こんな世界でも人はいるんだなぁ、しぶといこと
デ現在、ステラは崖の下を目指していた。
ア別に、別に落ちてるわけじゃない。そこんところ勘違いして欲しくない。単に崖に掛かってた梯子をえっちらおっちら降りてるだけだ。
マァ別に、飛び降りても無傷でどうにかなる自身は全然あるが折角梯子があるのだから態々こんな崖に梯子を掛けることに一体どんな意味があるのか、ソレを確かめんとして態々降りている。
あとここから飛び降りたステラの下敷きになるナニカがもし生物とかの類だった場合肉片とか血とかが汚いから出来ればやめときたい。
汚れを気にするステラの服の袖には血が付いていた。
血。
コレが何の血かっていうと、当然人だ。
アでも別にステラのじゃないぞ、ステラはずっと変わらず掠り傷一つない、もうずっと元気だぞ。
この血はちょっと前に見つけたこことは別の梯子を下りて行った先に在った人間の集まり、街とか村って程デカくはないが、それでもステラがよく知る形の人間が闊歩してた、崖と崖に挟まれた、アレ、渓谷ってやつ? マ兎角そんな場所に人が集落っぽいのを作っていた。
真ん中には川が流れてるし、川には橋も架かってる。
その川を挟んでこっち側と向こう側の崖を背にして露店が並んでたし、人が住んでるっぽいテントも並んでた。露店の横とかにあるメニューとか看板は見た事ない文字だが読めた。ずっと思ってたのだがこの自動翻訳はいつの間に己の体に搭載されたのだろう、謎だ。謎だがマァ、便利なのでこのまま活用していこ。
さて、梯子を下りた先で見つけた集落をみて、この世界に人間っぽい生物がいて生活しているという事実に吃驚したステラはキョロキョロと周りを見回し、何か分からん肉の串焼きを食べている人を見かけ好奇心のままに近付き何の肉かを聞いたわけだ。
そりゃだって、こんなあきらか荒廃して動物とか居なさそうな世界の食料とか気になるじゃん?
だから疑問を解消しようと声を掛け、違う世界だが何故か普通に言葉が通じたので疑問をぶつけてさて何を食べているのか聞いて、なんならちょっとちょっと食べようかなとか思っていた、否この世界の通貨とかないけど、でもマどうにかなるだろうしさ、腹は別に減ってないけど味は気になるし一口だけ、味見くらい
「男」
アァ、うん
横からステラにゆっくりと近寄りながら鉈を振り上げ、振り下ろそうとした近くのテントから出てきた男の上半身が吹き飛んだ。
ステラを追いかけその体を柘榴のように弾けさせ体から血とか肉とか生命力とかその他色々を吸い取ろうとしていた人型の泥みたいなやつの犯行である。
ぞろぞろうっかり引き連れてきたらしい泥は手あたり次第に人の体を上下とか左右とかあるいは局所的に弾き飛ばしていき、集落の人間は慣れたように荷物をまとめ逃げ出していった。
慣れたようにってのは、ホントに慣れてるんだなってわかる逃げ方ってことだ、近くの奴の頭を殴ったり足を切ったり腹を刺したりして動けなくさせて泥がその人間から色々吸い取っている間に逃げていく。
コレがホントに迷いなく手際よくやっているからステラは素直に凄いなぁと思いながら梯子を登った。
地上までたどり着いて、歩き出したステラはさっきの光景を思い出し、マァうっかり地獄にでも迷い込んだんだろうなと呟いて一つ頷き、そのまま真っ直ぐ進んだ。
うん、アレは地獄、下に降りたしうっかり変な所に迷い込んだんだろうな。
デ、現在、又違う梯子を降りていたわけだ。
今度は何があるかな、危険のある集落はもう遠慮したいな。