「プロローグ」
乙女ゲームの世界ではなくアレクシアの肉体が主人公に憑依と言う在りそうでなかったので少しだけ書いてみました。
此処で大切なのは現代をどのように異能の身体を持った人間が、現代をどう生き抜いていくのかなどとかんがえてみたりしております。なお、アレクシアの意識は一切肉体に宿っていません
俺の仕事は惣菜センターで働く冴えないおっさんで起床時間は朝の六時三十分。朝食を食べ、仕事の準備をして、家を出るのは七時二十分。そして朝の八時から夕方の五時まで働き、また十一時三十分には寝床に入る。夜の時間には趣味であるイラストSNSに投稿し、それが終わればゲームをしたりアニメを観るのが日課だ。
そんな俺は、今日もいつもと同じように朝、六時三十分に起床した。
寝ぼけ目で天井を見ればいつもの木の天井だ。俺に被さっている布団が程よい暖かさを醸し出している。実に二度寝を誘う暖かさをだけれども二度寝をしてしまっては仕事に間に合わない。
眠気を切り離すようにむくりと上半身を跳ね上げる。二度寝対策と言うのは気合が大切だ。
と言ったところで、ふと違和感を感じた何かいつもより視線が低い。普段であれば机に置いてある植木よりも視線が高いはずだが、今は植木の半分ぐらいのところにしか視線がないテレビも同様だし……よくよく見ればベットのスケールもおかしい。
さらになぜか寝間着のサイズがおかし。裾が手足ともにだいぶ余っている。170センチの俺に合わせて買ったものだから、こんな風に余るわけがないのだけれど……
悩んでいても仕方がないので、とりあえずベットを降りる。と、ここからさらに異常さが際立ってきた。明らかに目線が低い。そして寝てた時よりも明らかに髪が長い俺の髪は借り上げにならないぐらいの髪の長さだ。シャンプーも楽だし何もきにしなくていい。だが、髪の毛を触ってみれば偏りも髪が長くなっている。いよいよこれはおかしい。
とりあえず現状を確認する為に洗面所へと向かう。何もなくてただ寝ぼけているのであれば水で顔を洗えばいいのだし。そう思って洗面所の鏡の目に立ち、電気のスイッチをカチリと入れた。
そして鏡に映っていたのは
「……誰ですの?」
身長ににして165センチに届かないくらい。金髪碧眼の美少女が鏡の前に立っていた。
不思議なことに遭遇すると人間一周回って落ち着くもので、とりあえずメッセージで『声が出ないほどの風に掛かったので休みます』と上司に連絡を入れて家に引きこもり、現状を何度も確認をする。
まず確認したのは俺の妄想があふれ出てしまって俺の脳が俺を女の子とみていないか?と言うところだ。これは近所のコンビニで試してみたが、店員さんに商品を聞くふりをしてその反応を見ていたのだが……
「あなた可愛いわね!金髪碧眼なんて、どこの国から来たのかしら!分からない事があったらなんでも聞いてね!」
とパートのおばちゃんに言われたのでどうやら俺は少なくとも今は女の子ではあるらしい。そして金髪ろいうのは俺の妄想ではないようだった。
その次に確認したのは、下世話ながら下半身だ。ついてるかついてないか。これは凄く単純でついていない。そして排泄関係もすべて女性と化している。女性機能としては不明といったところ。
最後に確認したのは、もしかして俺がもう一人いるのでは?という可能性だ。だがメッセージを見るに俺はしっかりと今日は休みということになっている。
というところから導き出した結論は『俺はなぜか金髪碧眼の美少女になってしまった』といったところだ。
さて、現実は受け入れるのはまだ時間がかかりそうだけど時間は待ってはくれない。呆然としている間にも時間は十二時だ。お腹も空くし、対策をする……何を対策するのか全く予想出来ないが、そういう時間がどんどん減ってくる。
さっきから考えているのは『昨日何やったっけ?』だ?こういう事が起こるときは、小説とかでは何かをしていたという事が多い。だが俺は特に何もやっていない。毎日のルーチンワークのイラストをSNSに投稿してゲームをやって寝たぐらいだ。
だが考えれるのはそのぐらいだろうか?何か手掛かりはないだろうか?そういう期待を込めてまずはpcゲームを起動させてみる……特に何もない。ログインアイテムが貰えるぐらいだった。次に起動したのは、ペイントアプリ。過去のイラストや最近描いていたイラストがタイトルごとに並んでおり俺は一枚のイラストに目が止まる。金髪碧眼の美少女で簡単なセリフと設定集が書かれたイラスト。
(……このイラスト……ただ似ているだけなのか?)
だがアレクシアのイラストを見てちょっと思った事がある。金髪碧眼、ですわ口調で美少女。これに当てはまるのって俺の中ではこのイラストのアレクシア・フォン・ルクセンブルクぐらいしかない。
つまりこの状況は、現実世界でアレクシアに慣れたという事では?
(いや、俺、疲れてるな。そんな事あるわけない。)
オリキャラのアレクシアになった。そんな妄想を15時ぐらいまで続けるぐらいには疲れている。いや本当は大の大人の俺が部屋で引きこもっているだけなんだと思いたいが鏡に映るのは相も変わらず美少女だ。もしオリキャラのアレクシアなら空間移動「テレポート」使えるだろう?と言う安易な考えだ。笑えるね。
ということで、玄関に向かい靴を履く。外へ出る訳でもないのに靴を履いたのはとある検証をする為に靴を履いた二である。俺はゆっくりと目を閉じ頭の中で京都の清水寺を想像する。一瞬身体に強い風感じるがそれは一瞬で目が覚めた時には清水寺の敷地内に居た……簡単に空間移動「テレポート」が出来た。え、この身体は冗談じゃなくてアレクシア?というか俺、異能が使える人間て事?
一先ず家に瞬間移動しよう。人に見られでもしたらパニックになるし。目を閉じてマンションの玄関を想像する。次に目が覚めた時にはマンションの玄関に戻っていた。
ええっと、うん。今日は寝る事にしよう。明日になれば戻っているかもしれないし……
戻ってなかったら仕方がない。また何かを考えよう。