサキが先頭を歩きようやく見慣れた景色になってきた。
「やっと見慣れた景色になってきたな」
「アハハ、そうだね♪」
「マサキさん、もう村が近いんですか?」
「うん、そうだよ♪後はバンが先頭を歩いても村に着くぐらい近いよ」
何気にその例えひどくないか?
「そうですか。ならもう近くですよね。よかったわねユイ」
「うん!!もうバンのせいであるきつかれたもん」
……何気にユイの発言が一番きついんだが……
「なぁ、俺ってそんなに方向音痴か?」
「「うん」」
「はい」
「……そんな即答しなくてもよ……」
何気に傷付いている俺を横目に、アヤ達四人は何事もないかのように歩いて行く。
四人?
確か村に帰るメンバーは俺、マサキ、アヤ、ユイの四人だったよな?んで俺がマサキ達の後ろにいるんだから見えるメンバーはマサキ、アヤ、ユイの三人だよな?
……見間違いか?……
そう思って眼を擦ってもう一度みてみる。
四人だ。
一人は細身の長身の俺の相方のマサキ。
一人は腰までかかる黒髪ストレートのアヤ。
一人はアヤの横をてくてく歩くユイ。
一人はかなりがたいがよくて笑いを堪えているヒゲづらオールバックの親父。
??
「親父いいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!?」
「なんだバン。今頃気付いたのか?」
「今頃っていつからいたんだよ!!?」
「マサキが先頭を歩いてる所を見かけてな。何となく着いて来たんだ」
そういって親父はガハハっと豪快に笑った。相変わらず豪快な親父だな。
「所でバン?」
「なんだよ?」
「お前の後ろにいる女の子達は誰だ?」
俺の後ろに隠れてチラチラと親父を見ている二人を見て言った。
「このちっこいのがユイ。」
「ユイちゃんか。よろしくね。」
親父が手を差し出すがユイは親父の手と、俺の顔を交互に見ている。
「ふむ」
親父が差し出した手を引いて握りこぶしを作ってユイの顔の前へと持ってきた。
「ユイちゃん。何か好きな物はあるかい?」
「……お花…」
「お花か。じゃあこれはおじさんからのプレゼントだ。」
ユイの前にあった握りこぶしを『パッ』と開くと親父の手の中には、綺麗な花があった。
「はい、どうぞユイちゃん。」
ユイは驚いて固まっていたが、花が咲いたように明るく笑って親父から花を貰った。
「ありがと!!おじさん!!」
「ガハハ!!どういたしまして!!それでバン。その女の子は?」
「あぁ、こいつは
「婚約者のアヤです」
「そう婚約者のって違うわあああぁぁぁ!!」
「ほぅ、バンも隅におけんなぁ」
「話を聞け、くそ親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
前もこんなことなかったかと思ったバンであった。
「隅におけませんね、バンさん♪」
「お前が言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」