終わらない世界
彼女は終わりが嫌いだった。
終わりを信じていなかった。続いてく世界を、いつまでも夢想していた。
終わりでは、あらゆる流れが収束する。それを見た彼女は、その流れを断ち切れば、すべては停滞し、終わらない世界を創れると思っていた。
世界を切り取るために、あらゆる手段を使った。可能性の流れを抑えたり、その流れの元を破壊したり。彼女はすべての権限を行使し、世界に干渉した。
それでも世界はいつも終わった。全ては無駄だった。やがて、可能性に干渉すること、閉ざすことは、世界は終わらせてしまうことに気づく。終わる世界を作っていたのは彼女自身だった。頭を搔きむしる。ままならない現実に、声にならない絶叫をあげた。
終わる世界をずっと眺めてきた。いくつもの世界が終わった。同じ世界は一つもなかった。
だからこそ終わらせたくないと思った。どれも大切で、ずっとずっと続けばいいと思った。
だから、一番初めから、すべてをやり直すことにした。
世界が輪廻する。ぐるぐると同じ世界が繰り返される。くるくるくるくる。
私は、終わらない世界の創造に成功した。
どこまでも終わらない物語。何度も何度も繰り返される世界。可能性のなくなった世界。永遠に同じ繰り返しが起こる。
全てを見続けてきた彼女は、無限に繰り返される世界を目にして、やっと安心して目を閉じた。