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まだデートしようとは言えない
「たまには遠回りしてみようか」
学校の帰り道で唐突に君は言った。私は今日は特に予定もないので了承する。いつもは真っすぐ駅に向かう道のりを回り道をして二人で駅に向かった。遠回りはしても話すことは変わらない。体育でバスケをやった時にボールを取れなくて顔面でキャッチしたこと、二週間後のテストのこと、調理実習でピザを作ったこと、そんな学校であったことをつらつら話すだけだ。話ながら歩いているとよく行くアイス屋さんが目に入った。
「なんかあった?」
「えっと私そこのアイス屋さんのクーポン券持ってるんだけど…寄る?」
「行こっか。今日ちょっと暑いし丁度いいね」
いつも頼むクッキーバニラにするか折角なら食べたことのない新しい味にチャレンジするか悩んでいると、店内のポスターが目を惹いた。
「来週も来る?期間限定食べたい?」
ポスターを見ていたのがバレたらしい。正直すごく恥ずかしい。
「いいの?」
「うん。美味しそうだし」
「じゃあ、また来週来ようね」