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「ラ・メルド・ラタンの幻想(サーカス幻想曲)」 第2番 死病の行進 〜疫病と骸骨の舞踏〜(ソナタ) 第三楽章  ディエス・イレ エスカラバホ・カロニャの葬送行進曲

作者: 黒実 音子

◇司祭◇

すでに去りゆきたもう、彼の幸福は

すでに過去になりたもう、希望にあふれた日々

それでも老いた身体を引きずって

年老いた船乗りは帆立貝と聖ヤコブの加護に

あずかろうと祈ったのだ


おお、主よ

聖エラスムスよ

この老人の老獪と、孤独な偏見にこそ慈愛を

数え切れない救えない罪にこそ憐れみを

主よ、アナタは常に隣におわするが、

それでも身体は氷のように冷え、

孤立は我々を蝕むのです


見よ、兄弟達よ、蛆共や甲虫にむさぼられ、

おぞましい蜻蛉や蝶の飛び回る

この朽ちた彼の肉体を

ああ、だが我々は楽園を求めて祈る

深く孤独な墓穴に放置され、

置き去りにされながらも


◇参列者達[キリスト教徒達]◇

●●●●

それでも幸いなるかな、幸いなるかな、ホサナ

主よ、それこそが救いなのだと

アナタの栄光は醜悪な腐敗にすらふりそそぐのだと

おっしゃって下さい


そして、ようやく囚人は解放され、

魂は主の王国で歌うのだと

●●●●


◇魔女達◇

●●●●

さぁ、墓穴の甲虫が喰いたもう

死して、朽ちて、虫が這い回り、羽虫の馳走となり、

救われるのだ!! ようやく!!

罪は浄化され、幼子のような健やかな眠りが訪れる

天上の王国がどれほど遠くても

我々は墓穴でそれを待ち焦がれる

●●●●





◇司祭◇

恐ろしい怒りの日がやってくる

ダビデとシビラの預言通り

世界が灰燼に帰す日だ

大天使があらわれて


すべてが厳しく裁かれる

その恐ろしさはどれほどのものか!!

おお、主よ、キリストよ

我々に憐れみを


◇参列者達[キリスト教徒達]◇

●●●●

それでも幸いなるかな、幸いなるかな、ホサナ

主よ、その中にも救いがあるのだと

アナタの王国では憎しみも悲しみも無く

本当に求めていた時の中を生きられるのだと

おっしゃって下さい

●●●●


◇魔女達◇

●●●●

さぁ、墓穴の甲虫が喰いたもう

死して、朽ちて、虫が這い回り、羽虫の馳走となり、

許されるのだ!! ようやく!!

憎しみは浄化され、かつての敵と酒を飲む

●●●●

◇参列者達[キリスト教徒達]◇

●●●●

哲学的な一匹の虫にすら、

救われたいという魂があるのなら

どれほどの過ちを繰り返しても

本当は我々は永遠に待ち焦がれていたのだから!!

●●●●



◇参列者達[キリスト教徒達]◇と◇魔女達◇

返らない命、過去の日々、去った栄光

おお、主よ、

甲虫に食われ、消えていく肉塊だ


返らない命、過去の日々、去った栄光

死は絶望を選び、救いなどない



◇天使達◇

返らない命、過去の日々、去った栄光

おお、主よ、

甲虫に食われ、消えていく肉塊が

美しいものだと、どうかおっしゃって下さい

救いだけ

結局の所、救いだけが

どんな物を手に入れた所で、

我ら欲深な罪人の

水であり、理由なのですから

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