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空想旅行
「どこか行きたい!」
「どこにも行けないのに?」
そうやって君は連れないことを言う。数ヶ月前地球に隕石が降ってきて地球は滅んだ。幸いにもというべきか隕石が落ちてくる予測随分前にはされていたのでお偉いさんたちはロケットでの月への移住だとか巨大シェルターを作るだとかに奔走していた。一般市民である自分はロケットに乗ることは出来ず、こうしてシェルターの中で隕石衝突を待っていた。隕石が衝突したら月から迎えが来る予定だった。
だというのに隕石が落ちたあとシェルターが故障したのか何故かシェルターから出られなくなっていた。たくさんの保存食に水、理屈はよく分からないけど発電は出来ていて電気も使えるしお湯も出る。生きるのに最低限のものはそろってる。だけど人を守るためのシェルターは人を閉じ込めるものに成り果てた。
「どこか行きたい」
今度は諦めるように呟くと君はしょうがないと笑ってどこかの遠い国の話をし始めた。