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はたらくゲームの強制力

我々は急いで、クラウス氏の家でお留守番中のハト氏のもとへゲートを繋ぎました。

そして、ハト氏へ事情を話して協力を仰ぐことにしたのです。


※ちなみに、我らはこの世界で喋っちゃいけないルールがあるため、プラカードで会話しています。


『ハト氏、この世界をギャグでカオスなコメディに導いてください。そうしないと世界が滅びます』

「そんなふざけた世界の危機があるかー! なんで家で留守番してたら、いきなり世界の命運背負わされてんの俺! やりたくねぇぇ!」


ハト氏にこちらの事情を伝えたら、すぐに理解を示してもらえました。

(「やるとは言ってねー!」とハトがツッコんでいる。)


『ご理解頂き感謝します。急ぎ、あなたを抱えて窓から外へ出ます』

「え? そこにある黒い渦みたいなゲートで移動出来ねーの?」

『我らにしかあのゲートは通れません。なので窓から飛んで行きます』

「待てやー! せめて窓を開けてから飛んで行け!」


急がないと、ヘレン氏がラブコメの領域を展開して世界観が——じゃなくて世界が崩壊してしまう。

(「どういう意味よ!」とヘレンが叫んでいる。)


時間がなかったので、ハト氏にシーツを被せて抱え、窓をぶち破って飛び出しました。

そのまま光の速さで、ハト氏をお二人のもとへ送り届けたのです。

こうして、ハト氏がなんやかんや上手いこと、世界を正しく導いてくれました。


割ったガラスは後で弁償します。ごめんなさい。

(「なにしてるんでかー!」とクラウスがツッコんでいる。)


ハト氏に頼んだ手前、我らも協力を惜しみませんでした。

なぜなら、世界の命運と我らの給与査定がかかっているのですから。

⋯⋯と言っても、既にハト氏は持ち前のノリと思い付きで動かれていましたが。


白菜の馬車に乗るシンデレラの童話、足認証システム搭載のガラスの靴、シンデレラローラー作戦でヘレンの大群をエリックにぶつける⋯⋯どれもふざけていて面白い作戦でした。

ハト氏こそ、この世界の救世主。

我らの目に狂いはありませんでした。


我らがやったのは、ほんの少しのサポートのみ。

クラウス氏が自費出版した童話を、我らはマッハ5の飛行速度で飛び回り、国中の書店へ届けました。

他にもビラを撒いたり、POPを作って設置したり、宣伝にも力を入れた結果⋯⋯。

本の重版が決まり、次はスピード重版へ。


我らはこの世界の人々に見えないので、そっと作業員に紛れて本の印刷から納品まで手伝いました。

でもそれだけではとても追いつかない。

だって、たった一晩で五千冊を納品しないといけないから。

自分たちの職場にある印刷機もフル稼働させて、光の速さで印刷から製本、納品まで終わらせ⋯⋯我らは燃え尽きそうになっていました。


紙やインク代は、エリック氏の個人資産から引いときますね。

(「おまえらの仕業かあああ!」とエリックが叫んでいる。)


そして迎えた舞踏会三日目。

ここで残念だったのは、『白菜の馬車』が話題になったことで、事前に準備していたかぼちゃ祭りのアイテムが使えなくなったことです。

かぼちゃの着ぐるみやアクセサリー、モデルハウスも頑張って作って用意していました。


でも時代は白菜。かぼちゃの時代は既になく。

準備していたかぼちゃ祭りグッズはお蔵入りになりました。

(「それってまさか私のせい⋯⋯?」とヘレンが真っ青になっている。)


スピード重版と並行して、白菜グッズの製造と設営も行わねばならず。

さすがに人手が足りなくて、他の異世界にいるゲームの強制力に応援を頼み、なんとか間に合わせました。

最後の大仕事は⋯⋯。

四日目の『ヘレンを探せ!』イベントで、国中の女性をヘレンのコスプレイヤーにすることのみ。


我らは今にも折れそうな心を、プルス・ウルトラの精神で奮い立たせました。


そして、いよいよ本番。

第二十六幕『みんな違ってみんなヘレン』にて。


『ヘレン氏は例の台詞を言った?』

『なんかエリックの悪ガキを思い浮かべているみたいなんですが』

『なんで!? 一目惚れした王子様じゃないとシステムが作動しないんだけど』

『すぐハト氏に連絡を取って! クラウス氏を思い浮かべるように言って』

(「やっぱり知ってたんじゃない!」とヘレンに睨まれ、「ちげーよ! この時に初めて知ったんだよ!」とハトが慌てて反論している。)


ヘレン氏が違う王子様を思い浮かべたため、システムが作動しないトラブルはありましたが。

無事に【広範囲型・目眩まし用照明システム】が作動。

光で皆が目を瞑っている間に、我らは総力を上げて国中の女性をヘレン氏にコスプレさせました。

(「あの光はそういうことかい!」とヘレンがツッコんでいる。)


予算と時間の都合により、中にはやっつけ仕事なコスプレもあったけど許してください。


こうして全ての仕事を終え、あとはハト氏——もとい、クロード氏が主人公に復帰するのを待つだけでした。

このギャグでカオスなコメディ世界は、クロード氏でなければ引っ張っていけませんから。


あとはクロード氏が意中の方と結婚式を迎えればフィナーレです。

エンディングを迎えた世界に我々は干渉しませんので、ラストスパート頑張ってください。

どうかそれまで、ヘレン氏とクラウス氏はラブコメを自重してください。

我々が対処出来なくなると世界が崩壊するので。


追伸:

エリックの悪ガキは我々の仕事を増やした挙げ句に、『サボり魔』という一番言っちゃいけない禁句を言いやがりました。

我々の働きを侮辱する者は誰であれ許しません。

緊急会議により、罰としてあなたの転生ボーナス『女性が憧れる理想の王子様』を即没収することが決定しました。

(「はあああ!」とエリックが青い顔で絶叫している。)


※エリック氏、あなたの身勝手な行動から発生した全ての追加費用を全額請求します。

あとお蔵入りしたかぼちゃグッズの損害賠償と、ついでにクラウス氏の家の窓ガラス代も。

二度と我らを『サボり魔』とか言うな。

裏でめっちゃ働いてたわコンチクショー。


人間の体内ではたらく細胞たちと同じように、我らも必死に働いているのだ。


『はたらくゲームの強制力』より



「やかましいわ! ほぼ俺への私怨による取り立てじゃねーか! あと、しれっと別世界で働くキャラの人気に便乗しようとすんな!」


そんなエリック王子のツッコミを最後に。


玉座の間は静寂に包まれていた。

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