いやーな先生って一人はいるよね
ちょっとぬるいかもしれないですな
校長室にて
「それでは校長先生、まずは、はr,春香から説明させていただきます。」
「副会長の芝原です。最初に貴重なお時間をご用意していただいてありがとうございます。」
「うん、大丈夫だよ。それで、ええと。校則の登下校時の服装について、だったかな?」
「はい、まずは生徒の意見を総括すると、特に休日の夏場の部活動の際、登下校時の制服登校が不便。とのことです。実際に県内でこの制服登校に加えて、いくつかの校則を変更する高校が複数校出てきています。また県のほうからも制服登校を見直すようにという内容に関するお話も受けています。また。」と言いかけたところで話を遮られた。またか、と思った。
「うんうん、そのへんは理解しているつもりだよ、でもね制服登校を変えたらなにかいい結果が現れるのかい?校則を変えたとしてそれが双方にもたらす利害は一致してるのかな。仮にそれを変更したとして、大会の成績なんかが変わるならそれが100%だといえるのはどのような根拠があるのか、ぜひ説明してほしいな。この件について志賀君はどう思うかい?」
まずい、このままでは校長の流れに飲まれてしまう。と私は思い焦ってしまう。この校則を変えるために校長に直談判しに来たのはこれが2回目だった。そして前回同様校長先生を肯定する教頭先生が話始めるのは既視感がある。
「えぇ。全くその通りだと思います。これだから最近の若いのは、やる前からああだのこうだ、」
と話し始めると、それを待っていたかのように悠が話し始めた。
「でしたら、校長先生。期限付きの校則変更といきませんか、いわば実験と同じです。長期夏季休暇が始まる2週間前からこちらに書かれている内容を実施して、去年度との戦績を比較すればよろしいのではないですか?善意会のお話の際にも言っておりましたよね、『部活をやっているのは本人の意思なんだから結果が悪かろうと私の知ったことではない。学校の発展のためになるのならばぜひとも校則を変えよう、』と。実際に結果が出るのなら何も文句はありませんよね。一度くらいチャンスをくれませんか。今一度ご検討よろしくお願いします。」
そう言って悠は私に目を向けて深々と頭を下げた。その所作は思わず見入ってしまうものだったがすぐに私も頭を下げた。
「おいおい、頭をあげたまえよ。確かにそれも一理あるしそこまで言われては何も言い返せないよ。何より生徒を実験のために使うとは罪な女だね。」
そうして校長先生は校則を変えることを許可した。
「じゃああとは好きに進めてくれ。」
そう言い残して出張があると校長室を出て行ってしまった。教頭先生も同じタイミングで出て行ってしまった。私の考えすぎかもしれないけれど面白くないな、というような顔をしている気がした。そして部屋の扉が閉まるまで深々と頭を下げ続けた。
扉が閉まってふぅ、と深呼吸を取るとチャイムが鳴った。
≪校長です。たった今生徒会長と副会長との話し合いの結果、部活動時の制服登校、下校についての校則の変更を期限付きで行います。期限付きと言っても君たちの結果次第で来年も継続するかが決まります。"生徒会長"が”深々”と頭を下げてお願いしに来ました。その期待にこたえられるようにも皆さんまずは今年度頑張ってくださいね。≫
校内放送が終わると、運動部などの部活動から歓声が聞こえたのを校長室の中からかすかに聞こえた。それにしても嫌な言い方だと思った。
急げ急げー校則変更編山場です。