美幼女に出会いました世界に感謝
梯子を降りていく。
勿論、降りる梯子は一つだけじゃない。
崖の途中が出っ張っていて、両足で頑張れば立てる程度の足場があり、その足場をちょっと進んだ先また梯子がある。
ソレを降りた先にまた梯子がありってのをもう何度も繰り返している。
前の崖下りもこんな感じだった、梯子をいくつも降り、途中でボロボロの階段も降り、そしてまた梯子を降りて行った先に集落があった。
明らか人工物なので今回もきっと人間がいるんだなぁって思ったステラは黙って降りていく。
今日は数時間歩き回り、梯子を降り、登り、そして今また降りているというのに全然疲労とかを感じない。
マもう死んでるしそこら辺の苦労からはもう解放されてるのかもしれないが、それじゃぁもし、ないとは思うがもう一回死んだらどうなるのだろうか。どうでもいいか。
一時間近く降りた先、肉体は全然元気なのに精神に積もった疲労が山を作り始めそろそろ飛び降りようかと思い始めた頃。
ぼろっぼろいつ壊れても可笑しくない階段に辿り着き、そのまま壊れようがどうなろうが特に何も気にせず降りていく。
崖のでっぱりみたいなやつとは違う人が立って前と後ろに一歩進めそうな道をちょっと進んだ先、壁に扉が付いていた。
扉。木製。緑色。
呼び鈴がないので軽くノックしたステラは遠慮なくその扉を開き中に入る。
「はわ」
「ん?」
はわわ
扉の向こうには白ワンピの美幼女が机を挟んだ向こう側に椅子に座ってた。
毛先が桃色の白い髪を白いリボンで高い位置で二つ結びにし、ぱっちり大きな目は薄紅色、白いワンピースを纏ったまるで天使のような美幼女。
その幼女はステラをみてきょとんと首を傾げ、大きな目をぱちくり瞬かせる。
大きな瞳はキラキラ輝き、真っ白い睫毛が目に影を落とす。
ステラはロリコンではないが今そっちに傾きかけた、それだけの衝撃を受けるほどの美ロリ。
現在地が何処かとかそういう思考を放り投げ、危機感とかそういうの、はもともとないが。無警戒にふらふらとゆっくりその幼女に近寄ったステラは腰を落とし片膝ついて椅子に座っている幼女を見上げるように見つめると、冷静さを取り戻して穏やかな表情声色を心掛けて声を掛ける。
「ここ、君のおうち?」
「違うよ」
声まで可愛らしい幼女は可愛らしくそう答え、変わらずステラをジィっと見つめる。
警戒、されてるのだろうか。
薄紅色の瞳に映る自分を目が合う。
「そう、ジャここのおうちの人は?」
「……もういない」
「そう」
ぱちり。
瞬きを一回した幼女はちょっと黙った後そう答える。
この家にはもう人はいないらしい、じゃぁここの十人じゃないらしいこの幼女は何者だろうか。
座敷童かな?
ステラが室内に入ってから、幼女の表情は変わってない、可愛らしい声も大きな目も変わらず、愛らしい幼女は人形の様だ。
変わらず幼女はステラを見つめる。
ステラも同じように幼女を見つめ返す。
ジィ……。
無言で見つめ合う二人の内、先に動いたのはステラだった。
幼女から視線を逸らし、目だけを動かして室内を軽く確認する。
この室内の形は四角く、四隅にそれぞれ扉が一つ付いている、ステラが入ってきた扉は緑だが、その向かいの扉は赤、右は青、左は黄とそれぞれ色分けされている。
幼女に扉の向こうに何があるのか聞いてみた。
「緑は出入口、赤は物置き、青は寝室、黄は台所、物置きの黒い扉の向こうは通路」
「へぇ、結構広い、通路ってどこに繋がってるの?」
「色々」
「色々かぁ」
どうしようか。
首を傾げ悩んだステラは、これからどうしようかホントに迷っていた。
だって何したらいいかすら分からない、取り敢えず先に来ているらしい同僚、先輩? そんな感じの相手と合流すべきなのは分かるが、果たしてあの通路を通って合流できるのか。
とはいえ、適当に歩いてたら合流できそうではある。
そんなステラを、ジィ……と見つめていた幼女は、ジィ……と見つめたままちょっと微笑む。
エ何今の表情天使かな? 天使か、なるほど死んでるもんな、ジャ天使と会っても可笑しかないか。
「案内、しようか?」
「ぜひ」
天使のように微笑んだ幼女の提案に、ステラは何も考えず頷いた。
天使の笑みに脳みそ溶けていたのだ。