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第四話 お仕事完了。後は自由だー!

本日、三話と四話を更新しております。

 黒竜のルフェルと仲良くなって、ちょっとした後始末と素材採集を終えたらすぐさま帰還する。


 要も無えのにこんな森の奥地に居座る趣味は無え。


 超人程度の身体能力でたったかたーと森を抜けていく。


 途中で魔物と交戦している奴らをそこかしこで見かけたので、苦戦している奴らにはその辺で拾った石を投げて援護しておいた。


 何体かは石がそのまま魔物の体を貫通して殺しちまってたが、分け前はいらねえと叫んでおいたので大丈夫だろう。


 駆除しながら向かった行きより、帰りの方が時間と手間がかかった気がしないでも無いが、ルフェルと言う友が出来て機嫌が良いので細かい事は気にしないでおく。


 俺が拠点にしている街、ヴェールに辿り着いたのはこの街を出てから二時間ぐらい経った頃だった。


「原因を調べて、原因を取り除いて、駆除に苦戦してる奴らを手助けして、俺働き過ぎじゃね?」


 依頼料を出来るだけ高くせしめよう。そうしよう。


 そんな事を考えながら、ヴェールの街を囲う外壁にある門へと向かう。


 どうやら、俺が向かった後からフィアの森方面の通行を完全に禁止にしたようで、屈強な門番が俺に向けて槍を向けてきやがる。


「森の調査を依頼されたB級冒険者のレイジだ。槍を下せ。しばくぞ」


「それは失礼した。かの『超人』にしばかれては命までとんでしまう、勘弁して頂きたい」


「……職務に忠実な良い門衛だこって。あと超人言うな。そっちの横の扉から通るぞ?」


「ご自由にどうぞ!」


 こいつら俺だと分かってて、それでも槍向けて来やがって。覚悟決まりすぎだろ。どんな教育してやがる。


 今度あの二人を見かけたらなんか差し入れしてやろう。


「もう大丈夫だと思うが、引き続き頑張れよ〜」


「「ッ!! ハイッ!」」


 息ぴったりに敬礼してみせてくれたが、大した事はしてねえんだよな。


 適当に手を振り返して門の側面に取り付けられている扉を抜ける。


 街に入ると、不安そうにしている奴らが多く見えるが俺がどうこう言う事は無い。

 こう言うのはギルドやら領主やらの顔を立てさせねば面倒なのだ。


 そそくさとギルドまで戻って、ギルドに入る前には出来る限り気配を消して忍び込む。


 あっ。街を出る前に止めてやった四人組のパーティだ。


 何やら真剣な顔で話し合いをしている様だ。

 パーティ解散ならさっさとやって、さっさと新しいパーティ作った方が建設的だぜ〜って言いたいが頑張ってスルーする。


 あぁ〜爽やか百パーセントジュース飲みてぇ〜


 でも超頑張ってスルーする。


 そろりそろりと二回に上がって、そろりそろりと今朝入ったドアを開けて室内に入る。

 そろりそろりとギルドマスターの隣に立ってから……


「ばあ!」


「うわあ。びっくりしたなあ」


 絶対びっくりしてねえ。さすがギルマスだ。気付いていながら気付いて無い振りしていやがった。


 ギルドマスターの反応に次いでようやく部屋にいた半数くらいが武器をこちらに向けてくる。

 相も変わらず半数はジトっとした目で俺を見てくる。


 唯一笑ってるのは『氷閃』ことカウティスくらいだ。


「レイジさんが帰って来ましたよ〜。原因分かって、原因無くなったよ〜」


「えっほんと!?」


 調査の成果を告げると、今度はちゃんと驚いてくれたようだ。


 半数は嘘くさそうに見てくるが、またもや半数はジト目で見てきやがる。


 カウティスだけはやっぱり笑っていた。変態か?



◇ ◇ ◇ ◇



「今回の異変のあらましはこんな感じだな」


 ルフェルと名付けたり仲良くなった事は省いて、黒竜と多少のコミュニケーションを取って大人しくお帰り頂いた旨だけ伝えておいた。


 適当に間引いたり、手助けした事もしっかりと言っておいたので報酬も増額されるだろう。


「特別標高が高いわけでも、強い魔物がいる訳でも無いのに、近付くと本能で距離を取ってしまうと言われるあの山には黒竜が巣食っていたのか……ありがとうレイジくん。この情報はとても重要だ。」


「討伐とかするんすか?」


「レイジ君、君はどう感じたんだい?」


「俺と同類っすね」


「じゃあ大丈夫だよ。ここに居るみんなにギルドマスターとして命令するね? 黒竜の情報は漏らさないでくれ。無謀にも挑もうなんて考えないように。馬鹿の行動一つで竜に国が滅ぼされるなんて少し前は良くあったんだ。頼むよ?」


 普段は飄々としているが、やっぱりこの人もギルドマスター。

 現役時代は最もSランクに近いと言わしめたハーフエルフ。

 年齢は二百を超えるらしいが、顔はとっても若々しい。


 俺の顔もそんなに老けて無いはずなのだが、何故か顔年齢よりも十は高く見られる事が多い。少し悲しい。


 ギルマスの命令に返事を返したのはカウティスとジト目担当の半数。

 残りの半数はギルマスの覇気にビビってるみたいだ。


「んー。返事ぐらいは返して欲しいなぁ。あはは」


 残り半数が少しづつ口を開いて返事を返していく。


「良し! それじゃあ、レイジ君を除くみんなには魔物討伐をお願いしようかな! 原因が取り除かれたとは言え、その影響が無くなった訳じゃない。少しでも早く森を鎮静化させよう!」


 実力に合った配置を決めるため、魔物の大まかな分布図を広げ、黒竜が居た位置からどの方向に散ったかを予測していくらしい。


 お役御免の俺はギルマスから依頼票を受け取る。

 これ受付に出してくれたらお金もらえるよっ、との事なので、今日の営業は早くも終了だ。


 下の階に降りて空いている受付に行き、依頼表を預ける。

 用意の良い事で、依頼表を見る事無く金の入った袋を持ち上げる受付嬢。


 なんとなく苦戦しているようなので、軽く支えて机の上に袋を置いてやる。


「あっありがとう、ございますっ」


 やたらペコペコするので頭をポンポンと叩いてみる。


 あっ固まった。


「重いもん持つなら普通に手伝ってもらえ。無理して身体痛めたら困るの自分だぞ? 適度に力抜けよな〜」


「ふぁいっ」


 受付嬢の返事に頷きを返してから袋の中身を見る。

 大銀貨が五十枚と銀貨が五百枚入っていた。合わせて金貨十枚分ってな感じか。


 流石ギルマスだ。俺の金の使い方を分かっているが故のこの大量の銀貨払い。助かるぜ。


「がんばった受付嬢ちゃんに一枚やるよ。良いもん食いなねー」


 大銀貨を受付嬢ちゃんの胸ポケットにスッと入れてあげる。

 その時に指がポケットの布とお胸に挟まれる感覚はサービス料って事で。


 大量のお金は俺の腰にあるマジックポーチにするするっと収納。


 報酬を受け取ったら、間引いた奴や、ルフェルの下敷きになった哀れな死骸を解体場に卸していく。


 その際に百キロぐらいの肉の美味い部位と、レザー系の防具に出来そうな素材と、研げば武器になりそうな場所は貰いたい旨を伝えておく。

 解体料とは別に職人どもに銀貨を一枚ずつプレゼントしておけば約束は守られるだろう。



 解体場を出たら、お待ちかねの柑橘ジュースだ!


 受付を超える時に、さっきの受付嬢から視線を感じたがスルー。セクハラは金持ちと強者の特権だから!!


 酒場まで一直線に向かえば、すでにジュースが出来ているではないか!

 酒場のお姉さんは俺の顔どころか、俺の好きなジュースまで覚えてくれていた様だ。


「はい。来ると思ってたよ!」


「流石だな、これがなきゃ俺の一日は終わらねえんだ!」


「まだ昼にもなってないんだけどね……」


「んぐっんぐっんぐっくっはああああ!! たまんねえ! おかわり!」


「もうっ……はいはい」


 こんな嫁さんほしー! 毎日ジュース絞ってもらいてぇな。割と高い頻度で絞ってもらってたわ。


 もう一杯頂いて、お礼に銀貨を胸ポケットに入れておく。さっきと同じくサービス料って事で。


 小さな声で「えっち……」って言ってきたのは最早サービスだよ。

 サービスにサービスが返ってきたら、サービスの無限ループをする事になってしまうので、沼にハマる前にミスリルが如き意思で酒場を後にする。


 今日はもう十分働いたし、あとは適当にダラダラするのもアリだな。


「あ! あのっ!」「お兄さんっ!」


 ギルドを出ようとした所で声をかけられて振り向く。

 声の主は今朝、命を助けてやった若輩四人のうちの槍と回復の女の子二人だった。

 男二人の姿がないのだが、何かあったのか。


 今日は気分が良い上に、女の子に声をかけられたので、お兄さんはほいほいついて行っちゃおうと思う。


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