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救済ポイントを貯めて、転生を目指そう~世界の滅びを阻止する話~  作者: 小城穂
咲いた花弁は風に舞い、実った果実は地に落ちる
10/12

待ち人来たらず

別視点です

 淡藤色の髪を靡かせ、荒廃した地を青年が駆ける。

 前に聳え続ける大樹の伐採を目的としてこの地に降り立ったはいいが、斬り倒すべき樹に近付くことすらできない現状。

 どうにかしなければならないので増援を呼ぶ用の札を破ったが誰も来ない、恐らくだが、新人が入ったのだろうな。出動は新しく入ったヤツから、そういうルールだ。新人が何の説明もなく放り込まれた、だから来ないのだろう。

 そう予想した青年はも少し自力でどうにかするかと駆けだした。

 走っていく先で合流できたらそれでいいし、駄目ならマそれでいいだろう。相手に伐採が目的だという情報があり、伐採する手段があればこの世界でも目的は終わる、駄目なら待機してるうち、赤いのが来るだろうから。

 

 全力で走っていると、そして、大地を裂く亀裂があるのに気付く。

 そこを目的地として走る速度を上げると、もうすぐ辿り着きそうだというあたりで亀裂が消えた。

 驚いて立ち止まり、膝を曲げ手を付き探す。

 右の方向、ちょっと離れた位置に亀裂を見つける。

 直ぐ先に在ったモノが一瞬で違う場所に移った、己の立つ場所が変わったのか、それとも亀裂の場所が変わったのか。

 ちょっと考えて、わからないなと思い亀裂を目指して走り出す。

 

 そんな事を繰り返すこと二回。

 亀裂の存在を知っているからそこを探して走るを繰り返し、そうして見つけた何度目かの亀裂。

 少し遠いと感じる先に大地が見える、跳んで向こうまで行けそうだが、このまままっすぐ走った所で無意味だろう。

 そう思った青年は走る足を緩めず亀裂の中に飛び込む。


 片側の崖面を垂直に走り、反対側に飛び移り今度は崖面を滑る。

 暫くそうやって滑ったり走ったりして下に向かって自然落下より早く付けるように、かつある程度勢いを殺しながら降りていくと崖の底が近付く。

 崖面に両足で立ち、膝を曲げ刀に手を添え下に向けて崖面を蹴る。

 空中で刀を抜き、振りぬく。剣圧で一瞬体が上に持ち上げられ、足を振って体を空中で回転させ体の向きを変えながら直地。

 

 着地のタイミングで膝を曲げ、腰を落とし、刀に添えた手で柄を握りしめ、閉じていた瞼を開く。

 視線の先には人型を取った泥、そのもう少し先にこっちの世界の住人らしき人間。

 人型の泥をしっかりと見つめ、見据え、見通し、見切り、一歩踏みだす。


 居合切り。

 

 一瞬の後、青年は泥の集団を超え、静かに刀を鞘に納めていた。

 その後ろでは両断された泥の形が崩れ、粘性のある液体のようになったソレが、ぺチャリと音を立てる。刀で斬られた後のそれらは、まるでただの泥であるかのようにパクリとも動かず地にふせる。


 この世界でそれなりの時間を過ごしてきた住民たちはもちろんこの世界で色んな人間がその泥に様々は攻撃をしてきたことを知っているし、その攻撃がどれも聞かなかった事だって知っている。

 だのに、どんな攻撃も通らなかったソレがいとも簡単に無力化された。

 その事実に喜び、安堵し、そしてすり寄ろうとした住民たち。

 けれどその感情も近付いたそのうちの一人が青年に一瞥されることもなく切り伏せられたのを見て直ぐに消え失せ、安全じゃないなと察してすぐさまをの場から逃げていく。たくましいな。崩壊した世界で、明日があるのかも分からないがそれでも自分の寿命を一秒でも延ばす為に生きる人間たちはたくましかった。

 

 近くに寄ってきた人間が邪魔だったから切った方、淡藤色の髪の青年は、さてどうしようかとちょっと考える。

 右に行こうか、左に行こうか、ちょっと迷ってるのだ。


 ちょっと迷ってから、右を向いて歩き出した。

 川が右から流れてきているので、何かあるかなって思ったのだ。

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