表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オーダー・オブ・ダゴン  作者: ギルマン高家あさひ
8/16

料理解説Ⅳ:ろびんのグリルド・チーズ・サンドイッチ

「まさかのときのー」

「セーラム魔女裁判!」

「……って、いまのは台本の通りにやったけど、これなんなの? 本編で安奈さんも言ってたけど」

「んー、そういうコントがあるんだよ。いま動画サイトで人気なんだって」

「ろびんはよく知ってたね」

「ハルちゃんが教えてくれた」

「あー、あの子、そういうの好きそうね」

「というわけで、あらためて……」

「織亜です。こんにちは」

「ろびんでーす」

「今回の料理解説は、グリルド・チーズ・サンドイッチです。Kitchen Dagonのメニューにはないですが……」

「あの日は臨時休業してたから、これぐらいしか作れなかったんだよね」

「ろびんのお得意料理だから、ろびんが解説してくれるんだよね?」

「えっ、そうなの? お姉ちゃんだって作りかた知ってるでしょ?」

「ろびんが作るほうが、おいしいもん」

「そ、そうかな……じゃあ、しょうがないなあ」

「では先生、どうぞ」

「えーと、うちではこの、『鋼鉄アイアン乙女メイデン』を使います」

「……なにそれ」

「ほら、この、パカパカするホットサンド・メーカー」

「それならそう言ってよ! なんで拷問器具みたいになってるの」

「……ハルちゃんが、そう呼んでた」

「あー、好きそうね……ここで宗教裁判につながるのか」

「先に開閉式の、食パンとおなじくらいの大きさの、ちょっと深さがある鉄板がついていて、そこから長い把手が伸びている調理器具です」

「説明ありがとう」

「まずはこれを、ガス台の火の上で少し、あっためます。そんなに熱くする必要はなくて、バターが溶けるくらいにあったまってたら大丈夫。フライパンを最初にあっためるのとおんなじような感じかな」

「ふむふむ」

「あたたまったら、バターをのせて溶かして、上下の鉄板にのばします。パンがくっつかないようにするためだけど、たっぷりめに塗ったほうがパンにバター味がついて、おいしいよ」

「そのへんはグランマの影響を感じる……」

「そこにパンをのせます。内側になるほうにマヨネーズを塗っておきます。パンはサンドイッチ用の薄いのでもいいけど、ふつうの六枚切りぐらい厚いほうがうまくできるかも」

「入るなら、四枚切りのぶ厚いので作ってもおいしいよね」

「その場合は、バターがよくしみるように、もっと増やすといいです」

「アメリカンだなあ……」

「なんか言った?」

「なんでもない。続きをどうぞ」

「パンの上に、チーズをのせます。これは、お店であまったのを適当に使ってるけど……。黄色いのとか、白いのとか」

「チェダーとか、モツァレラとかかな? まあこれは、溶けるチーズならわりとなんでもいいと思います。プロセスチーズでも」

「で、あとはパンをもう一枚のっけて、フタをして、ひっくり返しながら五分ぐらい焼くだけ。開けて中をのぞいてみて、こんがりキツネ色になってたらできあがり!」

「火の強さとかにもよるけど、わりと焦げやすいので気をつけてください。ろびんは焼き加減がうまいんだよね」

「えへへ」

「うちではこれ、台所で使ってるけど、もともとはキャンプのときに焚火で焼きものを作るためのものなんだよ」

「へぇ、そうなんだ。これもキャンプで使ったこともあるのかな」

「うーん、どうだろう。うちのお父さんが子どものときとかかな」

「じゃあ、けっこう骨董品なんだねえ」

「……それは、お父さんが聞いたらショック受けると思うから、言わないでおいてね」

「そうなの? なんで?」

「歳をとるというのはそういうことなの」

「ふーん?」

「まあ、それはそうとして、グリルド・チーズ・サンドイッチ自体は、フライパンやオーブンでも作れます。バターやマーガリンで外側をカリッとさせるとそれっぽくなるのかな」

「おー、そうなんだ」

「アメリカのダイナーやカフェでは、ハンバーガーほどではない手軽なメニューとして提供してるところも多いみたいです。ちょっとオシャレにするときは、トマトとかアボカドを入れたりしてもいいみたい」

「あ、それはおいしそう」

「あっちのダイナーには、フラットトップっていって、上の一面が鉄板みたいになったガス台があるんだよね。パンケーキとかバーガーとか、なんでも調理できるの。そういうのでグリルして作るんじゃないかな」

「お好み焼き屋さんみたいだね!」

「お好み焼き……。言われてみればそうか……」

「ところでお姉ちゃん。『ロッキーマウンテン・オイスター』って、なんなの?」

「あー、それは。……ろびんがもうちょっと大人になったら教えてあげる」

「えっ、ずるい。いま教えてよ」

「んー、じゃあちょっと、耳貸して……」

「……ばっ、お姉ちゃんのばかっ! すけべ!」

「自分から知りたいって言ったじゃん……」




今回、参考にしたレシピは:


Julia Moskin “Grilled Cheese Sandwich,” New York Times Cooking

https://cooking.nytimes.com/recipes/1017326-grilled-cheese-sandwich (consulted Nov. 19, 2017)


Barbara Tidwell “Pie Iron Grilled Cheese Sandwich,” Culinary Camper

https://culinarycamper.com/pie-iron-grilled-cheese-sandwich/ (consulted Nov. 19)

(器具や火加減によって、焼け具合はかなり変わります。組み合わせとお好みによって調整してください。)


「ロッキーマウンテン・オイスター」については、興味のある方は各自で調べてみてください。ただし自己責任で……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ