話が脱線してるんじゃないの?大丈夫、春? ちょっとそんなちっちゃい子を見るような目しないでよ!! ふふっ、面白い子ね。
ここまで仲がいいならともっと話を紹介したいけどなぁ、迷う。
悠の暴走は今までにもいくつかあった。
中学校で一番印象的だったのは、自分のファンクラブがひそかに存在している。と知ったその日のうちに、そのファンクラブは公認ファンクラブとなり、ほとんどの生徒が入会していた。
が、熱狂しすぎて危ない生徒が出てきたので1ヶ月としないうちにファンクラブは教員たちの手によって消滅させられた。という出来事だ。
一連の騒動は本当にあっという間で、入学して間もない頃はその詳細なんかは知らなかった。
が、仲良くなってから気になって聞いてみた。
「ちょっと悠、聞きたいんだけどさ。入学してすぐ悠のファンクラブあったでしょ?」
「あー、確かそんなのもあったわね。」
「あれ先生たちがすごい顔して『解散だ!』みたいなことになってたよね。なんせ国語のいつもほんやわしてるあの伊勢森先生も必死に止めに入るほどだ、って聞いたんだけど。なんで公認なんてしちゃったの?もしかしたら悠危ない目にあってたかもしれないよ?」
すると悠はちょっと驚いた顔をして、すぐに笑みを浮かべた。
「心配してくれるのは嬉しいけど、そんなことにはなっていなかったわよ。じゃあちょっとだけ教えてあげるわ。あれ公認なんて言ってないのよ。」
「へっ?」
「『なんか面白そうなことしてるわね』って空き教室で熱く語り合っていたから顔を出したらその場にいた全員が手を合わせ始めたのよ。それで怖くなって『ほどほどにね。』って言い残して去ったら、居合わせた先生たちとその信者たちが一か月の間死闘を繰り広げたらしいのよ。瀬里沢教を消滅させないために公認なんて言って規模を広げようとしたりしてね。あの必死さは傑作だったわよ。」
「なんで楽しそうにしてるの...それと勝手に宗教にしない。ちょっとふざけてるんじゃないんだよ?!完璧なツッコミねって?ちょっともう悠!!」
笑い話にもなっているけどそれだけの影響をもたらせてしまう悠はすごいなと思った。
確かにあこがれるけど、この出来事のほかにもいくつかの事件に発展しそうなことがあった悠をその日以降一概にそうとも言えないなと思うようになった。
けれどそばにいると自然と笑ってしまう自分がいたから変なのは悠だけじゃないのかもしれない。
校則を変えよう編の本題にそろそろ戻ります。というか寄り道するのも短すぎるけどね。