ネタバレ
突然現れた白いハトにぽかんとする。
この子、クラウスさんがお世話しているハトだよね?
さっき聞こえた声って、まさか⋯⋯。
ハトはクラウスんさんの肩に止まり、のんびりと毛づくろいしている。
「なっ、なんで、あなたがここに⋯⋯!」
当のクラウスさんは、ものすごく驚いた顔でハトを見ていた。
薄々気になっていたのだけど、クラウスさんはハトに敬語を使っているのよね。
「暇だからさ、来ちゃった☆」
ハトが喋った。
片方の羽を上げて敬礼するようなポーズを取り、ぱちっとウィンクする。
「『来ちゃった☆』じゃないですよ! 家でちゃんと留守番していてくださいって言いましたよね。窓は全部閉めてきたのに、どうやって出てきたんです!」
クラウスさんが焦った様子でハトに話している。
周囲に人がいないのが幸いだ。
傍から見ると、ハト相手に敬語で話しかけている中年男性にしか見えない。
「一箇所だけガラスが薄い窓があったんだよ。だからさ、全身にシーツを被って体当りしてぶち破ってきた」
「なに人の家の窓を壊してんですか!」
「そんなことは今、どうでもいいだろう」
「いや、どうでもよくは⋯⋯」
反論するクラウスさんを無視し、ハトが私の方を見る。
「そこのおまえ。目の前でハトが喋り出したのに、よく平然としているな」
いや、驚きはしたけれど。
クラウスさんのハトへの態度からして、どう見ても何かありそうな雰囲気だったし。
そもそも、ここは異世界だし。
「魔法使いのハトが喋っても、おかしくはないかなーって」
「おまえ順応性高いな。話が早くて助かるわ」
ハトはクラウスさんの肩から降りると、私のそばにとことこと歩いてきた。
「おまえにもそろそろ、こっちの事情を話しておくべきだろう」
クラウスさんが慌てて口を挟む。
「殿下、これ以上、彼女を巻き込むわけには⋯⋯」
「おまえ今〝殿下〟ってネタバレしちゃったよ!」
「あ⋯⋯」
怒ったハトに突っ込まれ、クラウスさんは「しまった」という顔で固まった。
そんなクラウスさんに、ハトはビシッと片方の羽を突きつけて言う。
「話とっとと進めたいから俺が説明するわ。おまえはネタバレした罰として、一旦離れた場所で待機な! さっきも『ごめんね、君にまで嫌な思いをさせて』の件から、ずっと木の上で終わるの待ってたんだぞ。なげーよ。なかなか終わんねーから、一度家に帰って水分補給してからまた来ようかなって思ったじゃねーか」
「「やめてください!」」
私とクラウスさんは赤面して同時に叫ぶ。
さっきのやり取りを見られていたと分かり、私まで心にダメージを負うことになったのだった。




