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夏が終わる

作者: 三星

夏が終わった。

と言ったらいつだろう。涼しくなり始める頃?夏休みが終わったら?私達の夏はもっと早くにおわる。




「龍也、おつかれー」

「おぅ、綾。暑いのにありがとな」

「いいよ。楽しいし、今年で最後だからね。」

「あぁ、綾が俺の為に吹いてくれるのも最後かぁ。俺がもう少し打てたらなぁ」

「何いってるの。ベスト16だよ。奇跡だよ」

「はは、だよなぁ」


龍也は幼馴染で、弱小野球部の主将だ。毎年初戦敗退だけど、私は楽しく応援席でラッパを吹いている。

今年は10ぶりに初戦に勝ち、なぜかベスト16まで残ったのだ。快挙と言ってもいいだろう。

「龍也の夏。終わっちゃったね。」

「おぅ、あとは涼しい所でお勉強だな!綾は来週だっけ?」

「そうそう。来週の水曜日だよ。火曜日ホール練は野球部みんなで聞きに来てくれるんだっけ?」

「そうそう。いつもより長く応援してもらったから。今年は差し入れもいっぱい持ってくよ」

「ありがとう。楽しみにしてる」


吹奏楽コンクール。吹奏楽部の一番大きな大会が来週ある。本当なら野球部の試合が先週には終わって2週間みっちりコンクールの2曲に専念するはずだった。

けど、野球部の為に、龍也の為に、必死で応援できて良かったと思う。


「あ、そういえば駿来てたよ」

「見た見た。やたらキラキラして綾に負けない大きな音のクラリネット」

「そうそう。塾までの少しの間だけどね。『俺が吹かんで、誰が吹くんよ』って」

駿は私達の幼馴染だ。同じマンションだからずっと一緒に居たけど、お勉強のできる駿はお勉強のできる男子校に通っている。駿は戦隊モノで言うならまさしくブルー。

キラキラオーラのイケメンだ。性格が少し残念な所も込でブルーだと思う。

龍也もイケメンだと思うけど、駿といたからかあまりイケメンと言われていない。が、性格の真面目さと暑苦しさからレッドだなぁと思う。

「言いそう。ラインしとく。けど、あいつも良かったんかなぁ?綾と同じ日だろ?暑い所で吹くと調子狂うとか言ってなかった?」

「大丈夫。大丈夫。一年の蒼ちゃんのプラ管奪ってたから。プラ管でバリバリ吹いてドン引きよ。それに、駿の所は来週は通過点だから。」

駿の学校はお勉強だけではなく部活にも力をいれている。うちみたいに「ダメ金でいいから金とりたい」じゃなくって10月の全国を目指している。

「けど、リードは冠書いてあったから一軍だったんじゃない?」

「あの妙に凝った王冠まだ書いてんのかよ」

「そうそう。ケースにも書いてたから笑っちゃた」

「あいつ、変わんねぇな」

「ほんとねぇ」




「綾〜 学校もどるよ〜」

「はーい。今行く。ごめんね。またラインするね。」

「おぅ。練習頑張れよ。」

学校に戻って、少し休憩したら少ししか時間がないけれど合奏をする。少しでも吹いて悔いの残らないようにしたいから。たった12分。されど12分。6年間で一番いい音で吹けるように。




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