表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

自称英雄って字面がよくないよね

「ジャあとはコレに呼び名書いて〜」


 赤髪のお兄さんへ怒りと許しを短いスパンで抱くと言うなんとも忙しないことをしていた淡輝のことなど気にせずにそう声をかけてきた金髪のお兄さんの手にはペンと木版があった。

 淡輝はソレに見覚えがある、部屋に入った瞬間に見た、右の壁に吊るされてる板に掛かってる三人分の名札っぽいヤと同じだ。

 っぽい。曖昧な表現なのはそこに書かれている名前っぽいやつが見たことない文字で書かれてたから、ではない。

 見たことないが何故か読める、因みに板は上下二列に掛ける場所があり、上の列の一番右の木版には英雄って書かれてる。英雄。読めない文字がそう認識できたってことは淡輝みたいに文字と読み方が違うとかいう名前じゃない可能性が高い、つまりコレは本名じゃない。

 アだから名前じゃなくって呼び名なのかね。

 閃いた淡輝はこの考えが正解か不正解か気になった。


「名前を書かなくっていいの?」


 なので率直に疑問を解消することにした。

 ペンと木版を受け取る。筆ペンだ。世界観どうなってるんだろうか。


「自分の名前がない人とか忘れた人とか呼ばれ慣れてる名が本名の他にある人だっているからね」


 コメントしずらいことを言った金髪のお兄さんは自分を指さして「因みに僕は英雄ね」と自己紹介。

 自分の事を英雄って名乗るヤツを初めて見た淡輝は何を言えばいいのかイマイチ分からなくってちょっと部屋の角を数秒眺めた後「自分でつけたの?」って聞いた。金髪のお兄さん改め英雄さんは笑って頷いた。どう返したらいいか分からなかった淡輝も笑って頷いた。

 そのタイミングでもう一人の方、赤髪のお兄さんが「俺はセーイル」と名乗った。こっちは普通の名前っぽい。全員が頓智が利いた呼び名を付けなきゃいけない訳じゃなさそう。否もしかしたらこの名前はこのお兄さんの故郷ではとんでもない意味を持つのかもしれないが淡輝には分からないので普通の名前ってコトにした。名札の位置的には英雄さんの隣にある。


 さて、この板についてる名札は三枚である。

 デこの部屋にいるのは二人、淡輝を入れたら三人だが名札を渡されたのは今なので必然的にそこに書かれてるのは淡輝のことではない。位置的には下の列の一番左に掛かってる。因みにそこに書かれてるのは浪人だ。淡輝であってたまるか。

 じゃ何者だろうか。疑問になった淡輝は英雄さんを見ながら板を指さした。もう一人いるのか聞いてるのだ。

 その意図が伝わったのか英雄さんは「あぁ」と呟いて仕事といった。

 どうもあの板の下の列に掛かってるのは仕事言ってるヤツの名前らしい。


 疑問が解消された淡輝は次に自分の呼び名をどうするか考えることにした。

 なんか後から変えられないらしい。

 ゲームの主人公の命名みたいな感覚で自分がこれから呼ばれる、なんならどれだけの期間呼ばれるのか分からない名前を決めることになった。

 何がいいかな、辺に意味持たせたり頓智を聞かせたりすると後で今の自分を殺したくなりそうだ。


 ちょっと悩んでから、手に持った板にステラと書いた。本名だ。

 方仮名で書いたからちょっと本来の名前の素晴らしさは表現できていないが、吊るされてる名札を見る限り漢字で書いても伝わらない可能性が高いから方仮名で妥協することにした。苦渋の選択。


 てなわけでこれからは淡輝の事をステラと呼んでくれ。

 敬称はなくていいぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ