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19 神代王家の墓

ストックがあるので投稿します。

まぁ三話くらいしかないんで、余裕はないんですが……。

「……や」


 青白い肌にゴシックドレスを纏ってそう端的に挨拶をしてきたコイツは、俺や李にとっても既知の奴である。


「”ゾン子”じゃん」


「おぉ、”ゾンビクイーン”じゃなイ。久しぶりネ」


 見知った顔なので、俺も李もそう反応を返した。

 通称――俺しか呼ばないが――”ゾン子”。プレイヤーネーム”ぞんび子”は、名前通り、見た目通りのゾンビである。

 魔物のプレイヤーの場合、(ジョブ)が”クラス”という別の呼称で呼ばれるのだが、彼女のクラスはゾンビの上位クラスで、かつ女性のみがなれる特殊クラス”ゾンビクイーン”である。

 ”上位者ゾンビ”の固有能力であるゾンビを召喚・使役する術を得意とする他、即死系や闇魔術等幅広く覚えている高レベルのプレイヤーだ。コイツもそうだが、俺の周囲には初期からやっている高レベルの人間が多い。俺自身も初期からやってる人間だしな。

 やり取り通りであるが、余り喋らず、喋っても一言二言端的に言うだけで、顔は常に無表情の奴である。


「……二人共久しぶり。……この間のイベント、頑張ってたらしいね。ランキングに……乗ってた」


「そう言うって事はゾン子はこの間のイベントには来なかったのかよ」


 俺の質問に、ゾン子はコクリと頷いた。


「……この間はレベル上げ、してた。……最近、中々ログイン、出来てなかった……から。瘴気の沼地で……レベル上げ」


 つまりコイツはイベントよりもリアルの用事とレベル上げを優先した、と。

 瘴気の沼地ってのは魔物プレイヤー達の拠点にも近い現状の中でも難易度の高い場所で、名前の通り常に瘴気が立ち込め、一部の毒が効かないゾンビやキョンシー、スケルトンやリッチ等の死体系魔物プレイヤー達以外はHPが徐々に減っていくというエリアである。

 そんなところが近くにあるので、魔物プレイヤー陣営はレベルが上がるのが早い――その分死ぬ回数も多い――のだ。


「因みに今は何レベルネ?」


「188」


 ゾン子は李と俺に向けて、手でVサインを作りながら、そう答えた。

 現在が200レベルが上限だから、それなりに……というか、最前線で戦えるレベルにはなっているらしい。

 というか、普通にレムナントや朕項の幹部レベルだな。

 これなら”神代王家の遺跡群”に連れて行っても問題はないだろう。

 というかイベントで1レベ程度しか上がらないのに瘴気の沼地でそれなら、前回のイベントって経験値的には美味くなかったってことじゃ……。

 そんな事を考えていると、


「……と言う事で、だ」


 鴆は俺達を見回して、


「宜しく頼んだぞ」


 そう幼い顔に偉そうな笑みを浮かべて、そう言った。







 と言う訳で、俺達は最新の解放エリアである”神代王家の遺跡群”にやってきた。

 今は”神代王家の遺跡群”を見下ろせる場所にいるのだが、遠くからでも大小様々な墓……ピラミッドが鎮座している。

 ……というか、ピラミッドの前に鎮座している筈のスフィンクスが動いて冒険者達がいるであろう場所を叩き潰したり、光線を撃ってるんだが……あれ、モンスターって事か。

 マジかー。今回のエリアはエジプトがモデルかー。




 ――って、それよりも、だ。


「……で」


 俺はゾン子と李の後ろに立っている人物を一瞥した。


「なんで”女王”さんがいるんだ?」


 そこには、軍服姿の少女――この前のイベント前に知り合ったばかりの軍事国家レムナントに所属している”無法の女王”がニコニコと人懐こい笑みを浮かべて立っていた。


「俺が呼んだんだヨ」


 そう言って李が片手を上げた。


「いやー、流石に三人じゃキツイと思って何人かに声掛けたンだケド、”女王”がOKだしてくれて良かっタヨ」


 そう言って安心した様子の李に、女王が笑いかける。


「私もここに来たかったしね。丁度良かったから」


 ……まぁ、ここにいる誰よりも戦力になりそうだから別に構わないけど。

 この中で一番レベルも高いし。


「俺はここ初めてだけど、”女王”さんは?」

「初めてだよー」


 ふむ、成程。で李も俺も初めて。……ゾン子は――


「来た事……ある。……少しだけ……だけど」


 マジか。


「で、どうするよ李」


 一応このパーティーのリーダー的立ち位置である李に尋ねる。

 俺はそういった性分でもないし、ゾン子も同様だ。

 ”女王”さんはあくまでも李が呼び出した助っ人の為、一番コミュ力も高い李が自動的にリーダーになるだろう。


「ンー……鴆からの依頼を熟すも大事だケド、攻略もしたいネ。折角女王さんがいるんだカラ。ゾンビクイーン、このエリアのボスがどこにいるかって判るネ?」


 李が尋ねると、ゾン子は首を横に振った。


「まだ。……でも、あれ」


 そう言って指差したのは遺跡群……の中でも一番大きなピラミッド。

 先程俺が見ていたスフィンクスがずっと暴れている場所。多くのプレイヤー達の姿も見える。


「……アソコの中、だと思う」

「妥当ネ」

「うん、私もそうだと思う」

「賛成だ」


 という訳で全会一致。

 そこを目指しながら道中のザコ敵を倒してアイテム収集をする事になった。




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